つくすの折にふれ

旅の思い出などを

自分の好きなもの 「メンデルスゾーン」

2008-11-26 20:59:36 | インポート
 まだ20代終わりのころだったと思うのですが、東京に用事があったときはすきや橋のレコード店「ハンター」を覗くようにしていました。中古レコードを売っていたからでした。このレコードケースをうしろから1枚ずつ見るのがとても好きでした。うしろから見る方が効率的だったからなのはレコードファンならご承知だと思います。そんなことを続けていたときに1枚のレコードが見つかりました。
 「セブンシーズ」レーベルのメンデルスゾーンのスコットランド交響曲とリストの交響詩「レ・プレリュード(前奏曲)」がカップリングされたレコードでした。このレコードを選んだ理由は、フランツ・コンヴィチュニーの指揮だったからです。なぜか自分はこの指揮者が好きだったのです。それまでに、この指揮者とライプチッヒ・ゲバントハウス管弦楽団のコンビによるベートーヴェン交響曲全集を持っていて馴染んでいたのと、雑誌「レコード芸術」や、ジャケ裏(レコードジャケットの裏)の解説などからコンヴィチュニー像をつくりあげていたからだったのでしょう。野武士のような朴訥剛毅な音楽づくりをしている指揮者というイメージを自分はつくりあげていました。
 その日はそれ1枚しか買わなかったと思いますが、帰ってレコードに針を落としました。曲の冒頭からメンデルスゾーンの憂愁に満ちた音楽が奏でられていきます。ステレオ録音のレコードですが音質は最悪でしたが、そんな中からメンデルスゾーンの最高傑作だと自分は思っているのですが、憂愁ということばにふさわしい音楽が悠然としたテンポで奏でられます。そして終楽章の特徴的なコラール風の終曲に入ります。この部分をテンポを速めながら結ぶ演奏が多いのですが、このレコードは、あくまでも悠然と奏でつつ曲を終わります。これこそスコットランド交響曲の演奏だと、自分は深く感動しつつ思いました。
 この日からコンヴィチュニーのこのレコードは自分の愛聴盤の一つになりました。そしてメンデルスゾーンが自分にとって、モーツァルトやベートーヴェン、ブラームスと並ぶ作曲家になりました。
 ピアノ三重奏曲第1番に出合ったのも偶然でした。ピアノ三重奏曲のことをピアノトリオと言いますが、名曲がたくさんあります。そのひとつにシューベルトの第1番があげられると思います。自分は、この曲が目当てで、スークトリオが演奏するこの曲のレコードを買いました。ところが、このレコードにはこの曲ともう1曲がカップリングされていました。これがメンデルスゾーンのピアノトリオ第1番だったのです。この曲も憂愁にいろどられた美しいメロディーに満ちた端正な曲で、冒頭チェロがメンデルズーンならではのメロディーを奏でて始まります。自分は、すぐに大好きになりました。ヨゼフ・スークのヴァイオリンの音もとても美しくいまでも愛聴盤になっています。シューベルトをメインに思っていたのに、メンデルスゾーンの方が自分にはメインになってしまったのです。
 この二つの曲は短調の曲です。交響曲はイ短調、ピアノトリオはニ短調です。メンデルスゾーンの曲で最も有名であろうヴァイオリン協奏曲はホ短調でした。モーツァルトも、短調の曲にはなにか特徴的な味わいがあり、やはり大好きなのですが、メンデルスゾーンもそれに近いようなものがあると感じます。
 でも、長調の曲にも大好きな曲があります。変ホ長調の弦楽八重奏曲です。第1楽章の冒頭のメロディーはとても素敵で大好きなのです。この曲にはFM放送で初めて出合ったのだと思いますが、室内楽の範疇に入る曲なのに、とても伸びやかで雄渾な曲であるのを知り、すぐにレコードを探しました。これも、スメタナ四重奏団とヤナーチェック四重奏団が共演しているレコードが東京で見つかり、輸入廉価盤の中古レコードを買い求めたことを思い出します。
 なぜ、メンデルスゾーンなのかについて、自分にはうまく説明できません。ピアノ曲集「無言歌」もそうですし、さまざまな曲のメンデルスゾーンのメロディーが自分の琴線に触れてくるからなのだとしか言いようがありません。
 先の日曜日のNHK教育テレビでスコットランド交響曲が放送されていました。とてもいい演奏だったと思いますが、自分には若干の違和感があり、コンヴィチュニーの演奏が思い出されたのです。メンデルスゾーンについて、ちょっと書いてみたくなったのです。
 なお、ここに書いたレコードはすべてCD化されており、自分は、いま専らそちらを聞いています。コンヴィチュニーのスコットランドも随分音質が改善されています。
 


自分の好きなお店 ③ 「大麓田」

2008-11-10 11:23:05 | インポート
 このお店では、まず自分の席を作るところから始まります。お店に入ると日当りのいい南に向いた座敷があります。その部屋の気に入ったところに座布団を持って行って座ります。それが始まりです。自分は平日に行くことが多いからでしょうか。ほとんど他のお客さんと一緒になったことがありませんから、いつも広い部屋を独り占めです。テーブルがないお店です。
 「大麓田(だいろくでん)」というお店です。前に書きました「かみやま」の隣の沢を入ったところにあります。国道293号から県道200号線に入って走りますと「仙波」という交差点に出ます。かみやまへ行くのには左折して200号線を走りますが、交差点を直進すると県道202号線です。これを1キロ弱ほど走りますと2股に分岐します。これを左へ入ると県道283号線で、これを走っていきますと大麓田に至ります。2股の分岐がわかりにくく自分は何度か間違った経験があります。
 このお店は名前のとおり山のふところにありますので、前方の視界が開けておりとても大らかな気分になれる場所にあります。少し昔はもっと高い場所にありましたので、視界ももっとよかったのですが、いまでも十分な景観で、いい場所にあるお店です。
 こちらのおそばは田舎そばといっていいかと思いますが、太めのおそばで、香りよくしっかりした味わいです。このおそばはお皿に盛られ、お膳で出されます。メニューはあまり多くはありません。このお店ではご自分の山から出る湧水を使っています。
 また、こちらには、お店の名前をつけたおいしいお酒があります。雑味のないすっきりした香りのお酒です。自分は当然これをいただきます。肴には山菜の漬物盛り合わせが最高です。また天ぷらつきのもりそばをたのんで、その天ぷらを先に出していたただいてお酒の肴にすることも可能です。天ぷらも山菜と野菜で季節のものを楽しませてくれます。そうしてとても味わいの良いお酒を堪能してから、締めに茹でたてのもりそばをいただくことができるのです。もちろん天ぷら単品で注文することも出来ますが、こちらの方がお得です。
 ごく最近は訪ねておりませんのですこし変わっているかもしれませんが、価格はもりが550円、もりの2倍の大盛りが850円、1.5倍の中盛りが700円、天ぷらつきは350円増しとなっています。あの味のおそばですから、自分はとても格安だと思っています。
 また、こちらのおそばには薬味がありません。おそばの香りを楽しんでもらいたいからだそうで、お箸もとても高級なものが出されますが、これも同じ理由からです。そば湯も当然出してくれますが、そば湯はそば湯だけで味わってほしいといわれます。ですから残ったそばつゆをそば湯で割って飲むということはできません。とてもこだわりのあるお店なのです。
お店をご主人と奥様のおふたりでやっていらっしゃいます。こだわりのお店ですが、おふたりともとても親切な方で、時間ができると、おそばのことはもちろんいろいろなことを話してくださいます。このお店を開業するまでの経験談はとてもおもしろいというよりも勉強になるお話でした。
 このおふたりとのふれあいも味わい深いものがあります。
 佐野市仙波町3073
 0283-86-4006
 休業日 8/25-31、12/25-1/2

 追記 先日また行ってきました。今度もほかのお客様は、お知り合いらしい人がおひとりでしたので、また、おしゃべりしてきました。今度は「作詞家としてCDデビューするかもしれない」というお話を伺いました。そして、作品の一部を聞かせていただきました。3,4月ごろになるということでした。もし実現すれば「武島りょう」というペンネームだそうです。楽しみです。(21.2.5)