さっき店で飲んでて、芸人仲間のN岡誠に、「店員に対して態度が悪い」と、怒られた。
それに対して「俺はよく、愛想が悪くて性格も悪そうだけど、実は優しく、真面目な人なんだと、かこつけられるが、わたしは、そんな善人ではない」と、言ってやった。
ただの悪い人である。
悪い人とは、なんであるかわからないけども、芝居のときの師匠に言われたのが、「笑いやっていくなら悪い人になれ」である。
なんでかわからないけど、とにかく世間でいう悪いことをやってみて、気がついた。人間は、悪いやつらばかりだ。と、同時に、いいやつばかりだ。
これは、矛盾しているが、真実であった。
それを証明しているのか、俺の尊敬している人なんかは、最高の悪人でありながら、最高のいい人であった。
これは、わかる人にしかわかるまい。
それに、偶然時を重ねたか、昼に、またもや東京地方裁判所に行っていた。もはや、裁判の傍聴が趣味になりつつある。
最初は、暴力団関係の、裁判員裁判を傍聴していたのだが、よく話の大筋がつかめないので、神奈川県迷惑防止条例違反。つまり、痴漢、の裁判を見た。
悲惨だった。
証人で奥さんと、傍聴席には被告人の両親が来ていた。お母さんは、ずっと泣いていた。被告人には子供がいる。奥さんは、子供がいるので、離婚しないでこのまま、夫を監督していくという。
なんというか、悲しくなった。是非、みなさんも一度は裁判所に行っていただきたい。犯罪を犯すと、自分が裁かれるというだけではない。自分を含めた身近の人たちまで、裁かれるということだ。
最後に裁判長が「自分に娘さんがいますが、年頃になって、もし痴漢されてしまったときに父親として、その痴漢した男をどう思いますか?」と聞いたのが、すごく酷であり、大事な質問だと思った。被告人は静かに「許せないと思います」と言った。
はて、悪い人とはなんだろう、と思った。俺は悪い人だと思っているのに、悪くないと思う人が、被告人だったり。
結局N岡誠が悪い奴なんだと思ったり・・・
家に帰り、家内を寝かせて、久しぶりの酒をあおった。
酒は相も変わらず俺を眠りに誘った。