
大阪高島屋で開催されている「安野光雅が描いた『御所の花展』」に出かけた。
両陛下がお住まいになる御所の庭に咲く草花を描いた四季折々の水彩画130点に、安野光雅さんの言葉が添えられていた。
春・夏・秋・冬の順で展示されていて、それぞれに安野さんの想いが綴られている。
冬のことばが強く印象に残った。
~「雪が深くて大変でしょう」といったのはわたしの負け惜しみなのだ が、「雪はお布団です。四季を通じて働かせた草や木に雪のお布団をかけてねむらせているのです」とターシャ・チューダーは、いった。~
詳しくは知る由もないが、安野さんとターシャさん、お互い絵本作家ということで親交があり、こんなやり取りがあったんだろうと想像してみる。ターシャさんの人柄がしのばれる。
「ユウスゲ」という作品 に添えたことば
~名前のとおり、暮れてまわりが薄暗くなって何もみえなくなる境目に、明るい色の花が咲きます。つつましいレモン色の花です。だから、花というよりも蛍の光のような気になることもあります~
会場におかれていた「安野光雅美術館通信」という情報誌に館長の大矢鞆音さんが寄せられた「石を積む話」という文が掲載されていた。とてもいい話だったので一部引用させてもらおうと思う。
・・・安野さんに若き日のことを伺ったことがあります。「若い頃は毎年、毎年個展を開いていた。自分で案内状をつくり、発送し、会場で一人ぽつんと来場者を待ち受ける。お客さんなんて、あまり来ない。それでも会期中詰めて、ひとり自分の絵と対峙する。そうすると、自ずと自分の絵のことが分かってくる。見えてくる。そして来年はもっと良い絵を描こうと思う。そして必死に努力する。そうやって、海の底にきっちりと石を積み続けて、ようやく海面に出て来る。(中略)今の若い人の中には、石をまっすぐに積んで、すぐ海の上に出てくる人もいるけれど、基礎をしっかり積んでいないので、波によってすぐに倒れてしまう」・・・
これは今の世の中、何にでも言えることかなと思う。芸の世界、スポーツ界、経済界、そして政治の世界。とくに政治家さん、この国の指導者は石をも積まずに他人の頭を踏みつけて海面に出てくるから、コロコロ代わるんだろう。
両陛下はいいところに御住まいだと思う。
※安野光雅が描いた『御所の花展』
(大阪高島屋7階グランドホールで2014年3月12日~31日)
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