次に障害者について考えてみましょう。
ナチスは、障害者が子孫を残していくことで、ゲルマン民族の優秀さが
損なわれると考えました。
現在は、支配・被支配の関係ではなく、社会的負担と社会的貢献が問
題になると思いますが、ここで考えなくてはならないことは、「人の命を
奪うほどの判断をだれがするか!」ということです。
社会的分業が進んでいる現代社会にあって、正当に人間の命を奪う決
断をするのはだれでしょうか。
加害者の彼でないことは確かです。
その判断は裁判官が判決をもって行ないます。
逆に言うと、裁判官以外の人にはその権限はありません。
さらに、その裁判官に「この人を殺してくれ!」と申し出れる人も限定され
ます。
検察官です。
それ以外の人は、そうした要求を裁判官に対してすることはできません。
この仕組みは、死刑に限らず、すべての犯罪行為に適用されます。
障害者をどうとらえようと、それは各個人の自由です。
しかし、司法機関でもない一個人が勝手に刑を執行することは、絶対に
許されないことなのです。