久し振りのレッスン

師匠宅から見る伊丹の夕空


20日に久し振り（10年以上）に休止状態だったホルンクァルテットのレッスンを日本での師匠から受けました。
このアンサンブルはかつて伊丹市内を中心に活動していましたが、メンバーそれぞれの諸事情で今は休止状態でした。
メンバーの一人が脱落したこともその要因でしたが、残った三人のホルン熱は冷めることなく今回のレッスンをきっかけに再稼働を始めました。
師匠からは、かつてのまとまりある音の響きが維持されていると褒められ再稼働の拍車がかかったように思えます。




小説「Obralmの風」



ペンションに到着すると、運転手は岳が空き部屋確認の間待っていてくれた。
「ありがとう、幸い部屋が空いてたんで泊まることにするわ」
「そらよかった」
笑顔で答えた運転手は麓に向かって走り去った。
ペンションは英国風造りで美しかった。
とは言っても、渡欧したことのない岳にとっては映像で見た情報での判断であった。
玄関付近の庭にはたくさんの花々が高原の風に揺れている。
ペンションは喫茶も兼ねているので玄関から奥に入るとテーブルが並べられていた。
岳はそのテーブルをカウンター代わりに宿泊の手続きをした。
「ご出張ですか？」
几帳面そうな主人は眼鏡の底から岳を見つめた。
「いえ、ちょっとこの辺りを散策したくて」
「そうですか、まあ何もおもてなしは出来ませんが空気がいいのと、大山の美味しい水が自慢です。ゆっくりして下さい」
そう言いながら岳を伴って部屋へ案内した。
「こりゃいい、それに窓からはいい眺めだし」
岳が感嘆すると主人は満足げな顔で会釈をして部屋を出て行った。
「夕食は先程のダイニングで六時からご用意してありますので、お待ち致しております」
彼は部屋を出ながら彼は言った。
（六時までには三時間か・・・、昼寝でもするか）
岳は木枠の窓から外を眺めた。