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災害による原子炉隔離制御の限界について

2013-03-13 21:19:48 | 脱原発依存
東電福島第一発電所の事故に於いて、原子炉隔離(冷温停止)の限界を実証する事となったのである。
その結果として1号機~3号機がメルトダウン(炉心溶融)を引き起こし、水素ガスによる爆発は1号機~4号機に及ぶ事となったのである。
地震による原子炉スクラム(緊急停止)は全ての号機が達成されたのであるが、原子炉隔離時冷却系の維持が困難となり、当該事故に至ったのである。
一号機には非常用腹水器(IC)による隔離時冷却系が装置されていたのであるが,動作判断と操作を誤りその機能を遺失し、メルトダウンに至ったのである。
2~3号機には隔離時冷却系(RCIC)が装置されており、当初は順調に作動していたのであるが、電源喪失時間が長時間に及んだ為にその機能を維持する事が出来ずに同じくメルトダウンにいたったのである。
(RCIC)は原子炉の燃料(放射性同位元素)の崩壊熱による高圧蒸気をタ―ビン駆動の上、減温減圧を維持するセルフ機能構造なのである。
しかしながら原子炉の減温減圧の関係で長時間の機能維持は困難なのである。
結論としては、長時間に及ぶ通常冷却水の遮断は原子炉隔離時冷却系のセルフ機能が喪失され、シビア・アクシデントとを誘発する事となるのである。
軽水沸騰水型(BWR)と軽水加圧水型(PWR)国内全ての原発の安全要件を見直す必要があるのであるが、施行後に於ける実機機能試験(動特性確認)は危険を伴う為に不可能なのであり、絶対的な安全対策はあり得ない事となるのである。
原子力規制委の改善骨子案(1)活断層の有無(2)第二中央操作室構築(3)非常用発電設備高台設置が公表されているが、電気事業連合会の改善策の試算額は1兆円を上回る事が判明しているのである。
それ程のコストを掛けた後付け対策が全て功を奏するとは限らないであり、廃炉処理経費の補填に回す事を考慮すべきである。

東電福島第一発電所事故の顛末

2013-03-13 12:55:49 | 脱原発依存
「国会事故調報告書からの抜粋」
しかし、津波の来襲とそれに伴って発生した直流電源の喪失に際し、その直後から、ICの系統確認と運転状態への復旧操作に迅速に対応できなかった背景には留意が必要である。すなわち、現場確認のための出発時刻が、ICの喪失後、若しくは運転性が不明になってから1時間半以上も経過した17時19分であったこと、その確認目的がICを優先したものでなかったこと、ICの胴側の水位確認という重要な任務を現場の汚染レベルが幾分上昇したという理由によって簡単に断念してしまったこと、胴側の冷却水が何らかの原因によって喪失した可能性を考慮し補給のための活動を行っていながら、細管に非凝縮性の水素ガスが蓄積して自然循環が停止してしまったことに思考が及ばなかったこと、21時19分になって確認された水位が、TAF+2000mmであったことに疑念を抱かなかったことなど、一連の判断と行動において重大な技術的弱点があった可能性がある。

しかし、これを運転員個人の問題に帰すべきではない。なぜなら、ICや過酷事故に関する事前の備えがなく、すなわち、運転員に対する教育・訓練が十分に整備・運用されておらず、プラント運転や定期検査等でもICを作動させたことがなかったことなど、その背景には東電の安全に対する組織的な問題点があると考えられるからである

「筆者所感」
全電源(交流、直流)喪失時に於ける原子炉隔離(冷温停止)の対処経緯であり、その中核装置である非常用腹水器(IC)の動作確認と操作の問題点を解析しているのである。
東電の運転員は当該プロセスに於ける(IC)の状態と操作を習得していなかったのである。
操業開始から40数年の実績がありながら原子炉操業の保安要件の中核的な操作未収得(定期点検での操作訓練)は人為災害(事故)そのものである。
資料抜粋は1号機メルトダウン(炉心溶融)の根底要因に関するものであり、(IC)は1号機にのみ装備されていたのである。
2号機~3号機のメルトダウンも非常用炉心冷却装置(ECCS)の動作及び操作未収得が要因となり発生したものである。

原子炉の臨界(核分裂連鎖反応)操業時に於ける全電源遮断試験(動特性試験)は当該事故と同様のアクシデント発生の可能性があり、実現出来ないのである。
建造メーカであるアメリカGE社の安全要件確認(動特性)手段に関しては筆者は感知しておらず、想像にまかせる他ないのである。
定期点検に於いて可能な静特性試験は当該プロセスの空打ち動作試験が想定される。
原子炉隔離(核燃料無装着)での(IC)(ECCS)各種バルブ操作と操業開始時バルブ位置(開閉)確認。
設備フローによる動作原理演習と現場~中央操作室間の信号インタフェース等が考慮されるのである。
東電ばかりでは無く、定期点検完了後に於ける試運転検査(監督省庁)は如何様のものであったのあろうか。
最終責任は国家(政府)にあり、保安院等の責任は重大な過失責任があるのである。
国内には軽水加圧水型(PWR)と軽水沸騰水型(BWR)が可動しているのであるが、人為操作ミスは何れに於いても考慮されるのであり、核分裂利用の熱回収設備(原子炉)の事故抑制には後付けのハードウェーア対策は通用しないのである。
故に規制委の保安要綱も無意味であり、早急な原発政策の終焉並びに放射性廃棄物の永久処分(地層処分等)を敢行の上、核の呪縛から解かれる事が求められているのである。