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ドイツ夜間戦闘機 夜空の〝殺し屋〟と電波兵器

2014年06月19日 | book
 渡辺洋二著、1980年サンケイ出版。第二次大戦期のドイツとイギリスの夜間航空戦闘を述べている。ドイツは機械の国でありイギリスは通信の国であった。ドイツの電波兵器はイギリスに比べて劣り、その差はだいたい2~3年ほどあまり。ついには終戦まで差は埋まらなかった。イギリスの妨害放送での偽装誘導やドイツ語の流暢な者たちのなりすましの逸話などは絶妙なイギリス流ブラックユーモアである。ドイツの対空レーダーはイギリスの電波妨害箔ウィンドウによって無効化された。ドイツ夜間戦闘機はザーメ・ザウ戦法を考案しイギリス戦略爆撃機に大損害を与えた。ドイツ夜間戦闘機の活躍のハイライトだった。1944年1月のことだった。この年の7月に連合国はフランスに上陸し、6月からのソ連の反攻により東部戦線は消滅した。ドイツは西と東の他に、例の如くだが、もうひとつの敵を持つ失敗をした。本書ではドイツ夜間戦闘機は戦わざる敵、アメリカ戦略爆撃機により敗北したと結論付けている。注目できるのは本書に掲載されたエースパイロットたちのポートレートであって開戦初期の表情はナチス特有の非情と残酷と悪意に満ちた印象を読者に与えるのだが、敗戦に近づくにつれて全く別の物に変化していくことだった。終戦までに夜間無差別大量戦略爆撃を受けることになるのだ。人間としての使命を得られたドイツ夜間戦闘機は幸運だったのだろう。戦わざる敵、戦略爆撃機側の資料と証言は少ない。前者の言文は同情と敗者の言い訳であり後者のものは勝者が所有する門外不出のトップシークレットなのだ。強者が敗者を淘汰すると謳った手前、そういうことになるのだろう。終戦までに戦わざる敵、戦略爆撃機のエースパイロットたちの顔はどのようなものに変化してしまったのか、少し考えてみた。



ドイツ夜間戦闘機登場時期一覧

1939~
Bf109D-1:最大速度575km/h/3500m、武装7.92mmx4、レーダーなし

1940~
Bf110C-1:最大速度540km/h/6000m、武装20mmx2、7.92mmx4、レーダーなし
Do17Z-10:最大速度420km/h/5900m、武装20mmx2、7.92mmx4、レーダーなし
Ju88C-2:最大速度495km/h、武装20mmx1、7.92mmx3、レーダーなし

1941~
Do215B-5:最大速度500km/h/4800m、武装20mmx3、7.92mmx3、レーダーFuG218

1942~
Ju88R-2:最大速度500km/h/6000m、武装20mmx4、レーダーFuG202
Bf110F-2:最大速度520km/h/5000m、武装20mmx2、7.92mmx4、レーダーなし

1943~
Bf109G-6:最大速度640km/h/7100m、武装20mmx1、13mmx2、レーダーなし
Ju88C-6c:最大速度455km/h/4500m、武装20mmx3、7.92mmx3、レーダーFuG212、FuG220
Do217N-2/R22:最大速度500km/h/6400m、武装20mmx8、7.92mmx4、レーダーFuG212

1944~
Bf110G-4c/R3:最大速度525km/h/8000m、武装30mmx2、20mmx2、レーダーFuG220
He219A-5/R2:最大速度630km/h/海面上、武装30mmx2、20mmx4、レーダーFuG220
Fw190A-8:最大速度657km/h/6300m、武装20mmx4、13mmx2、レーダーFuG217
Ta154A-1:最大速度650km/h/9500m、武装30mmx2、20mmx2、レーダーFuG220

1945~
Me262B-1a/U1:最大速度810km/h/6000m、武装30mmx4、レーダーFuG218
Ar234B-2:最大速度760km/h/6000m、武装20mmx2、レーダーFuG218