見出し画像

赤松敏弘Vibraphone Connection・談話室

Carla Bley (born Lovella May Borg; May 11, 1936 – October 17, 2023)

ショック! 中学の頃から彼女の曲にinspireさせられたことは数え切れない。
これはくる時が来たと思うしかない。
その切っ掛けとなった恩師ゲイリー・バートンの『A Genuine Tong Funeral (葬送)』で送ろう。
Carla Bley (born Lovella May Borg; May 11, 1936 – October 17, 2023)
 
 
Carla Bley逝く。昨日のこのショックなニュースは少なからず今日一日引きづっていたけど、これまでの自分のジャズ・アイドル、例えば、ビル・エバンスやマイルス・デイビスの時とは少し違っていて悲しいけど冷静に受け止められる幅があった。そのことを今日は考えながら過ごしていたのだけど、直接的な音に惹かれたミュージシャン本人とは少なからず距離(スコア)のある作曲家への悲しみなんじゃないかと思うようになった。
 
というのもカーラ・ブレイのアルバムのほとんどはWATTレーベルから発売されているもので、そこではもちろんピアニストとしても参加しているが、やはりカーラ・ブレイの場合はそれが全てではなく、そこにある楽曲こそが彼女の世界。唯一無二の姿がスコアによって表現されているところにある。だから受け止め方も違うんだと思う。
 
 
カーラ・ブレイの弔いとして聴きたいアルバムをいくつか出してみたけど、本人名義のアルバムよりもどうしても恩師ゲイリー・バートンのアルバムが出てくるのは仕方のないことか、と思いつつも最後に「これ」として選んだのは、カーラ・ブレイという名前も、音楽も初めてだった『Lofty Fake Anagram/Gary Burton』(rca/1967年)。
 
 
 
邦題が当時「サイケデリック・ワールド」というものでサイケデリック、ヒッピー、などがカルチャーとして世間に浸透していたからアナグラムという耳馴染まない言葉をそっくりとサイケデリックに置き換えたのは子供でも手の出せる戦略だったかと。
まだジャズを聴き始めて間もない頃に出会ったこのアルバムは子供の僕にマイケル・ギブスとカーラ・ブレイというここには登場しない作曲家という存在を知らしめた。今でもこのアルバムを聴くが、後にゲイリー自身が語っていたように、ビートルズの音楽のように個性的な曲がコンパクトにまとめられたもので、その中で最初に耳を奪われたのがB面2曲め(CDでは7曲目)の“Mother of the Dead Man”。もちろんカーラ・ブレイの曲。
 
まずこの頃すでにヴィブラフォンの揺れのない音(ファンを回さない音)がお気に入りだったところに、マレットを使って音をベンド(半音低くする)奏法で独特のものに響かせているのに注目、そしてそれをうまく使った楽想、とにかくヴィブラフォンという楽器で「こんな音が出せるんだ!」というところに惹き込まれ、それがこの曲という居場所があって初めて完璧な表現に結びついていることに気が付く。
カーラ・ブレイという名前が決定的に13歳の脳裏に刻まれた瞬間でした。
 
その年齢で何がわかる! と思われても仕方はないけど、13歳くらいまでに触れてきた全ての音楽の中で、自分がそれとなく惹かれる音が凝縮されていた感じで、初めて聞いた気がしなかったというのが正直な気持ち。
クラシックやアルゼンチンタンゴ、ロックやポップス、CMソングや歌謡曲。好むと好まざるに関わらず、日々耳に入っていた音の中で気に入った音だけ残してゆくと・・・・それがジャズというこの世界の中にたくさん潜んでいそうだという切っ掛けがこのカーラ・ブレイの音楽。
 
 
暗い方にいるのに悲痛ではない、悲しい方にいるのにじんわりと微笑む。自分が子供ながらに好きと感じるそういうニュアンスに溢れているように感じたのがこのカーラ・ブレイの世界だった。
作曲家、ジャズの作曲家としてあるべき姿。そんなことをこの頃から想いながらカーラ・ブレイを聞いてきた。
沢山の音を身勝手にスコアに書き溜めるだけが作曲家ではない。
 
昨今、起き抜けのジョギングみたいに曲を書いて持ってゆく、みたいなポストを見る度に幻滅するのだけど、カーラ・ブレイのような存在を最も的確に言い表したゲイリー・バートンの言葉を最後に。
 
「ミュージシャンは自分で曲を書きたがるものだ。しかし、そこでは冷静な判断が求められる。私は自分が書いた“それなりの曲”や“まあまあな曲”を演奏するくらいなら、周りにいるミュージシャンや作曲家が書いた“文句無しの名曲”を演奏するべきだと思っている」
 
まさに同感。
ありがとうカーラ・ブレイ。
 
 
 
 
 
 
♪♪♪
 
この秋発足の新レーベル、AMS RECORD(アムズ・レコード)のサイトが完成しました。
 
 
 
 
第一弾は11月22日発売の『MY REAL BOOK/赤松敏弘』(AMS-23001)定価3.000円(税抜)。
 
 
通算17枚目となる赤松敏弘のvibraphoneに、レギュラーメンバーのハクエイ キム(p)市原ひかり(tp,flh,vo)須川崇志(b,cello)小山太郎(ds)によるグループ・インターアクションが6曲(含む赤松&ハクエイDUO1曲)と、
話題の望月慎一郎(p)を迎えて酒井麻生代(fl,alt-fl)平石カツミ(b)岡部洋一(perc)と繰り広げた絵画を眺めるようなジャズ。
 
それぞれ【Season 1】【Season 2】と名付けた2チーム全11曲70分。
 
ライナーノーツ:高井信成。
 
 
動と静、夜と昼、都会と自然、二つの異なる世界を一つのアルバムとして作り上げました。
どうぞお楽しみに!
 
 
お求めは全国のCDショップの店頭予約や有名ネットショップのほか、apple music, spotify他メジャーサブスク・ステーションで同時配信の予定です。
 
 
 
 
 
【期間限定公開/無料動画】
━━━━━━━━━━━━━━
最新の動画です。2022年11月に栃木県足利市のartspace&cafeで行われた彫刻家藤岡孝一氏の個展BLUEの中の「JAZZ in BLUE」での演奏からダイジェスト。
約27分間の動画です。
写真をクリックするとartspace&cafeのページに飛びます。最初にコマーシャルが入る場合がありますのでご注意ください。
演奏:Toshihiro Akamatsu(vibraphone) Hakuei Kim(piano)
 
・Straight, No Chaser......Monk
・Violet Rays.....Toshihiro Akamatsu
・Synonym......Toshihiro Akamatsu
・White Forest......Hakuei Kim
・Beyond the Dream......Toshihiro Akamatsu
・Lake Sagami......Hakuei Kim
・The Gleaner......Toshihuro Akamatsu
enc
・Blue in Green......Miles
 
Nov/13/2022 artspace&cafe @ Ashikaga, Tochigi.
 
 
Next Show
━━━━━━━━━━━━━━
■2023年11月4日(土)東京・調布『Book Cafe Den』(西調布)
13:30開演 14:30終演
赤松敏弘ヴィブラフォン・ソロ & モア (ゲスト:酒井麻生代/fl)
 
※本公演は予約満席となりました。沢山のお問い合わせありがとうございました。以降はキャンセル待ち対応とさせていただきます。(10月16日掲示)
 
 
会費:1500円(税込/飲み物・小菓子付き) 定員:18名
予約:042-488-4351(営業時間内) 夜間:042-486-5392
Book Cafe Den 営業時間 11:30〜18:30 ※月曜火曜定休
定員になり次第締切

━━━━━━━━━━━━━━

 

【最新プロデュース・アルバム】
 
2023年1月25日発売!
現在の東京のジャズシーンで既にライブでは人を振り向かせる存在となりつつある新人実力派ヴァイビスト・吉野智子。今回そんな彼女のデビュー作のプロデュースを担当しました。
KALEIDOSCOPE / カレイドスコープ
Tomoko Yoshino / 吉野智子
3000円+税
2023年1月25日発売 (WISE RECORD/WR-202301)
 
全国のCDショップ及びネットショップからお手元に。
 
■演奏
Vibraphone : 吉野智子  Piano : 雨宮彩葉  Bass : 鉄井孝司  Drums : 小田桐和寛
 
皆様、応援宜しくお願い致します!
 
━━━━━━━━━━━━━━

■赤松敏弘 official site VIBRAPHONE CONNECTION
発売中のCD、ライブ情報、電子書籍やインタビュー掲載誌等、ジャズ、ヴィブラフォン、演奏法、ジャズセオリーと、ジャズやビブラフォンの周りにある様々な疑問も解決するお役立ち情報も満載。
1997年開設以来のユーザーからの様々な質問や情報交換もアーカイブとして保存中。是非一度お立ち寄りください。
( http://www.vibstation.net )



■赤松敏弘 FaceBook ( https://www.facebook.com/akamatsu.toshihiro/ )




■赤松敏弘 Twitter

━━━━━━━━━━━━━━

【サブスク ヴィブラフォン】
 
2000年発売のアルバム「Next Door - birth of the “Swift Jazz”」から
2020年発売の「Next Door - New Life」まで、
VEGAレーベルで発売した10枚のアルバムから人気曲を
高音質でお届けしています。
 
 
色んな意味で生活の中で占める音楽の比率がコロナ以降高まりつつあります。
「聴いて」楽しむ音楽!
好きな時間に、お気に入りの場所で、くつろぎながら
そこでは無限の想像力が、あなたをお待ちしています。
 
 
是非どうぞ!
 

━━━━━━━━━━━━━━




それでは今日も楽しい一日を!

 


【放送 / ラジオ、テレビ

今週のオンエア (10月18日~10月23日) 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)

番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』

癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。

━━━━━━━━━━━━━━
■月〜金曜 11:40〜12:29 

■金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00 

───────────────────
“路面電車のある風景 - 1”

『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)

━━━━━━━━━━━━━━
■月〜金曜 25:00〜26:00 (月火金曜は25:35まで) 

■日曜 4:00〜5:00

───────────────────
“ねこの足跡”

21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。

━━━━━━━━━━━━━━
■日曜 7:30〜8:00 

───────────────────
“東京点描 城南1”

『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)


演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)



「エムキャス」での全国配信は2023年10月6日をもって終了しました。たくさんのご視聴ありがうございました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「final cadence」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事