あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

すれすれ

2009-09-28 | 本(文庫本)
タモリさんが『いいとも!』で、ボーダーコリーのことを「コリーすれすれ」と言っているのを見て「さすがタモさん!」と感服しました。タモさんの説からすると、どこからが「すれすれ」を超えてアウトなコリーになるんでしょう?(爆)

以前読んだ『まほろ駅前多田便利軒』が面白くて、三浦しをんさんの作品をさらに読んでみたくなりましたが、なかなか「これがおススメ!」という意見に出会わずにいました。迷った末、2冊目として手にとったのがこの作品。『月魚』。完全にカバーデザインの可愛らしさで選んでしまいました。

物語は、古書店『無窮堂』を中心に展開します。無窮堂の若き店主・真志喜と、同じ「古書」の業界に身を置く瀬名垣。2人は幼馴染みで、ある夏の日から「罪の意識」を共有して育ちます。オトナになってもそこから抜け出せない真志喜と瀬名垣ですが、ついに「罪の意識」と向き合う出来事が巡ってきます。

この物語の魅力は、古書の世界を描いたところにあると思います。
Wikipediaによると、古書店は「古書を取り扱う書店。古物商の一形態で、古本屋とも呼ばれる。ブックオフ等のような新古書店も古書店の一形態だが、この項目では伝統的な古書店を中心に扱う」とありました。
そう考えると、無窮堂は新古書店ではなく古書店。新古書店とは、扱っている本の種類が違っています。東京近郊に住んでいる人なら、神保町の古書店街にあるような店舗を想像してもらえればOKかと思います。
この話の中には、古書を買い取る目利きになるには修行が必要であること、郷土史や民族史の全集などには10万単位からものによっては百万を超える値がつくこと。そして古書業界には「せどり屋」という人たちがいることなどなど、古書にまつわる今まで知らなかったことがたくさん出てきました。
新しい知識を得られたことも収穫ですが、やはり古書に囲まれた独特の雰囲気が感じられるところがいちばんの魅力でした。ほとんど色のない世界と言いましょうか、ダークブラウンに近い色合いの雰囲気と言いましょうか…。

一歩間違えると、耽美小説になっちゃいそうな雰囲気もあり、そうなっちゃうとかなりお手上げなのですけど「すれすれ」のところで踏みとどまっていて、その踏みとどまり方が「また三浦しをんの作品を読もう」と思わせてくれたのでした。
ただ、文庫本の解説を書いていたあさのあつこさんが「すれすれ」をポ~ンと越えちゃっていて「あっちゃ~」なのでした。
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2 コメント

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Unknown (sky)
2009-09-28 12:49:31
若い女性作家には何故か抵抗があって、あまり読まないのですが、とみさんの解説に、三浦しをんさんには興味が湧きました!
 
特に古本店と古書店の違いに、へぇ~です!!!
 
神田の古本市のニュースを見る度、行ってみたいなあと思います。
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skyさん (とみ)
2009-10-01 07:16:38
確かに女性で若い作家さんだと、描く世界観が狭いような気がして、読み応えが…。
でも私には、恩田陸さんよりは三浦しをんさんの方が読みやすかったです。
三浦さんの作品、『まほろ~』の次になかなか「これ!」ってのに出会えなくて…
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