イモが長寿に役立っている理由はいくつか考えられますが、その中でも特に重要なのはカリウムと食物繊維が多く含まれている点でしょう。
カリウムと食物繊維は、塩(ナトリウム)のとりすぎの害を防ぎ、高血圧を予防します。実際、イモをたくさん食べる長寿地域には高血圧の人が少ないという調査データもあります。
カリウムとナトリウムはどちらも私たちの体に欠かせない大切なミネラルです。
大雑把にいうと、カリウムは細胞の中に多く、ナトリウムは細胞の外に多く含まれています。細胞が正常に働く(栄養を取り入れ、エネルギーを生み出す、老廃物を出すなど)ためには、この両者が一定の濃度に保たれなければなりません。
ところが、塩分をとりすぎるとこのバランスが崩れ、細胞の中にもナトリウムがたくさん入り込んできます。細胞は環境(特に浸透圧)を一定に保つために、ナトリウム濃度を下げようとして水を引き込み、水ぶくれの状態になります。全身でこれが起こるわけですから水分代謝は悪化し、腎臓や心臓に負担がかかります。
それに、血管の壁を作っている細胞に注目すれば、血管壁は膨れ上がり、血液の通り道が狭くなります。その結果、血管に圧力がかかって、血圧が上昇するというわけです。
しかし、この時にカリウムを十分にとっていれば、細胞内にカリウムが入り込み、外からの余分なナトリウムを排除します。追い出されたナトリウムは尿として排泄されるため、細胞は水ぶくれ状態になることはなく、血圧の上昇も防げるのです。
一方、食物繊維にはナトリウムを吸着して、便として出す働きがあります。食物繊維を十分にとっていれば塩の体内への吸収が少なくて済むのです。
高血圧を予防するには、カリウムや食物繊維を十分に取ることが大切です。
もちろん、体内のナトリウムを増やさないためには塩の摂取量自体を減らすことが大事ですが、カリウムと食物繊維をたくさんとっていれば、少々塩の取り方が多くて血圧が高くならずに済むのです。