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ブルベ、イエベというのがあるらしいのを近くの席の女子が話していた。それでいうと俺はブルベで、彼はイエベということだ。彼はビタミンカラーばかり身に付けて。
考えてみるとあらゆるものが、正反対な気がするな。俺が黒が好きだと言うと彼は白が好きだと言うし。俺が北だと言うと彼は南だと言う。俺のすべてを否定したいのか?いいや、多分無意識でやっている。こうなると、俺が地上を歩くから、彼は空を歩くといい。脳天同士をぶつけてな。……それってすごく、磁石っぽいな。
いいや、きっと彼と俺とのことだから、その場合は反対の道を進んでしまうのだろうな。弾かれたみたいに。そのときばかりは。
待ち合わせの公園に行くと、彼は年甲斐もなく遊具で遊んでいた。受け皿のように綯った縄に張り付いて、蜘蛛みたいにぶら下がっていた。
「よぉ」
目線の低くなった逆さまの彼と目が合う。逆さに見ると違って見える絵があるが、特にこれという真新しさはなかった。少しあどけなくなる。髪が広がるせいか。
「腹減ったんだケド」
降りながら彼が言った。
「無駄に動くからだ」
「だって公園きたら、フツー遊ぶだろ」
「先に何か食べるか?」
「でもオマエ腹減ってないだろ。ちょっとコンビニ寄ってい?から~げさん食う。そしたら昼までには腹減るし」
彼とは様々な場面で、合わないと感じる。物理的な部分に於いて。気持ちとして、嫌なわけじゃないのが不思議だった。
俺たちは似ていない。心地の良い正反対。
ほんの一瞬。ほんの一瞬だけ、その瞬間だけ、俺が空に立ち、彼が地に立つ。
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なんか説明的すぎて。急展開で飛び降り自穀。何故?って感じなので没