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あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

幸せな家族小説

2019-09-29 | 本(文庫本)
椰月美智子さんの『るり姉』を読みました。
本作は「本の雑誌」2009年上半期エンターテインメント・ベスト1になった作品だとか。10年前の作品ですけど、この作家さんの作品はまだ読んだことがなかったので、新鮮な気持ちで読みました。

母子家庭の三姉妹が「るり姉」と呼んで慕っているのは母親の妹。この家族にるり姉の母と二度目の夫の7人のそれぞれのときを描く。ナチュラルに人生を謳歌しているるり姉は家族全員から愛されるキャラクターだが、ある日突然、命にかかわる病気で入院してしまう。

ミステリー小説のような事件が起きるわけでもなく、ごく普通の家族の日常が描かれています。るり姉が入院してしまう「事件」はあるけれど、薄情な言い方になるけれど、普通に生活をしていれば、誰にだって起きる出来事なわけです。不死身な人はいないわけだから。
そんな作品ではあるけれど、とにかく魅力的なのは、るり姉のキャラクターと、るり姉のキャラクターを愛してやまない家族が囲んでいるという幸せの構図。それはるり姉が重病になって、必死に回復を願う家族のそれぞれの心の動きががとても尊いのです。重病になったのは不幸なことかもしれないけど、この家族の心は幸せの中にあると思えました。
ネタバレになるけれど、ラストはハッピーエンドで良かった。幸せな家族の何でもない幸せな日常は続いていくのでした。
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