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米国中間選挙、結果は終わりの始まりか ー 米国分裂の妄想

2022-11-09 00:08:01 | 払暁半刻
ここ数日来、不安で致し方ない。
米国中間選挙の選挙戦で共和党優勢というか「トランプの一党」の優勢が伝えられてきたからだ。まさに、今米国時間では11月8日投票時間帯である。夜10時のニュースでは共和党優勢との報道であった。

 単に「共和党が優勢」であるだけなら、大統領2年目の中間選挙で野党が優勢なのは通例だから、こんなに憂鬱にはならない。
 問題は、先のバイデン当選の大統領選結果を認めようとぜず、根拠がないにもかかわらず不正があったと言い募るトランプ、さらに問題なのは、そのような「ブラフの主張」を熱狂的に支持する選挙民が多数、それもかなりの多数存在していることだ。
 第二次大戦が終わり冷戦がはじまる時代、米国にマッカーシズムが吹き荒れたことはよく知られている。あの時も、民主主義の危機という捉え方があった。事実、公正な意見、まっとうな意見が「反共」という大衆の熱狂に捻じ曲げられたことは、その後大いに反省され、教訓とされてきた。それでも、米国民主主義の危機ではあっても、米国憲法の危機ではなかった。
 先回大統領選挙以降続く、大統領選挙に不正があったというトランプの執拗な主張は、事実を歪曲し大統領選挙の権威を無視している点で、トランプは、祖国の憲法を歪曲し自己の権力欲の犠牲にしているわけだ。これ自体、大統領候補者にあるまじき卑劣かつ低劣なことであるが、それ以上に懸念されるのは、そのような主張を真に受けてトランプを熱狂的に支持する民衆の、それもかなり数の、正に「トランプの一党」と呼べるほどの勢力が前回選挙後2年も経過しているにもかかわらず、なお存在しているという点だ。民衆の(敢えて、愚かな民衆といいたくなるが)事実と公正さを無視した執拗な熱狂は、米国憲法を自分の都合のいいように解釈するもので、憲法の公正さを全くないがしろにしている。
 そういう視点から見ると、病巣はマッカーシズムの吹き荒れた70年前よりも重症かつ致命的であるかもしれない。
 しかも、そのような支持を背景に、トランプが次期大統領選に出馬する意欲を失っていない。今日の中間選挙の結果で、上下両院で共和党が多数を占めた場合、バイデン政権はその政策を、おそらく悉く実行できないであろう。さらに問題なのは、トランプの次期大統領選出馬も確実なものになろう。今の共和党には、トランプ現象を正常化するだけの見識も人物も無さそうである。

 2025年からトランプが大統領になったなら、こんなことが起こるのではと「妄想」してしまう。
1.米国外交は単独行動主義、自国の目先の国益(ビジネスの国である米国であってみれば、この場合の国益とは対外収支の改善と国内経済の回復であろう)優先の政策になるであろう。
2.そのとき、まだウクライナ紛争が続いていれば、トランプはウクライナを無視してロシアと「新たな勢力圏」の画定に動くであろう。
3.ロシアが占領した4州の「勝手」併合を米国が認めてしまえば、確実に、西側諸国はもとより、発展途上国の米国寄りであった国々に対して、米国は外交的影響力を失うであろう。
4.さらには、これまで米国に批判的であった中東、アフリカ諸国は、さらに中国を頼りにするようになり、自国の目先の利益、もっと厳密にいえば国の支配者層の目先の利益から見て、その時々の情勢次第で、自分に有利な大国の意に沿うようになるであろう。
5.ロシアが、ウクライナ侵攻について米国との和平を得、メンツを失わずに「勝利」した場合、ロシアは国力が衰退するよりは回復する方向に向かうであろうし、中国との連携を深め、中国は中国で「世界支配」をより推進する方向へ躊躇なく進むであろう。
6.さて、それでは、米国である。2期8年トランプが大統領であったとして、その後の米国は彼の言うような「Great America Again」となるであろうか。大国としての外交的指導力を失墜した米国が経済的には繁栄を回復するとはなかなか予想しづらい。むしろ、民主、共和各党支持者の格差と分断の二極化はより深刻になるであろう。
7.場合によっては、その後10年内外で、米国分裂ということになるかもしれない。NY国、テキサス国、カリフォルニア国、中西部国といった国に分裂するかもしれない。

 米国は、大西洋と太平洋に挟まれた両洋国家でありその地理的有利さを世界支配のてこに利用してきたが、同時に、歴史的に大西洋岸と太平洋岸がそれぞれ国を二分する方向へ動こうとしてきた国でもある。南北戦争以降は東西への分裂を如何に阻止するか、いかに統一された国家を維持するかは、米国政治の隠れた大きな課題であり続けた。
 党派的な分裂、分断が、国民の信条、考え方(Mindset)にまで影響を及ぼしている現在、それが本当の国の分裂に至らないという保証は何もない。移民問題、中絶問題、銃規制問題、いずれをとっても、沿岸諸州と内陸諸州では、相対立する様相を深めてきた。トランプは、前回の大統領選挙の結果を認めていない。では、トランプの対立候補が敗北しその選挙が不正で認められないと主張したときに、トランプはその選挙結果を認めさせる正統性のある論理を持っているだろうか。こう考えたときに、その先にある論理的な帰結は、各々自らの陣営が認める大統領を持つ、ということになる。すなわち、これは国民が自ら「国を割る」ということである。
 2つあるいは3つに分裂した各々の国々が、米国であったときのようなパワーを保持できるとは到底思えない。ということは、日本の安全と平和が依って立つ大前提が崩れるということ、さらには専制的中国の影響を相殺する勢力がいなくなるということ、つまりは、様々な自由が享受しづらくなる、ということに繫がっているように思う。
 ここ数日の不安の正体は、これなのだ。





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