音楽は聴く人が自分の都合の良い時に、お気に入りの場所で聴いて楽しむことの出来る最高の娯楽です。音楽が聴いて楽しむものである限り、他の娯楽よりも一段上の癒しを齎してくれます。それは、自分が何もしないでもいいからで、例えばゲームだといちいち指や手で操作をしなければならないし、読書だと文字を読まなければなりません。もちろんその行為がなんとも言えない充実感を生むのも知っていますが。
何もしなくても、音楽は聞こえてくれば耳を澄ませるだけでいいのです。目を閉じてそのまま寝てしまってもいいし、他の仕事をしながら聴いてもいいのです。運転しながら楽しめる娯楽なんて他にはそう無いでしょう。考えてみればすごいですよ、これは。
まぁ、それが怠け者の娯楽と映ってしまっても、ある意味否定するつもりもありませんが(笑)
聞こえてくる音楽によって、頭の中で勝手にいろんな想像力を働かせて楽しむこともできます。ゴロンとしていながらも自分の部屋から数百キロ離れた大自然の中にいる自分を勝手に想像したり、いつかみた心に沁みる夕焼けを思い出したり、全然近場にはないのに海辺をドライブしている気分になったり。
音楽が無くならない一番大きな理由が、この、人間の勝手な想像力の部分に音色という刺激を与えることで心の中に活力を生むことでしょう。どんな絶望的な時でも、有頂天の時でも、音楽はきっとあなたを主人公に仕立て上げてくれます。
ジャズのアルバム、主にインストですが、一日の時間帯で聴きたいアルバムが色々と異なっている楽しみに気づいたのはジャズを聴き始めてすぐの頃でした。
ジャズというと印象から夜の音楽、というレッテルが貼られていましたが、それが70年代頃から覆されて朝に聞けるジャズ、昼に聞きたくなるジャズ、午後の日差しの中で聞くジャズ、夕暮れの感動的な夕焼けの中で聞きたいジャズ・・・・などと、自分の中で勝手にどんどん篩い分けされました。
まぁ、月並みなところでは、朝ならスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトのボサノヴァなどがピントくるのではないかと思います。よく季節で例えばボサノヴァは秋の紅葉の季節に聞きたくなると言いますが、実際にボサノヴァの歌詞にはMarchがたくさん出てきますが、南半球のブラジルの三月は北半球では九月ですから、確かに的を得ているわけです。
季節があるなら、一日の中の時間帯でも聞きたくなる(勝手に自分が似合うと思っている)ジャズがあります。
午後8時頃とすれば、年間を通じて夜の時間帯。やっぱりモダンジャズでしょうね。王道の。
午後11時日頃とすれば、深夜帯の始まりで、この頃になるとバラッドなんかがお似合いでしょう。
さて、午前4時から5時頃の東の空が白々しく明け始める頃となるとなんでしょう? ただし、これは一晩中起きていた時の明け始めで、決して早起きの早朝ではないのです。
僕はこのアルバムです。
『Life Between the Exit Signs/Keith Jarrett』(vortex/1967年)
- "Lisbon Stomp" - 6:06
- "Love No. 1" - 6:17
- "Love No. 2" - 4:32
- "Everything I Love" (Cole Porter) - 4:33
- "Margot" - 3:45
- "Long Time Gone (But Not Withdrawn)" - 4:55
- "Life Between the Exit Signs" - 6:53
- "Church Dreams" - 6:17
Rec : May 4, 1967 @ Atlantic Recording Studio, New York City.
中学時代、当時始まった深夜放送ラジオにハマっていてオールナイトニッポンを聞き終えると午前5時。季節によってはちょうど東の空が白々と開け始めるわけです。学校が始まるまで時間はあるし、最初の頃はチャリで誰もいない街の中を走り回りました。日中では絶対に走れない市電の軌道敷や大通りのど真ん中をジグザグ運転とか、アーケード内を全速力で走ってシャッターをガタガタ揺らしたり・・・。アホなことばかりでしたが、この始発の路面電車が走り始めるまでの僅かな静寂の時間帯があるのを知ってしまったわけです。
ある時、このアルバムが頭の中で流れ始めました。誰もいない早朝の街中の空気と、僕の中で見事に一致してしまったのです。
このキース・ジャレットのデビュー作は、決して聞きやすい音楽ではないけれど、その後のキース・ジャレットの全てが曲と演奏でコンパクトに閉じ込められているんです。ジャズ界でも唯一無二のオリジナリティー溢れる作曲の主でもあるキース・ジャレットの音楽に、東の空が白々と明け始める時間帯の空気が一致してしまったのです。
先日、実家滞在中に、今でもそう感じられるだろうかと、東の空が白々と明け始める頃に表に出てみました。
始発の路面電車の来る前のこの時間帯です。
ああ、やっぱり、今でも僕にはこの時間がこのアルバムにぴったりでした。
車こそ少し走っていますが、人はいません。狙い通りでした。
表通りから一本入ると東に真っ直ぐの小径。その先に白い教会があるこの光景は子供の頃から変わりません。
誰もいない街の中に、このアルバムがどうしてピッタリとはまるのかわかりませんが、理由なんかなくてもいいんです。音楽はそうやって自分で好き勝手に楽しむものだからねぇ。
一昨年好評を博した藤岡孝一氏の木彫の展覧会を開催します。前回にもまして意欲的な作品が多数出品されます。期間中の11月13日(日)には藤岡氏と親交のある日本を代表するヴィブラフォン奏者赤松敏弘氏と人気ピアニスト ハクエイ・キム氏によるデュオと藤岡氏の作品とのコラボをお楽しみいただくイベントを開催致します。どうぞご期待下さい。
【イベント料金】2.500円 (1ドリンク付き/要予約)
※先着30名様限定とさせていただきます。
【お申し込み、連絡先】
栃木県足利市通2丁目2658
artspace & cafe ☎ 0284-82-9172
https://artspace-and-cafe-ashikaga.com/
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■2022年11月19日(土)東京・成城 CAFE BEULMANS
開場 19:30 開演 20:00
第二回(8月延期分)望月慎一郎(p)赤松敏弘(vibes)Duo
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■2022年11月30日(水)神奈川 茅ヶ崎 Storyville
開場 18:30 開演 19:00
赤松敏弘(vibes)×酒井麻生代(flute)Duo
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- 問い・予約0467-91-9604
- 〒253-0056 神奈川県茅ケ崎市共恵1-8-19 中島ビル1F
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それでは今日も楽しい一日を!
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番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』
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“ねこの足跡”
21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
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金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00
日曜 12:00〜12:30 祝日 12:00〜12:16
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“路面電車のある風景 - 1”
『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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土曜 6:00〜7:00 / 13:55〜 / 26:30〜27:00
日曜 6:00〜7:00 / 26:05~26:35
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“猫の足跡 看板猫”
22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)
演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
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月曜〜金曜 17:00〜 (東京シティ競馬中継の時はお休み)
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“東京点描 城南1”
『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)
演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
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