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あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

新鮮

2011-09-27 | 本(文庫本)
浅田次郎さんの『夕映え天使』を読みました。
すっかり秋ですね~。季節にピッタリの色使いのカバーデザイン。高層ビルなど建っていない頃の、空がうんと広く見える時代の、レトロな雰囲気が新鮮に感じます。

6編の短篇が収められており、どの作品も実に浅田さんらしい、人生のいろんな表情を見せてくれる作品集となっています。
その中でも「へぇ~。こういうのって浅田作品の中では珍しいんじゃないの?」って思ったのが「特別な一日」。
途中までは、いろんなことがありながらも「定年」まできちんと働いた一家の大黒柱の「退職の日」を、哀愁を含んで描いているものだと読んでいました。主人公が暮らしている町が「西荻窪」というところに、急に親近感を覚えたりしながら、これから「退職後の人生」が始まるのだと思っていたら!
ここで結末をバラしたりはしませんが、ひとつだけ記しておきますと、この作品はSFでした。浅田さんもSFチックな作品を書くんだと、ここでも新鮮な驚き。
だけどこの「特別な一日」に咲くように妻が手入れをしていた薔薇の様子だとか、「特別な一日」なのにいつも通りの生活を続けている人たちを見つめる暖かなまなざしは、浅田作品らしいものでした。

「琥珀」という作品も印象深かいものでした。
私生活では女房子供に逃げられ、仕事ではとくに大きな手柄をあげることもなく間もなく定年を迎えようとしている老刑事が、一人旅に出かけた冬の三陸の漁師町。ふと入った喫茶店でコーヒーを淹れている店主は、指名手配中の男。しかも事件は時効目前。
老刑事の勘と時効目前まで逃げのびている犯人の勘。今は時効は廃止されましたが、この話は「時効」があるからこその緊張感がビシビシ伝わってきます。渋い俳優の2人芝居で上演しても良さそうな作品です。この場合、TVドラマよりも舞台の方が絶対良い! キャスティングは、すぐには思い浮かばないけど…。
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