結果はご存知の通り、1-3の完敗…
結果以上に、内容に差があった試合。まあ、いつものように、若干、愚痴をこぼしたいと思います。
●ラニエリ采配
この試合のフォーメーション。
カニサレス
カルボーニ アジャラ カネイラ モレッティ
マルチェナ アルベルダ
ルフェテ アイマール
フィオーレ
ミスタ
この試合、ルフェテ、カニサレスと2名が怪我をしてしまった為、戦術的な交代を出来なかったという点は言い訳にもなり得るが、その怪我人の交代もカード・タイミング共に悪かった。
まずは、前半7分のルフェテの怪我。今週違和感を持っていた右足ハムストリングの肉離れ。切り替えしの際に再発。そして、交代出場したのが、突如召集されたバレンシアBの右サイド、ファンル。最終的に、アングロはやはり恥骨炎の治りが悪かった模様で、アップもせず。メディカルスタッフの問題でもあるが、そのような選手を遠征メンバーに帯同させるべきかどうか。相手をかく乱させる目的がイタリア人監督的にはあるのかもしれないが、自分まで惑わされているように思えて仕方ない… ルフェテの怪我の再発も含め、やはり気になるところ。
この大事な試合に、いきなりバレンシアBの選手を心の準備なく投入するのはかなりリスクの高い交代。リーガでまだ出場経験の無い選手を前半の早い段階で怪我による交代で出場させることはあまりに酷なこと。多分、本人もいきなりアップを命じられ、何が何だかわからないうちに試合に参加していて、恐らく、あまり試合のことは覚えていないはず。しかも、対峙するのは経験豊富なアルアバレーナ。
普通に考えれば、シスコを投入し、右サイドにフィオーレ、センターにアイマールを移し、左にシスコが入ればすっきり収まったはず。アイマールの左サイドも完全にビジャレアル側に研究されていて、アイマールが持てば複数人でファール覚悟で止めにいっていた。
そして、このファンルは、結局、後半開始にディバイオと交代。途中出場の選手が怪我でもなく交代するということは、選手の責任以上に監督の采配ミスを自ら明らかにするようなもの。ましてや、ファンルにとっては精神的にもダメージになったほろ苦いデビュー。
また、このディバイオが結局、後半のPKを失敗し試合の流れをビジャレアル側に戻してしまったのも敗因の1つ。確かに、PK失敗のディバイオも責めるべきだが、今シーズン、バレンシアのPKキッカーは恐らく決まっていないのが現実的。去年は、ホルヘ・ロペス、あるいはビセンテがキッカーを務めていたが今はいない。PKは前線の選手が蹴ることが多いが、今シーズンのバレンシアはレギュラー確約の前線の選手がいない為、常時任せられるキッカーがいないのも事実。練習でも真剣なPK練習は見た事がない。
もう1人の怪我人、カニサレスの交代もかなり疑問の残る交代。既に前半の途中の段階でカニサレスは足を痛め、明らかに痛そうな様子。しかしながら、ベンチから何も声がない。通常、GKが怪我をした場合、試合を止めて、しっかりチェックするが常識。倒れていなくても、痛そうにしていれば、ベンチから何らかのアクションがあって然るべき。しかしながら、ベンチを見ている限り、その様子はなかった。カニサレスも無理をしたのか我慢してプレーしていた様子。その結果、前半ロスタイムのリケルメのシュートを許すことになる。確かに、あのシュートは、リケルメ特有の無回転シュートでボールの軌道が変化するもの。恐らく、GKとしては立ち足とボールインパクト時のボールの軌道を瞬時に判断し、右サイドへ体重移動させた様子だが、ボールは左へぶれながらゴールへ吸い込まれる。確かに、素人目にはカニサレスのミスと見受けられるが、ボールの変化とカニサレスの怪我を差し引けば、このゴールもある意味正当。結局、カニサレスは後半25分すぎにパロップと交代…
●リケルメ対策
先週の練習を見る限り、バレンシア側の最大の焦点は、“いかにリケルメを抑えるか”。その為にある程度、リケルメ対策の戦術トレーニングを積んできたにも関わらず、結果的にはリケルメにハットトリックを許すことになる。
前日のバラハのリタイアもあり、ダブルボランチにアルベルダ、マルチェナを入れたことは普通の流れのように思えるが、明らかにリケルメ対策の1つとしてラニエリが採用したシステム。カルボーニの右サイドバックも恐らく、リケルメを考えてのこと。リケルメのプレーの特性を考えれば、左サイドでボールを受け、中にドリブルを仕掛けていくスタイル。よって、左利きのカルボーニであれば、自分の利き足でリケルメのドリブルに対応出来る利点がある。
しかしながら、結果的にはダブルボランチも右サイドバックカルボーニも全く機能せず、好き放題やられる始末。確かに、ビジャレアルのFWグアイレ、フォルランがサイドに流れ、センターにスペースを作りそこをリケルメやエクトール・フォントがうまく使っていたのも事実だが、最低リケルメがボールを持てば激しくチェックにいって然るべき。驚くべきことに、この試合、リケルメに対するバレンシア側のファールは、0
勿論、ファールはファールでそれを推奨するつもりもないが、相手エースに対してファール0という数字は、信じられない数字。対して、ビジャレアルがアイマールに対して犯したファールは8。はっきり言って、この違いが全てを物語ったといっても過言ではない。
ラニエリが試合前にどのような指示を出していたのかわからないが、この日のバレンシアは明らかに中盤でプレスが利かず、チームとしてのバランスが悪かった。まあ、バレンシアの悪さ以上にビジャレアル側の出来を褒めるべきなのかもしれないが、守備組織、ディフェンス意識というものは、選手1人1人のその日の調子に関係なく、構築出来るもの。その練習を大半の時間をかけてやっているはず。
また、後半ディバイオを投入したことによって、事実上、サイドハーフの選手がいなくなり、サイドでボールの基点を作れず、攻撃がセンターからの単調なもの、アイマールのドリブル頼みになってしまった。挙句の果てに、ダブルボランチを捨て、マルチェナを右寄りに持っていくなど、意味不明なシステムとなってしまった。
●コンディションの低下
確かに、先週1週間のチームの状況を考えれば、この試合の低パフォーマンスもある程度理解は出来る。カネイラの娘の逝去により、急遽、オサスナ戦翌日に休み返上でポルトガルへ飛び、葬儀に参加。チームの取り巻きもその件でバタバタし、落ち着いて練習に取り組めるようになったのが、カネイラが復帰した木曜日あたりから。
選手としては、フィジカルコンディション以上に、精神的ダメージも大きかったはず。
が、しかし、一番コンディションが悪いはずのカネイラの頑張りをチームメイトはどう見ていたのか。前半でのフリーキックのこぼれ球のボレー、後半残り時間が少なくなる中でのオーバーラップ。アジャラ同様、DFラインで必死にコーチングをする姿。
一番、試合を出来るコンディションにないはずの彼がこれだけ頑張り、喪章までつけて試合に臨んでいたにも関わらず、チームとして走れない、プレスをかけれない、パスミスが多い、では済まされないはず。無駄な精神論は唱えるつもりもないが、少しはそういった気持ちを汲んでやっていたはず。
とまあ、3点程、愚痴ってしまいましたが、その愚痴以上にビジャレアルのサッカーが素晴らしいというもの事実。チームとしてはっきり監督のコンセプトが選手に浸透し、パスも人も流れるように動く。特に、前線のフォルラン、グアイレの2人のボールの無い所での“無駄”な動き。一見すると無駄ですが、チームにとってはスペースを創り出すいいオフザボールの動きとなっていて、実に有効的な動き。味方がボールを持てば、必ず、パスコースを作り出そうとチーム全体が動き、複数のパスコースが出来る。よって、早い段階での判断が可能になり、ダイレクトのパスが可能になる。対して、バレンシアは、1人がボールを持っても孤立無援。。。技術以上に、“信頼関係”というものを感じる試合でした。
この試合、スペイン代表監督のルイス・アラゴネスも観戦。恐らく、PKストッパーのレイナの活躍はしっかり観たでしょう。(カニのミスも観ているので、ちょっと不安ですが…)帰りは、彼を目撃しましたが、試合後即行でした。