17音の世界をかけめぐる

日々の証を綴ります。季節、人情、知恵など、みなの思いが沢山こめられています。

成功の「私の好きな俳句」 (9月句会)

2005-10-15 23:41:58 | 17音の世界をかけめぐる
*朝顔を数へて夫の出勤す     正子
朝顔は晩夏と初秋の狭間に咲く花で、日々開いていくのを出勤の時に数えている。明日はどのくらい咲くのか、来年には新種の花を咲かせよう。などと思いをはせているのかも知れない。作者のご家庭のありようが見えてきて、とても良い作品です。
さて、この句の問題点は、夫が出勤する時、朝顔がいくつ咲いているかを確かめてから出かけるとなり、報告説明になります。その原因は「数えて」の「て」にあります。句に余韻を持たせるには、「て」を取り、「つま」と言わずに「おっと」とすればよろしいかと思います。
 *朝顔を数へ夫の出勤す    成功
いかがでしょうか。

*花野中ひよいとつまづく齢かな  あき子
自分では何時までも若いつもりで、仲間達と花野に行った。自然の中の風の音、草花をめでながら、少し早足で駆け巡っていた時、意識なく躓いてしまった。「ひよいと」のオノマトペアの使い方も、この句では良く効いたと思います。花野の大きな景をつまづくと言う断面を切り取って小景に絞って纏められたのは、さすがです。

「にれ」全国俳句大会

2005-10-09 12:09:48 | 17音の世界をかけめぐる
第27回にれ全国俳句大会が、10月2日(日)午後1時より札幌「すみれ」ホテルにおいて、開催された。
御来賓の「粒」代表山田緑光氏、「雪嶺」主宰村井杜子氏の祝辞をいただき、にれ賞に石山雅之氏、風響賞に加藤茂子氏、にれ新人賞に山上耕三氏と和田ひろし氏、佳作に加藤白洋氏と木村俊香氏をそれぞれ発表し、顕彰を行った。又、俳句大会成績発表と顕彰もあり、中現俳顧問 新妻博氏、「氷原帯」主宰谷口亜岐夫氏、中現俳副会長水谷郁夫氏がそれぞれ講評を行った。
山田緑光先生選
 *村起す風に青田の立ち上がる  湊 元子
 *死ぬ覚悟できて大花火の真下  杉野秋耕死
 *夏雲の父似に気合を入れられる 鈴木 汀魚
新妻博先生選
 *しばらくは水の冷たさ水芭蕉   石田嶺穹子
 *馬黍の空突く高さ嫁の来し    石田嶺穹子
 *たたまれしままの日月白絣    川端 葉子
村井杜子先生選
 *激動といふ世を生きて敬老日   大場栄朗
 *昭和史を詰めしサイロや草萌ゆる 西川道亀
 *蝉しぐれ明治の墓を守り来し   土肥さだ子
谷口亜岐夫先生選
 *記念樹は蝉を呼ぶ木となりにけり 本間 英穂
 *羽抜鳥プライドだけが歩きをり  本多久美子
 *水鉄砲いちばん好きなひとを撃つ 藤井 照子
水谷郁夫先生選
 *夏休み少女の羽化のはじまりぬ  今井 嘉子
 *初電話天国まではつながらず   杉  惠子
 *乗りつぎて一寸法師花筏     加藤こう子
木村敏男先生選
 *初電話天国まではつながらず   杉  惠子
 *日本の空奪ひ合ひ喧嘩凧     仲田美智子
 *夏山をひとゆすりして牛立てり  山村公弥子

祝賀会・懇親会において、東京句会近況報告と田中あき子句集「夏帽子」を参加者一同に謹呈した。同人会から、出版お祝いと包み金をいただいた。主宰はじめ誌友から、「今までにお目にかかったことがないような句集ですね」と、句集「夏帽子」の評判は上々でした。