RE:TRIP

2015-12-30 | Varde77
こんばんは

Varde77店長の呉です。




2015年も残りわずか

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?




つかの間の休日の方、年越しもお仕事の方

いろいろな方がいらっしゃるかと思います。




僕はと言いますと、例年までの過ごし方とは違う時間を送っています。

縁あって、自分の元に届いた二輪 CL72とともに

生まれ育った場所へと向かうことにしました。


そこに住まう家族は別の場所に移住し、もういませんが

あても無く、この時間を自分らしく使う。

1年に1度くらいは良いのではないかと思ったのがはじまり。


でしたが、意識的にか無意識的にか

現在拠点としている東京にはない、置き去りの記憶を辿るロードトリップになっているように思います。




そんな、極私的な時間経過の記録

お暇な方は、少しだけお付き合いください..






今回は、往路のみ走行距離片道240KMを下道で辿る。

これはスタート前から決めていた1つだけのルールとしました。

それ以外は全くの計画を設けず、ただ気の向くままに二輪を走らせるだけ。





東京を出たのは早朝、夜明け前。

すぐに馴染みの多摩川を越え、神奈川入り。



この時期、暖冬とはいえ冷え込みの厳しい12月。

朝夜の気温は0℃までは至らぬものの、1桁は当たり前です。

今期のダウンジャケットをメインに、中にはUSEDのフリース、サーマル、インナー×2を着込み

ボトムにはスパッツに、ロングのソックス、レッグウォーマーにコーデュロイPTを細・太の2枚重ねで臨む姿勢。

一際ボリューミーな外観にはなっていますが、重ねずにはいられません。




ひたすらに国道246号線を南下し、メインの国道1号線を目指す序盤。

普段は、電車でしか巡らない場所ばかりの生活にはない

細部まで見える移動は、退屈させない景色となります。


厚木を抜け、茅ヶ崎。

ようやく海沿いの通りに出た時は、ちょうど日の出を迎えたばかりの時間帯。

久々に"海"自体を肉眼で見る。


誰かにとっては、当たり前に毎朝見る、入る海も

自分の生活リズムには、決して交わらないもにになってしまったもの。

いつからなのかは思い出せない。

ただ、久しぶりに対面するそれに心を奪われ

一瞬、走りを止め向き合う時間は、ルーティン化された今の生活にはないものだった。



ただ、この先200KM

じっくりと物思いにふけって立ち止まっている時間はない。

早々に速度を上げて、平塚・小田原を越えて箱根入り。




昨年末に、Varde77総勢で箱根に旅行したのが懐かしい。

道をたどることで、より鮮明になり、より時間の経過を深く感じる。

ここで、この道筋が自分の過去を巡る旅となっていることに

うっすらと気づき、二輪を走らせながら1つ1つゆっくり回想しながら

目的地への距離を縮めていくことになった。



これも、CL72が繋いでくれた

ある文筆家の方から言付けられた、1冊の本が僕大きく影響していたことも

同時に思い出した。





それにしても、箱根越えには参る。

海も遠ざかっていた存在ではあるが、山もその1つに挙げられる。

詰まる所、自然から無意識・環境的に遠ざかっているということだ。

標高が増すごとに、一層に寒さが厳しくなる。

レザーのグローブの下に、ウールの手袋をはめていても

指先の感覚はなくなり、痛みとなって痺れさせる時間がしばらく続いた。

そして、何度も訪れるカーブには一瞬も気を抜けない。

そんな中、古い年式の二輪は快調にレスポンスを繰り返し

登りきり、下りとなる。




眼下に突然現れた芦ノ湖もまた、茅ヶ崎の海と等しく

なんだか足を止めたくなる魅力がそこにはあった。

こんな冬の時期、観光客もなく

遊覧船の仰々しさも、逆に寂しさを煽った印象さえ感じた。

ただ、山々の中に突然現れた大きな水溜りには

快晴の空が左右対称に映り込み、僕以外誰もいないその場所には

寂しさとは、また違う何かを感じることができた。




ここからは、一気に下りの道筋。

下りもまた、気を抜けないカーブが続く。

そして三島入り。

がらんと広がった平野を、ただただまっすぐに走り抜けた。

三島、沼津、富士、清水

駿河湾を左手に、ひたすらに海岸沿いに走らせた。

速度も増す中、時間と距離を稼ぐには絶好の場所になったように思う。




そして、1つの目的でもある静岡市入り。

ここで初めて、国道を下り市街地に入った。

ゆかりのある人々がいる街は、これまで通過した場所とは違い

一定の親近感が湧く。

Varde77 ブランドスタート当初から取り扱いをして頂いていたWIGWAM (現在は合併しHEIGHTS)

そのスタッフの健文くんに会う。

年齢も同じで、雰囲気も近い彼とは

今はなかなか顔を会わせることは少ないですが、落ち着く時間。

仕事中にもかかわらず、休憩で食事をし

近況や、洋服の話、先輩の話、街の話に花を咲かせることができた。

彼と別れる頃には、もうすっかり日も昇り

むしろ暑ささえ感じる日差し。

HEIGHTS一輝君にも会いに足を延ばすが、タイミングが合わず

残念ながら顔を見ることができなかった。

が、これは改めてまた足を運ぶ口実になると考えている。




静岡市を出たら、あとは一気に速度を上げるだけ。

目的の浜松ももう残り70KM台。

早まる気持ちと、強い寒風が後押しして大井川・天竜川を越え

自分の育った街へと入る。




上京して10年

ちゃんと訪れるのは3度目となった。




自分の記憶を巡る時間

やはり、この街で大きく心を動く瞬間が待っていました。

このために、240KM走ってきたのか。




少々長くなってしまっているお話。。

写真もなくお届けしていますが、残りは明日載せたいと思っています。

極私的で、大きな面白みもないお話。

もう少しだけ、お付き合いください。