本当にちょっとした日記

身の周りにあった何気ない出来事を、ただ書いていこうかと思います。

ボルジア家

2012-05-22 23:21:30 | 日常
WOWOWで始まった「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」というドラマを見出しました。
もともと妻も私も西洋史出身ということもあり、こういったヨーロッパの歴史物は大好きです。

「ボルジア家」と言えば毒殺で政敵を殺しまくって権力を手に入れたという有名な一族で、このドラマはその家系から出た教皇アレクサンデル6世の話。
「史上最悪の教皇」と言われた人物です。

しかし「教皇」というと中世においては絶対的な存在で、キリストの代弁者として過ちは許されなかったはず。
いくら過去の話とはいえキリスト教圏の人が「教皇」を題材としてこんなドラマをつくって大丈夫なのかと心配になります。
「キリスト教のトップが、過去にこんな悪ことをしてました」って認めてるわけですから。
日本で言えば「天皇」を題材にしているようなものですから、同じ物を日本で作ったらかなり問題になるでしょう。

舞台は1492年から始まります。
1492年といえばコロンブスがアメリカ大陸を発見した年。
ちょうどポルトガルとスペインが世界の覇権を争っていた頃ですね。
このアレクサンデル6世もスペイン人で、普通ならイタリア人以外が教皇になるということは考えられなかったのに、それだけ両国の勢いがすごかったんでしょうね。

ドラマを見ていると時代背景が上手に反映されていて面白いです。
ナレーションで「教皇の権力が全盛の時代」という言い方をしていますが、あくまでも「キリスト教のトップとして民衆に与える影響」ではなく、「政治家として」と考えたほうがいいでしょう。
1077年の「カノッサの屈辱」に代表されるような宗教家としての権力はこの時代にはずでに無く、「教皇」の座を争って聖職売買が横行したり、各国の国王も教皇と対立して財産を奪い合いをしたりするということは、すでに「教皇」というものを宗教のトップではなく「政治家の一人」としてしか見ていなかったんだと思います。

私が卒論で書いたガリカニスムが表に出てきたのもちょうどこの頃で、「キリスト教の保護者」として代々肩書きを受け継いできたフランス国王も教皇から独立して国内の教会を支配しようとしだします。

1492年という年は、「中世」から続く、「教皇」を代表とするような「古い権力」と「近世」へつながる「国王」を代表する「新しい権力」が入れ替わろうとする時代で、このドラマはこの時代に人々がどのよう考え、どのように生きていたかを描いている興味深い話です。
今後の展開に期待。

権力を手に入れるためにやることや権力を手に入れた人がやること、そしてその結末って時代が変わっても国が変わっても変わらないなって思います。
だから世界史って面白いです。

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