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赤松敏弘Vibraphone Connection・談話室

薔薇色の時代

こんな広告が毎月飛び出してくる時代に育ってホントよかった!
 
 
『薔薇色の時代』
ジャズという音楽と出会ったのは小学生の時だったけど、一番のお気に入りはハービーマンの『Memphis Underground』のラリー・コリエルのギターで、ファズやフィードバックといった当時のロックギターと何ら変わらぬシビレ具合に、これがジャズなら聞ける、だった。つまり「これがジャズなら」というのが自分の原点で、「ただのジャズなら」聴いていなかったと思う。それだけ自分の周りの自然な現象(当時の音楽界はロックが大躍進していた)が取り込まれたインストルメンタル・ミュージックであるなら自分で忠実な受け止め方が出来る、と。同時にリー・モーガンの『Sidewinder』もお気に入りだった。
 
60年代の終わりから70年代に及ぶ音楽界の大変貌は、僕らにとって正に「右肩上がり」の文化で、ロックを選ばなかった僕でも当時のヒット曲は知っているほど世間はロックを軸に動き始めた。
 
それは音楽愛好家だけのものではなく、一般のテレビやらラジオやら、ジングルやらコマーシャルやら、ありとあらゆる物にロックが浸透していた。なのでロックに対する抵抗は何もない。気持ちを代弁してくれる破壊的な音に魂も燃える。
 
その反面、魂はロックで燃えていても、自分の趣向という点ではさらなる流れが届き始めた。
 
最初はポリドールレコードから発売されたチック・コリアの『Piano Improvisations Vol. 1』。
中学時代にマイルス・デイビスのバンドや「サークル」というユニットで演奏を聴いていたけど、同じポリドールから出ていたピアノトリオの『ARC』の1曲目“ネフェルティティ”のカッコよさに好感触でそのまま買ったのがこのソロアルバム。
 
その半年後くらいに今度はビクターからキース・ジャレットの『Facing You』が出た。ちょうど岡山の作陽高校の音楽科で寮生活が始まったばかりの時で中学時代にチャールス・ロイドのグループやマイルス・デイビスのバンド、さらには60年代の初リーダー作『Life Between the Exit Signs』でお気に入りだったピアニストがチック・コリアに続いてソロ・アルバムを出す、ということで迷うことなくとびついた。
 
この時点ではチック・コリアはポリドール、キース・ジャレットはビクターとレコード会社も異なっているから録音されたピアノの音色も異なる物だと思っていた。
 
ただ、裏ジャケットの片隅にオスロのスタジオでECMというところが原盤を作っているらしい、ところまでは読み取ったもののそれ以上興味は持たなかった。あくまでも二人のピアニストの演奏に興味が集中していた。当たり前だけど。
 
しばらくすると、ECMという西ドイツ(当時)のミュンヘンにあるレコード会社が制作したアルバムを日本のトリオレコードが専売する事となって、この一連の録音はオスロの全く同じスタジオで同じエンジニアが録音している事がわかった。これは凄い!
 
今まで聴いていたジャズの録音は、60年代前半はスタジオよりもむしろホールで録音されたものの方が音が良かった。それがこの録音によって全く違う音像感へと耳の栄養が新たなエキスを吸収し始めることになった。
 
中学時代からの毎月のお楽しみは、鉄道の月刊誌(特に気になる記事がなければ立ち読みで済ます)とスイングジャーナルの購読。
ジャズに興味を持った小学校6年の時からの愛読書。
だから、毎月、ページをめくると、、、
こんな広告が飛び込んで来る!
 
これはスイングジャーナルの1973年5月号。
 
 
既にECMはトリオレコードから次々とニューウェイブをラインナップ。
次は何だろう? どんな世界だろう? と毎月待ち焦がれてページをワクワクしながらめくる。
 
ポール・ブレイが次はソロ・ピアノにラインナップ!!!
もう大事件だ。
 
もちろんこのアルバムは「私が好きなECMアルバム・ベスト」の文句なしのトップ。もちろん今でも聞く。
それと半世紀前に出会えている幸せ。
 
毎月、ジャズに人生で一番熱く思いを寄せていた時期だから、本の隅々まで目を通し、そこで様々な情報を発見した。
 
 
この時は、マイルス・デイビスの来日公演の情報でチケットを予約するので連絡先に丸印まで付けている。この時はデイブ・リーブマン入りの編成で、広島の郵便貯金ホールと翌日の大阪厚生年金ホール(昼)の二カ所で聴いた。
 
週末だったのもあるけど、広島は金曜日の公演で学校が午後から公欠扱い(遠路コンサートに出かける時の授業を公欠扱いになる音楽科独自のルールが功を奏した)だったので助かった。
 
 
その下にはスタン・ゲッツがリッチー・バイラーク、デイブ・ホランド、ジャック・ディジョネットと来る情報もあり、こちらは同級生のファゴット専攻の西森と一緒に岡山市民会館の公演に出かけた。
(記事には18日=倉敷とあるが、実際には岡山での公演になった)
 
この時代はいづれもホール公演だったのも恵まれていた。中高生でも気軽に聴きに行けた。しかも割引もあった。正に薔薇色の時代だ。
 
ペラペラとページをめくっていると・・・
 
「わたしはロバータの方が好き。ニーナはお金を出して二度と聴くきはしないの」!!
 
 
アン・バートンのブラインド・ホールドテストの記事が飛び込んで来たり・・・・
 
 
71年のスイス・モントリュー・ジャズフェスティバルの放送(NHK FM 新春ジャズフラッシュ)で聴いた強烈なガトー・バルビエリの演奏が耳に残っていたオリバー・ネルソンの『スイス・スイーツ』のリリース情報があったり、どこもかしこも、とにかく情報がぎっしりで隅々まで読破するのに一ヶ月は十分かかった。
 
 
後ろのページのヤマハ・アンプ。
この後見たマイルス・デイビスのステージに30台くらい並べられてPAの新時代の壮観な光景を思い出す。
今のネットの氾濫情報と違って裏付けと責任ある情報でこの量だから今とは比べ物にならない純度の情報が一冊にまとまっていたわけだ。
 
何でも薔薇色の時代にジャズに焦がれて本当に良かった。
それを伝えて行く立場だから頑張らなくちゃ!
 
 
 
 
 
 
【期間限定公開/無料動画】
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最新の動画です。2022年11月に栃木県足利市のartspace&cafeで行われた彫刻家藤岡孝一氏の個展BLUEの中の「JAZZ in BLUE」での演奏からダイジェスト。
約27分間の動画です。
写真をクリックするとartspace&cafeのページに飛びます。最初にコマーシャルが入る場合がありますのでご注意ください。
演奏:Toshihiro Akamatsu(vibraphone) Hakuei Kim(piano)
 
・Straight, No Chaser......Monk
・Violet Rays.....Toshihiro Akamatsu
・Synonym......Toshihiro Akamatsu
・White Forest......Hakuei Kim
・Beyond the Dream......Toshihiro Akamatsu
・Lake Sagami......Hakuei Kim
・The Gleaner......Toshihuro Akamatsu
enc
・Blue in Green......Miles
 
Nov/13/2022 artspace&cafe @ Ashikaga, Tochigi.
 
Coming Soon!
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2023年5月6日(土)東京・成城学園 Cafe Beulmans
第四回 望月慎一郎(p)赤松敏弘(vib)Duo
開演13:30 (開場13:00)



MC: 3300円+2drinks order
問い・予約 03-3484-0047

東京都世田谷区成城6-16-5カサローザ成城2F

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【最新プロデュース・アルバム】
 
2023年1月25日発売!
現在の東京のジャズシーンで既にライブでは人を振り向かせる存在となりつつある新人実力派ヴァイビスト・吉野智子。今回そんな彼女のデビュー作のプロデュースを担当しました。
スタンダードもオリジナルも一つ一つ吟味して揃えた瑞々しさに溢れた作品に仕上がっています。試聴された方からはとても新人とは思えない堂々としたプレイに驚きも寄せられています。
メンバーは現在の東京のジャズシーンの若手を代表する精鋭揃い。
是非是非応援宜しくお願い致します。
 
KALEIDOSCOPE / カレイドスコープ
Tomoko Yoshino / 吉野智子
3000円+税
2023年1月25日発売 (WISE RECORD/WR-202301)
 
全国のCDショップ及びネットショップからお手元に。
 
■演奏
Vibraphone : 吉野智子 Tomoko Yoshino
Piano : 雨宮彩葉 Ayaha Amamiya
Bass : 鉄井孝司 Koji Tetsui
Drums : 小田桐和寛 Kazuhiro Odagiri
 
他。
 
■吉野智子WEB
今回は新たな試みとしてCD発売と同時にサブスクでの配信もスタートしました。
 
詳しくはこちらのページから
■Tomoko Yoshino's subscription link
 
皆様、応援宜しくお願い致します!
 
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■赤松敏弘 official site VIBRAPHONE CONNECTION
発売中のCD、ライブ情報、電子書籍やインタビュー掲載誌等、ジャズ、ヴィブラフォン、演奏法、ジャズセオリーと、ジャズやビブラフォンの周りにある様々な疑問も解決するお役立ち情報も満載。
1997年開設以来のユーザーからの様々な質問や情報交換もアーカイブとして保存中。是非一度お立ち寄りください。
( http://www.vibstation.net )



■赤松敏弘 FaceBook ( https://www.facebook.com/akamatsu.toshihiro/ )




■赤松敏弘 Twitter

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【サブスク ヴィブラフォン】
 
2000年発売のアルバム「Next Door - birth of the “Swift Jazz”」から
2020年発売の「Next Door - New Life」まで、
VEGAレーベルで発売した10枚のアルバムから人気曲を
高音質でお届けしています。
 
 
色んな意味で生活の中で占める音楽の比率がコロナ以降高まりつつあります。
「聴いて」楽しむ音楽!
好きな時間に、お気に入りの場所で、くつろぎながら
そこでは無限の想像力が、あなたをお待ちしています。
 
 
是非どうぞ!
 

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それでは今日も楽しい一日を!

 


【放送 / ラジオ、テレビ

今週のオンエア (4月14日~4月23日) 
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)

番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』

癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。

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■平日(月〜金) 5:00〜6:00 ■金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00
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“路面電車のある風景 - 1”

『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)


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■日曜 23:00〜24:00
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“ねこの足跡”

21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。

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■日曜 24:30〜25:00
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散歩の風景 夏から秋

『KALEIDOSCOPE/吉野智子』(2023年プロデュース作)


演奏:吉野智子(vib)雨宮彩葉(p)鉄井孝司(b)小田桐和寛(ds)



首都圏以外の方はこちらの「エムキャス」で全国からスマホやパソコンでリアルタイムにお楽しみいただけます。
★エムキャス→https://mcas.jp/c/mx2.html
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