岸田内閣の支持率が急落している。15兆円もの税収増は好材料だったのに、その使い方が鬼門となった。政府内の審議の結果、所得税と住民税の減税(一人4万円)と低所得者への給付金(一世帯7万円)を骨子とし、給付金は早急に、減税は春闘後の給与引き上げとの相乗効果を狙って来年6月頃に行うらしい。他にもエネルギー関係の補助金を続け、これで経済の活性化を目指すとのことである。
首相の努力や熱意は認めたい。しかし、税収増は返金が当然であり、給付金が分かりやすい。これを善政らしく「減税」にすり替えたところから(巷ではこれをスケベ根性という)、選挙対策の人気取りではとの疑惑が湧き、かえって支持率低下につながった。税金は国民の最大の関心事であり、可燃性の危険物である。まして減税はZ省相手には禁句である。国民受けを狙ったのだろうが、それは岸田氏の思い違いだ。
税金・減税の話となれば、誰もが一言ある。本気で物価対策や消費浮揚を目指すなら、消費税減税が王道だろう。そうしないのは、消費税を変えると混乱する、消費税は社会保障費の目的税である、などが理由らしい。しかし、諸外国では消費税は適宜増減させ、コロナ流行時には下げた。上げたのは日本だけである(注)。消費税を目的税化している国も日本だけだ。Z省や政治家の頭はまだ鎖国状態なのか。
(注:消費税10%は2019年10月からで、コロナの大流行は2020年1月からなので、流行中に上げたのではないが、コロナ対策で下げる選択肢はあった。)
他には、震災(2011年)の復興増税(所得税に2.1%を上乗せ)がまだ続いている。令和19年までらしいが、臨時処置にしては長すぎる(24年間)。そもそも復興を増税で賄うという発想もおかしいのに、震災3年後の2014年4月には消費税を8%に上げたとは呆れる。Z省や政治家は余程国民を困らせたいのか、悪気はないが思い違いしているのか・・。いずれにしても、情けない話だ。いや実は、国民の多くも思い違いしている。(続く)