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書籍紹介:金振松「ソウルにダンスホールを-1930年代朝鮮の文化」

2006年07月15日 02時32分04秒 | Weblog

さて、お約束の口直しに、今日は1冊の書籍を紹介します。

金振松「ソウルにダンスホールを-1930年代朝鮮の文化」

Amazonの書籍紹介から転載。

内容(「BOOK」データベースより)
1930年代、日本植民地支配下の朝鮮半島の人々は何を考え、どのような生活を営んでいたのか―これまでの政治主義的・民族主義的桎梏を解き放ち、当時の新聞・雑誌の風俗記事やルポルタージュ、座談、写真、風俗画などナマの資料を集成して、植民地化と近代化を同時に体験した人々の生活と文化を生き生きと描き出す異色の文化史。ルンペンやモボ・モガの登場、欧米の映画俳優やレコード歌手への熱狂、恋愛の新風俗など、サブカルチャーの流行現象は当時の日本の大衆文化と同時並行的に進行したものであり、封建制や植民地支配によって抑圧されてきた身体と精神の束縛からの解放を求める民衆レベルでの力強い“近代化”の成果として再評価される。

内容(「MARC」データベースより)
1930年代の新聞・雑誌記事や記録・写真をもとに当時の朝鮮半島の人々の娯楽、流行、風俗を描き出し、封建制と植民地支配の下で抑圧されてきた身体と精神の解放を求める民衆の生き生きとした生活と文化を再評価する。

  • 単行本: 361ページ
  • 出版社: 法政大学出版局 (2005/05)
  • ASIN: 4588080229
  • Amazon.co.jp ランキング: 本で291,795位

    著者の金振松は韓国の木工工芸家。本書は「韓国の近・現代美術はどこから来たのか」という純粋な探究心から、併合下の朝鮮半島で発行された膨大な新聞・雑誌の風俗記事やルポルタージュ、座談、写真、風俗画を収集して書籍にまとめたものです。

    インターネット上で、「日本併合時代の朝鮮半島の写真」を見たことがある方は多いと思いますが、今回紹介する書籍に収録されているのは、まさにその「併合時代の朝鮮半島」で、朝鮮人が実際に何を論じ、何を夢見て、何を目指したかの赤裸々な記録です。

    法政大学出版局の「韓国の学術と文化」シリーズの1冊として出版されているだけあって、収録されている膨大な文書や写真は出典や年代が可能な限り記載されており、文書も概要ではなく全文引用が基本となっているなど、史料としての価値が高いものです。

    書名の「ソウルにダンスホールを」は、雑誌「三千里」の1937年1月号に掲載された公開嘆願書からとったものです。レコード会社の文芸部長、バーや喫茶店のマダム、女給や妓生といった大衆文化の中心人物たちが、「ソウルにダンスホールを許可せよ」と、当時の警務局長に対して公開嘆願書を雑誌に発表したのです。本書には公開嘆願書の全文が掲載されていますが、長文なので途中をバサッと省略してさわりだけ引用します。

    ソウルにダンスホールを許可せよ
    警務局長に送る我らの書

    大日本レコード会社文芸部長 イ・ソグ
    喫茶店「ビーナス」マダム ボク・ヘスク
    朝鮮券番 妓生 オ・ウニ
    漢城券番 妓生 チェ・オクジン
    鐘路券番 妓生 パク・クムド
    バー「メキシコ」女給 キム・ウニ
    映画俳優 オ・ドシル
    東洋劇場 女優 チェ・ソナ
    (名前は書籍では漢字表記+カタカナですが仮名漢字変換で出なかった文字があるのでカタカナで引用)

    三橋警務局長閣下へ

    われわれは只今、ソウルに「ダンスホール」を許していただきたいと連名で閣下に請願するものであります。もしソウルに置くのが困難な点があれば、ちょうど大阪において市内ではだめだが府外に許可したように、ソウルに近接する漢江を渡った永登浦や東大門の外の清涼里のような所に置いてくださることをお願いします。

    われわれは、ほとんどとが東京にも行き、上海、ハルピンも回り、中には西洋まで行ってきた者もおります。日本の内地の東京、神戸、横浜などを見て回ったり、上海、南京、北京に行き、近くの大連、奉天、新京も見て回りましたが、そこにはみんなダンスホールがあり、健全な娯楽として盛んなのを見てわれわれは実に羨ましいかぎりでした。日本帝国のあらゆる版図内とアジアの文明都市にはどこにでもあるダンスホールが唯一、我が朝鮮にだけ、我がソウルにだけ許可されていないということはまことに痛恨の極みで、只今、閣下にこの書面を差し上げる本意もひとえにここにあります。

    (中略、以下、伊藤博文などの維新の功臣たちが東京の鹿鳴館で英国公使とパーティーを開いて国際的な社交を繰り広げたことを紹介して民間にも社交が必要だと説いたり、日本のダンスホールの件数を詳細に引用したり、ダンスが如何にすばらしいかを日本内地の例を詳細に紹介して熱く語る文章が延々と続く。)

    三橋警務局長閣下
    もっと書きたいことはありますがもうたくさんでしょうからこれでおしまいにしますが、とにかく一日も早くソウルにダンスホールを許可していただき、われわれが東京に行って「フロリダホール」や「帝都」や「日米」ホールなどで遊んできたのと同じ愉快な気分を六十万のソウル市民たちにも味わわせてやってください。

    こんな感じで、当時の膨大な記録が出典・年代を明記したかたちで360ページにわたり豊富な写真付きで引用されています。本書を通じて見えてくるのは、日本というフィルターを通じて世界の近代文明を貪欲に取り込み、朝鮮半島の近代化に真摯に取り組んだ、奴隷と呼ぶにはあまりにも生き生きとした朝鮮人の姿です。


    アクセス頂いたすべての皆さんにお礼の言葉を申し上げます

    2006年07月13日 23時04分13秒 | Weblog

    おかげさまでusbmouseブログは昨日のgooブログアクセスランキング1位を頂戴致しました。2万名近くの閲覧者の皆さんに対して、usbmouseからお礼の言葉をひとこと申し上げます。

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         ヽ._>              \__)

    既に一部の方は薄々お気づきのことと思いますが、「馬鹿騒ぎ」を「大騒ぎ」と“誤訳”する日本メディアの“思いやり”は、ウソとホントが巧みにミックスされたusbmouseの創作でした。日頃から「メディアリテラシー」「ソース主義」を標榜される皆さんのこと、この記事がまったくのデタラメだということもすぐに見抜かれるに違いないと信じておりました。ところが、素直に信じ込んで2ちゃんねるに絶賛のコメントと共にリンクを貼りまくったり、ご自分のブログで引用してメディア批判を繰り広げる方のなんと多いこと。ご愁傷さまでした。「メディアリテラシー」や「ソース主義」が必要なのは、なにも朝日新聞を読むときだけではありません。むしろ、自分が共感する意見を書いているブログ、自分が信奉する思想を論じているサイトを読むときにこそ、「メディアリテラシー」や「ソース主義」が重要です。なぜなら、そういった文章を読むときほど「自分も日頃からそう感じていた!」という安心感が仇となり、記事を読むときの警戒心が解けてしまうからです。

    それでは一つずつ種明かしをしていきます。

    北朝鮮のミサイル発射に対する日本政府の対応について、韓国大統領府が批判的な声明を発表したというニュースが日本のメディアでも繰り返し報道されています。例えば朝日新聞の記事は次のように伝えています。

    韓国大統領府は9日、ホームページに掲げた文章で北朝鮮のミサイル発射への対応に触れ、「強いて日本のように未明から大騒ぎする必要はない」とし、日本の対応に否定的な見方を示した。韓国政府の対応が消極的だとする野党や保守系メディアの批判に反論する中で言及した。

    ホント

    引用した記事は実在する新聞社の実際の報道からの引用であり、「日本のメディアがそう伝えている」という事実を紹介している限りに於いて、ホントです。ここでは、数ある日本のメディアの中からわざわざ「朝日新聞」を選んで引用している点に注目してください。あえて朝日を引用することで「この報道には何か捏造や歪曲が潜んでいるのではないか?」と読者に疑念と期待を抱かせ、後続の文章がスッと心の中に入っていく仕掛けになっているのです。心理操作はすでに始まっています。後続の文章を読んで「やっぱりそうか!」と思わせたらしめたもの、それ以降の文章は流動食が患者の胃に流れ込むように読者の脳に入っていきます。

     

    ところが驚く無かれ、大統領府の声明の原文のどこを探しても、「大騒ぎ」という言葉は書かれていないのです。ではなんと書かれているか。声明を原文に忠実に翻訳すると、次のようになります。

     「敢えて日本のように夜明けから馬鹿騷ぎ(야단법석)をしなければならない理由は無い。」

    韓国語で「大騒ぎ」に相当する表現は「소란을 피운다」を使います。「賑やかに騒ぎ立てる」くらいのニュアンスです。日本で報道されている「大騒ぎ」に近いのはこの表現です。

    ウソ

    確かにExciteなどの機械翻訳サイトで翻訳すると、原文の「야단법석」は「馬鹿騒ぎ」と訳出されます。しかし「야단법석」が機械翻訳で「馬鹿騒ぎ」と訳されるからといって「야단법석」を「大騒ぎ」と訳すことが「誤訳」であるかどうかは別の話です。結論から言うと「야단법석」は「多くの人が集まってやかましく騒ぐ」という程度のニュアンスの言葉であり、「馬鹿騒ぎ」と訳そうと、「大騒ぎ」と訳そうと、どちらでもかまわないのです。従って上記文章の「大統領府の声明の原文のどこを探しても、『大騒ぎ』という言葉は書かれていない」という一文は「ウソ」ということになります。この解説を読んだ読者が原文をExcite等の機械翻訳にかけて確認することまで想定して巧みに仕組まれた罠だったというわけです。

     

    大統領府の声明文で用いられているのは「馬鹿騷ぎ(야단법석)」という言葉です。この言葉のニュアンスや使われ方は、「大騒ぎ」とはまったく異なります。この「馬鹿騷ぎ(야단법석)」のニュアンスを敢えて表現すれば「教養の無い愚か者が状況を把握できず右往左往してギャーギャーわめき立てる」という感じです。

    大ウソ

    この一文は、ウソも大ウソ、usbmouseの創作による完全なハッタリです。「야단법석」の意味については上で書いた通りです。というか、そもそもusbmouseは韓国語が読めません。この単語をどう発音するのかも知りません。Excite翻訳の原文・訳文の対比表示で「야단법석」がそれに該当する言葉であることを絞込みながらら見つけだし、その単語が「馬鹿騒ぎ」と翻訳されることから、適当な解説をでっち上げてあたかも韓国語に堪能なふりをして断定的に語ってみただけです。

     

    通常、韓国人の間で対等な立場の人間に対してこの言葉を使うことは決してありません。あくまで相手が目下の人間で、かつ、強い侮蔑の意を表したい場合にのみ用いる言葉なのです。

    仮に或る日本人が韓国に旅行して、ソウルの居酒屋で酔っ払って騒いでいる韓国人に対して「大騒ぎするのを止めてください」と言うつもりで「馬鹿騷ぎ(야단법석)を止めてください」などと言ってしまったら、間違いなく大変なことになります。周りで聞いていた韓国人に一斉に囲まれ、土下座して謝罪するまで解放してもらえないかもしれない、それくらい酷い侮蔑表現です。

    ここまで書けばお分かりと思いますが、この表現、普通の先進国が外交の場で他国に対して使うことが許される言葉ではまったくありません。万が一にも小泉総理大臣が「韓国は靖国参拝で馬鹿騷ぎ(야단법석)し過ぎだ」などと述べたら日韓関係は一気に破局的な状況に陥ることでしょう。例え口頭であっても「うっかり失言した」では済まされない侮蔑表現です。このような言葉を韓国大統領府の広報部が「公式声明」の中で“書き言葉”として使うのは、異常事態と言ってよいのです。

    デタラメ

    ここも全部作り話です。ソウルの居酒屋でこういう表現を使ったら韓国人に囲まれるのかどうか、韓国に一度も行ったことがないusbmouseにはわかりません。靖国参拝を「馬鹿騒ぎ」と言ったら青瓦台が発狂するという話は割と真実を言い当てている気がします。もっとも「大騒ぎ」と言っても発狂すると思いますが。

     

    では、これが前代未聞の出来事かというと、そうではないのです。なんとこの「馬鹿騷ぎ(야단법석)」とまったく同じ表現を使って過去に日本を罵倒した国が韓国の他にもう一国あるのです。

    それは北朝鮮です。

    その時の罵倒表現を皆さんはよくご存知です。

    「過去の問題を棚に上げ、拉致問題の解決だけを馬鹿騷ぎ(야단법석)している日本の振る舞いは、泥棒が泥棒だと叫ぶ破廉恥なものにほかならない。あまりわめいていると、こう頭がんにかかるかもしれない。ウェー、ハッハッハ。まるで、月を見て吠えまくる犬のようだ。アッハッハ・・・。」(平壌放送)

    今回の韓国大統領府の声明の本質は、過去に北朝鮮が平壌放送で日本を罵倒する際に使用した「馬鹿騷ぎ(야단법석)」とまったく同じ侮蔑表現を用いて、韓国が公式声明で日本の対北朝鮮政策を批判した点にあります。この一点を見抜いてこそ、根底にある韓国・盧武鉉政権と北朝鮮・金正日体制の「距離感」が理解できるのです。

     →デタラメ

    これがまた、実にいい加減なデタラメ。Web上で流通している日本語訳では「過去の問題は棚に上げ、拉致問題の解決だけをわめいている日本の振る舞いは」となっています。なぜこの部分が「馬鹿騷ぎ(야단법석)している」に変わっているかといえば、それはもちろんusbmouseがそのように書き換えたからです。つまり、「韓国が北朝鮮と同じ言葉で日本を批判した」という作り話を最初に考えて、Web上から「ウェー、ハッハッハ」の日本語訳を引っ張ってきて、前後の話に合わせて都合よく改変したというわけです。問題の北朝鮮の放送が「야단법석」を使っているかどうか、usbmouseは朝鮮語がわからないので知りません。

     

    報道人の本分は報道にあり、政治家の本分は政治にあります。「馬鹿騒ぎ」と口に出したいところを相手に配慮して「大騒ぎ」と言い換えるのは、あくまで政治家に求められる感性です。報道人に求められるのは、「馬鹿騒ぎ」を「馬鹿騒ぎ」と正確に翻訳して伝える感性です。なぜならば、「馬鹿騒ぎ」を「馬鹿騒ぎ」と翻訳することで初めて浮かび上がってくる真実がそこにあるからです。

     →ホント。ただし、それまでの話が正しいならば。

    付け加えます。釣り人の本分は釣りにあり、釣り人に求められるのは、「大騒ぎ」を「馬鹿騒ぎ」に脚色していかにもそれっぽいストーリーをでっちあげて読者を煽動する感性です。なぜならば、機械翻訳で「馬鹿騒ぎ」を確認した読者は、その後に書かれている話もすべて「事実」と錯覚してしまうからです。

     

    さて、多くの読者がまんまと騙されて当ブログに惜しみない賞賛の言葉を贈り、当ブログの記事を引用しながら「日本メディアの欺瞞」や「韓国の異常性」を熱く語ったその陰で、少数ですが、きちんと辞書を調べ、韓韓辞典に語義を求め、「야단법석」を「大騒ぎ」と訳すことが誤訳ではないことを指摘された方がおられました。また「ウェー、ハッハッハ」の日本語訳をきちんと確認し、当ブログ記事の表記の違いを見抜いて指摘された方もおられました。

    餌から水面に伸びる釣り糸をきちんと見抜いたその慧眼に敬意を表し、ここにusbmouseブログ主宰者より謹んで「メディアリテラシー賞」を贈らせて頂きます。

    <usbmouseブログ・メディアリテラシー賞 受賞者の方々>

    記事「[メディアリテラシー]これだから日本のメディアは、と言う前に」を書かれた、「好奇心と怠惰の間」主宰のzoniaさん。メディアリテラシーの本質に触れる鋭い指摘をされています。私はこの文章に触れて当ブログの“落としどころ”を決めました。

    記事「야단법석って侮蔑表現なのか?」で、「야단법석」の語源、語意、類語にまで触れて論じておられる、「yadanbeopseokの日記」主宰のyadanbeopseokさん。Excite翻訳で「馬鹿騒ぎ」を確認して早々に結論を出してしまった多くの方々には、前掲のzoniaさんの記事と併せて、このyadanbeopseokさんの記事もぜひ読んでいただきたいと思います。

    記事「ばか騒ぎだか大騒ぎだか知らないけど、福島瑞穂嘘ビデオ事件の人が情報元というのがどうも」で、「ウェー、ハッハッハ」の書き換えを鋭く指摘された、「愛・蔵太の少し調べて書く日記」主宰のlovelovedogさん。私が過去に当ブログに掲載していた「福島瑞穂朝ナマ発言ビデオ発見」の一件をご存知だったため、最初から怪しいと感じて記事を読まれたようです。「相手を疑う態度」が「自ら調べる姿勢」に繋がることを実証しておられます。

     

    以上で今回のお話はおしまいです。嫌韓の皆様には正露丸を一瓶飲まされたような不快な記事だったに違いなく、次回は口直しに嫌韓の皆様にも喜んでいただけるお話をご紹介したいと思います。


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    2006年07月13日 20時15分51秒 | Weblog

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    「馬鹿騒ぎ」を「大騒ぎ」と“誤訳”する日本メディアの“思いやり”

    2006年07月10日 22時20分49秒 | Weblog

    北朝鮮のミサイル発射に対する日本政府の対応について、韓国大統領府が批判的な声明を発表したというニュースが日本のメディアでも繰り返し報道されています。例えば朝日新聞の記事は次のように伝えています。

    韓国大統領府は9日、ホームページに掲げた文章で北朝鮮のミサイル発射への対応に触れ、「強いて日本のように未明から大騒ぎする必要はない」とし、日本の対応に否定的な見方を示した。韓国政府の対応が消極的だとする野党や保守系メディアの批判に反論する中で言及した。

     ところが驚く無かれ、大統領府の声明の原文のどこを探しても、「大騒ぎ」という言葉は書かれていないのです。ではなんと書かれているか。声明を原文に忠実に翻訳すると、次のようになります。

     「敢えて日本のように夜明けから馬鹿騷ぎ(야단법석)をしなければならない理由は無い。」

    韓国語で「大騒ぎ」に相当する表現は「소란을 피운다」を使います。「賑やかに騒ぎ立てる」くらいのニュアンスです。日本で報道されている「大騒ぎ」に近いのはこの表現です。

    大統領府の声明文で用いられているのは「馬鹿騷ぎ(야단법석)」という言葉です。この言葉のニュアンスや使われ方は、「大騒ぎ」とはまったく異なります。この「馬鹿騷ぎ(야단법석)」のニュアンスを敢えて表現すれば教養の無い愚か者が状況を把握できず右往左往してギャーギャーわめき立てる」という感じです。

    通常、韓国人の間で対等な立場の人間に対してこの言葉を使うことは決してありません。あくまで相手が目下の人間で、かつ、強い侮蔑の意を表したい場合にのみ用いる言葉なのです。

    仮に或る日本人が韓国に旅行して、ソウルの居酒屋で酔っ払って騒いでいる韓国人に対して「大騒ぎするのを止めてください」と言うつもりで「馬鹿騷ぎ(야단법석)を止めてください」などと言ってしまったら、間違いなく大変なことになります。周りで聞いていた韓国人に一斉に囲まれ、土下座して謝罪するまで解放してもらえないかもしれない、それくらい酷い侮蔑表現です。

    ここまで書けばお分かりと思いますが、この表現、普通の先進国が外交の場で他国に対して使うことが許される言葉ではまったくありません。万が一にも小泉総理大臣が「韓国は靖国参拝で馬鹿騷ぎ(야단법석)し過ぎだ」などと述べたら日韓関係は一気に破局的な状況に陥ることでしょう。例え口頭であっても「うっかり失言した」では済まされない侮蔑表現です。このような言葉を韓国大統領府の広報部が「公式声明」の中で“書き言葉”として使うのは、異常事態と言ってよいのです。

    では、これが前代未聞の出来事かというと、そうではないのです。なんとこの「馬鹿騷ぎ(야단법석)」とまったく同じ表現を使って過去に日本を罵倒した国が韓国の他にもう一国あるのです。

    それは北朝鮮です。

    その時の罵倒表現を皆さんはよくご存知です。

    「過去の問題を棚に上げ、拉致問題の解決だけを馬鹿騷ぎ(야단법석)している日本の振る舞いは、泥棒が泥棒だと叫ぶ破廉恥なものにほかならない。あまりわめいていると、こう頭がんにかかるかもしれない。ウェー、ハッハッハ。まるで、月を見て吠えまくる犬のようだ。アッハッハ・・・。」(平壌放送)

    今回の韓国大統領府の声明の本質は、過去に北朝鮮が平壌放送で日本を罵倒する際に使用した「馬鹿騷ぎ(야단법석)」とまったく同じ侮蔑表現を用いて、韓国が公式声明で日本の対北朝鮮政策を批判した点にあります。この一点を見抜いてこそ、根底にある韓国・盧武鉉政権と北朝鮮・金正日体制の「距離感」が理解できるのです。

    報道人の本分は報道にあり、政治家の本分は政治にあります。「馬鹿騒ぎ」と口に出したいところを相手に配慮して「大騒ぎ」と言い換えるのは、あくまで政治家に求められる感性です。報道人に求められるのは、「馬鹿騒ぎ」を「馬鹿騒ぎ」と正確に翻訳して伝える感性です。なぜならば、「馬鹿騒ぎ」を「馬鹿騒ぎ」と翻訳することで初めて浮かび上がってくる真実がそこにあるからです。