長旅の小休止に日帰り入浴しようと、岩手県花巻市にある大沢温泉の湯治屋を訪れた。平安時代初期に坂上田村麻呂が発見したと伝えられる「1200年湯めぐりの里」だ。
古くから湯治場として親しまれていて、宮沢賢治もこの湯を愛したことから、「賢治ゆかりの自炊部」があるという。泉質は、サラリとした弱アルカリ性単純温泉だ。「薬師の湯」で一風呂浴びたあと、自炊部の前をズンズン歩き、湯治屋の一番端にある露天風呂の「大沢の湯」にとっぷり浸り、遥か平安時代から続く温泉の歴史に思いを馳せた。長旅の続きに向かって湯治屋を出るころにはもう黄昏時になっていた。
2018年11月