あけましておめでとうございます!
今年もよろしくおねがいいたします~。
猫島家では、新春早々一騒動がございました(>_<)
お年賀、誤配送が10通ほど……。
しかも、4軒分も混ざってるし! イタタタタ(>_<)
今日こそは、なにかお正月らしい新作を書き下ろしたかったのですが……「無理!」でした。
なので、昔のショート小説を、引っ張り出して……;;
ホント昔のペーパーで発表した分なので、読んだことあるよって方、ゴメン!
元ネタ知らない~って方、リンク辿って確認してみてください。ペコリ♪
BL小説なので、お嫌いな方はご注意を~。
『大人なデート画策中!』
朝から、清々しく晴れ上がった休日。
まだ眠いと布団に懐く、食べてしまいたいほどに愛おしい恋人竹田健介を、無理矢理起こして、僕……大塚浩一は、梅林で有名な古寺へと連れ出した。
こうでもしなければ、健介はずっと布団から出てこずに、冬眠を続けていそうだったから……。
僕としては、できればこのシーズン中に、最低でも十回は、プレゼントしたコートを着てほしいんだよ。
健介と僕は、本当に小さな頃からずっとつき合い続けていたが、晴れて恋人となったのは、去年のクリスマス前。
そんなできたての熱々な僕たちなんだから、この程度の北風なんて、気にならない!
「浩一ぃ、やっぱり、今日は風が寒いよぉ~。耳が痛い」
「……健介。せっかく、梅が見頃なんだよ? たまには、こういう場所も風情があって、いいじゃないか?」
「そうかも知れないけど……」
ふふっ、ちょっと不満げに、唇を尖らせている様子すらも、凶悪に可愛すぎて……!
でもね。僕は、現在『健介の感受性アップ計画』を発動中だ。
恋人になったのは、いいんだけれど、どうにもこうにも……。
繊細な情緒が、完全に不足していて……。
否、そこもまた可愛いんだけれど……。でも、もう少し、こうっ、なんというか!
気を取り直して、ご指摘を受けた耳元を見ると、北風に晒されて赤くなっている。
「健介……、痛いのはここ?」
いけないと思いつつも、その場所に顔が近づき始める。
「うん、そこ」
まだ、僕の思惑に気づいていない健介は、無防備に耳を僕のほうに寄せてまできた。
「仕方ないね、温めてあげるよ……」
冷たくて柔らかな耳たぶを、唇で挟んで舌先でゆっくりとなぞりあげた。
「ひゃっ……!……なっ、舐めるなよぉ!」
ちょっと目をウルウルさせながら、健介が不機嫌な声を上げた。
「どうして? 温かくしてあげただけだろう?」
視線を合わせながら、囁きかけて、ここで甘いキスを一つ……。
「もっ、もういよぉ! あっ、屋台!」
キスをする体勢に、完璧に持ち込んでいたはずなのに、健介は風に乗ってきたソースの焦げる匂いで、あっという間に僕の腕の中から、すり抜けていってしまった。
「えっ、ええっ!」
こっ、ここからがいいところなのに、健介!
「浩一も、早く! おっちゃん、たこ焼き一皿、ソースと青のりはたくさんね!」
なんて、僕を呼ぶ声と同時に、健介の無邪気な注文の声が……。
健介……、今日、僕たちはデートだよね?
その、……青のりたくさんって、どういうこと?
今日は、僕とキスしないつもり? それとも、二人揃って、青のりを貼り付けろとでも?
「浩一~、いらないの?」
くうっ……! その小首を傾げつつの、お誘いが、もう少し別の物であれば……!
「……まだ、僕はいいから」
青のりこんもりのたこ焼きは、謹んで遠慮するよ。
「そう? じゃあ、あーん、んくっ……、あっ! 熱っ、熱っ!」
ああ、もう。また、あわてて食べて、口の中を火傷したらしい。
「健介、大丈夫?」
「痛っ、ひた……、舌っ、火傷した……、痛っ」
涙目で、食べかけのたこ焼きパックを、預けられた。
それを受け取りながら、口の中を見てあげる。
「ああ、もう、しょうがないなぁ、見せて?」
かがみ込んで、健介の口の中を確認。
「ここ、ここが、ひたい……」
舌を差し出しながら、健介がろれつの回らない言葉で、火傷の場所を示してきた。
「はいはい、ここだね?」
コクン……と、うなずいた健介の、火傷した舌に、僕の舌で唾液を塗る。
ペチョリ……と、舌先で丁寧に。
「んっ……」
「どう、健介? これで、だいぶましになっただろう?」
わざと、こういう言い回しをして、自信たっぷりに微笑みかける。
「うん、……ましになった。ありがとう」
簡単な暗示の一種なのに、単純なところのある健介は、素直にかかってしまった。
「そう、よかったよ」
僕たちの後ろで、何組かの集団がざわついていたけれど、僕は気にしない。
ちなみに、健介はまったく気がついていなかった。
技術者にありがちな、一点集中タイプだから、今は火傷したことしか頭にない。
でも……。
できれば、僕としたらそろそろ、当初の目的の梅林に行きたいのだが……。
「健介、あの…」
「ああ! リンゴ飴!」
僕が、向こうに行こうと言う前に、健介の歓声が聞こえた。
その時点で、健介はもう走っていってしまっていた。
「えっ、ちょっと、健介?」
「浩一、こっち、こっち!」
健介が、嬉しそうに手招きしながらも、バタバタと走っていってしまう。
「けっ、健介……」
まだ、大人な情緒タップリの梅林にたどり着けるには、かなりの時間を要しそうだった。
ぼっ、僕は、健介のこういう子供っぽいところが、愛らしいって常々思い続けているよ!
でもね……!
僕の思惑を、これほどまでに、ことごとく裏切ってくれたんだから、覚悟しておいてもらってもいいよね? 健介。
(数年前、リーフノベルズ様から発売されます『愛のたくらみ警報発令中!』の後日談です。どうぞご勝手にってくらい、ラブラブ!?)