あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

最後の武士たち

2008-11-22 | 本(文庫本)
しばらく本ネタを書いていないことに気づきました。
記事にしていなくても、去年ほどではないにしろ、今年も結構充実した「読書の秋」を過ごしました。そしてさらに気づいたことに、浅田次郎作品ファンのくせして、ここ最近、浅田作品の記事がない! まあこれは、ここのところ浅田作品が文庫化されていなかったせいもあるんですけど、「読書の秋」に入った頃、続けて文庫で刊行されたので、久しぶりの「浅田本ネタ」を続けてUPしちゃおうと考えてます。

「あ~、やっと文庫になったのか~」という思いで手にしたのは『お腹召しませ』。幕末という日本において「特別な時代」だった頃の「武士」が主人公の短編集です。この作品の前に、同じ時代の武士の身の処し方を描いた短編集『五郎治殿御始末』を読んでおり、浅田さんの描く幕末から明治維新の頃の話の面白さを体験していたので、本当に『お腹~』の文庫化を楽しみにしていました。
日本に武士がいなくなった時代って、それほど昔の話じゃないんですよね。ちゃんとか考えてみたら、私のひいおじいちゃんの親の世代の頃のことなんです。うちのご先祖様は武士ではなかったけれど、やはり維新の頃はそれなりに混乱だとか戸惑いだとかを経験して、それでも生きてきたんだろうなと、読後にそんなことを考えたりした作品でした。
時代が急変して武士が失業するのって、今の時代の失業とは比べ物にならないくらい大変なことだったんじゃないかと。だから、「身を処す」ということまで真剣に考えた時代だったことを思えば、今の不景気を、日本人が乗り越えられないわけがないな~って…。

『壬生義士伝』や『輪違屋糸里』と同じ時代、新撰組ではない「武士」を描いたこの2作品は、短編の面白さも堪能できる「幕末もの」です。悲しくてもおかしくても、背筋をのばして生き抜いた人の姿が美しい、浅田さんの「幕末もの」って、ホントに読みごたえあります。
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