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偶像

2014年06月17日 | word
 偶像という漢語は本来は人形のことであるが、なかでも崇拝の対象となる像をいう(《漢書》)。この意味では神像や仏像と同じであるが、とくに<偶像>という場合には、真のものではない別の姿ないし中間に介在するものという意味合いを含んでいる。哲学用語としては姿とか像を意味するラテン語のイドラ idola(単数形 idolum, 英語のアイドル idol の語源)の訳語であるが、ルネサンス期にG.ブルーノが本当のものを見えなくさせる先入見の意味でこの語を用い、ついでF.ベーコンが<人間の知性をとりこにしている偶像>を分析して、人類がゆえに人間本性にひそむものを<種族の偶像 idola tribus>、個人のもつ先入見を<洞窟の偶像 idola specus>、社会生活から起こる偏見を<市場の偶像 idola fori>、学説から生じるものを<劇場の偶像 idola theatri>と名付け、ありのままの認識が困難であることを示した。とくに生得的な偶像は取り除くことができないとベーコンは言っている。