出産育児一時金の直接支払制度の影響によって閉院したり、分娩を中止したりする産院が相次いだ結果、約5000人の「出産難民」が出る可能性があることが3月10日までに、産科医らでつくる「産科中小施設研究会」の調査で分かった。同研究会では、制度の一刻も早い撤廃を求めていく方針だ。
調査結果によると、昨年9月から今年2月までに、閉院や分娩の取り扱いの中止を決定した病院や産科診療所は全国で25施設。このうち10施設では、採算ラインとされる1か月で20件以上の分娩を扱っていた。また、25施設が扱っていた年間の分娩数を推計したところ、約5000件となった。
同研究会の池下久弥医師は、「『希望する地域での出産施設や、出産のための予約枠が見つからない妊婦』を出産難民と定義するなら、今後、これと同程度の規模の難民が出ることも十分に考えられる」と話している。
出産育児一時金の直接支払制度については、産科医療機関から資金繰りが苦しくなると反発する声があり、3月末まで完全実施が猶予されている。現在、厚生労働省は猶予期限の延長を検討しているが、池下医師は「猶予期間中でありながら、こうした事態が起こっている以上、いくら完全実施を先延ばししても意味はない」と指摘。国を相手取った訴訟も視野に入れ、制度の撤廃を求めていくとしている。
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出産育児一時金の直接支払制度については、産科医療機関から資金繰りが苦しくなると反発する声があり、3月末まで完全実施が猶予されている。現在、厚生労働省は猶予期限の延長を検討しているが、池下医師は「猶予期間中でありながら、こうした事態が起こっている以上、いくら完全実施を先延ばししても意味はない」と指摘。国を相手取った訴訟も視野に入れ、制度の撤廃を求めていくとしている。
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