次は、「ゆっくり話しましょう!」です。
「ゆっくり話す。」ことは、とても大切なのですが、そのた
めには、まず、気持ちがリラックスしていなくてはなりま
せん。
これから話し始めようとするときの心がまえとして、
「ゆっくり話そう」と意識することは大切ですが、彼のよ
うに発音筋が硬直状態になっている場合は、まず筋肉
の緊張を取らないと、ゆっくりと話すことはできないの
です。
(もちろん、軽い吃音なら、ゆっくり話そうと意識する
だけで治るでしょうが、彼は重症なのです。)
森田療法・自律訓練法・認知行動療法などは、心身の
緊張を解消するのには良い方法ですが、実践の場で
詰まった状態になったときには、まったく効果がない
のです。「今現在、その詰まって困っている人を、どう
やって救うのか」が示されていないからです。
「病院へ行っても治らない!」
「矯正所へ行っても治らない!」
というのは、まさしくこの点の認識が、施術者側に欠け
ているからなのです。
実際の場で詰まったときはどうすればいいのでしょう
か‥‥。
詰まりを解消するには、「呼吸法」を使うしかないので
す。「それしか方法がない」とすら言えます。
それ以外の方法は、話し始める前までの、言わば「準
備段階」での方法です。
声が詰まっているときは、息の出口がふさがっていま
す。声帯が閉じている、舌と軟口蓋が上がっている、
唇が閉じている。このうちのどれか(または全部)でし
ょう。
その「閉じている」状態を解消するためには、そのうち
の一か所に穴をあければいいのです。
もっとも穴をあけやすいのは、「鼻」です。
鼻から息を抜くことで、他の個所の緊張も小さくなって
きます。鼻から息が出たということは、声帯が開いた
ということであり、軟口蓋が下がったということでもあ
るのです。2か所は通ったわけです。
次に、「え~」なり「あ~」を言えば、舌が下がり、唇が
開くことになるので、そのまま続けて言いたい言葉を
持ってくることで問題は解決するわけです。