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平成27年度税制改正大綱の解説~第1回 法人税率及び欠損金の繰越控除制度~

2015-03-10 11:49:58 | 税務トピック

昨年の12月30日に、自公両党による「平成27年度税制改正大綱」(以下「改正大綱」という)が公表されました。今回の改正大綱において、従前より注目を集めていた法人実効税率の引き下げや外形標準課税の課税強化等、例年に増して多岐にわたる改正が行われる予定です。そこで、改正大綱より多くの企業に影響が出ると想定されるものについて、3回に渡って解説を行っていきたいと思います。なお、税制改正大綱は改正案の概要を示すものであり、改正の詳細は、改正法案の公表並びに法律及び政省令の公布を待たなければなりません。また、今後の国会審議等によりその内容に変更が生じる可能性がありますので、ご留意下さるようお願い致します。

まず第1回目として、法人税率の引き下げ及び欠損金の繰越控除制度等の見直しについて解説を行っていきたいと思います。

 1.   法人税率の引き下げ

 平成27年4月1日以後に開始する事業年度より、法人税率が以下のように引き下げられます。

 

 2.   欠損金の繰越控除制度等の見直し

①     繰越控除限度額

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、以下のとおり引き下げられます。

 

 しかし、以下の法人については、繰越控除前の所得金額の全額が繰越控除限度額とされます。

・中小法人等(普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもので資本金の額等が5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及び100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人以外の法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等をいいます。)

・更正手続開始の決定があったこと、再生手続開始の決定があったこと等の事実が生じた法人で、その決定等の日から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日に属する各事業年度(ただし、金融商品取引所への再上場等があった場合におけるその再上場された日等以後に終了する事業年度は対象外)

・法人の設立(合併法人にあっては合併法人又は被合併法人のうちその設立が最も早いものの設立等)の日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度(ただし、金融商品取引所に上場された場合等におけるその上場された日等以後に終了する事業年度は対象外、また、資本金の額が5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及び100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人も対象外)

・特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法人で、支払配当等の損金算入制度の対象となるもの

 ②     繰越期間

平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額より、欠損金の繰越期間が現行の9年から10年に延長されます。これに伴い現行9年とされている帳簿書類の保存期間、法人の欠損金額に係る更正の期間制限及び更正の請求期間も10年に延長されます。

 第1回目は以上になります。次回は、受取配当等の益金不算入制度の見直し、研究開発税制の見直し、所得拡大促進税制の見直しについて解説を行う予定です。