酒場聖なる語人の
「酒まかせ」
さて
赤い夕陽に ガアドが熟れりゃ
酒場だまりの スミ子の店に
揺れてオイデスル 縄のれん
指で弾けば 相待ち笑顔
敷居さえ 跨げば
酒まかせ
はて
少し独酌も 廻ったようで
酔いに伴れられ ヨーコの店へ
杯を重ねりゃ 口八丁
弛(たる)む口もと 大法螺子ぼら
甘言さえ お出まし
酒まかせ
ほて
眩しいほどの 通りを避けて
終の止まり木 テルミの店へ
しどろにもどろの 酔いしぐさ
酒まかせ
どうにも泥ろ酔い 看板のれん
仕舞うさえ 夜毎の
酒場聖なる語人の
「まかせ酒」
何んでも良いんだよ 独酌の当ては
一人ちびりき 呑るからさ
手造り自慢の
突出し小皿に 立つ香り
好燗 人肌
猪口を啜って
舌鼓
それで上等だよ 徳利の替えは
揃いの絵柄で 無くってもさ
お造り自慢の
刺身魚の 粋の良さ
人情 巡盃
話し誘って
語るくせ
それで良いんだよ 小腹の足しは
冷めた賄いの 残りでもさ
包丁自慢の
板長帰して もう一献
看板 消灯
暖簾仕舞って
差し差され
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