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特捜最前線日記(第209話より)

特捜最前線について語ります

第237話 木枯らしや・・・

2007-06-07 03:03:57 | Weblog
脚本 阿井文瓶、監督 村山新治

暴力団のチンピラが殺され、現場から三千万円の現金と一枚の百ドル札が発見された。百ドル札がニセ札と判明したことで、事件の背後で大掛かりなニセ札取引が動いているものと推測されたが、暴力団は事件への関与を否定する。
チンピラの身重の妻を訪ねた船村は、ハワイで暮らす娘の姿を重ね合わせ、何くれとなく面倒を見るようになる。親を知らずに育ったチンピラは、ヤクザになる他に生きる術を持たなかった。妻の両親を実の親と思って孝を尽くしていたチンピラだが、父親は「ヤクザなんて人間のクズだ」と罵った。以来、妻は父親を憎むようになり、出産費用に不自由しながらも、実家に頼ろうとはしなかった。妻が妊娠したと知ったチンピラは、人の親になることに喜びと不安を感じていたという。「親になろうと必死に努力する奴が、クズのはずがない」と言う船村に、妻はしだいに心を開いていく。
ニセ札作りに関与した前科者リストを調べる特命課。その中に、船村が句会で知り合った老人がいた。事情を聞こうとした矢先、老人は行方をくらませる。そんななか、妻は船村が手配した病院で無事に女児を出産。妻は船村に名付け親を依頼する。チンピラが入っていた刑務所を調べた船村は、そこで老人と同房だったことを知る。老人はチンピラと妻をわが子のようにかわいがっていたらしく、船村は「老人がチンピラに頼まれてニセ札を作ったのでは」と推測する。
句会に送られてきた俳句の風景を頼りに、老人の潜伏先を見つけ出す船村。密かに張り込みを続けたところ、老人は妻が入院する病院に金を届けた帰り、暴力団に拉致されかかる。老人を救出して自白を迫る船村だが、老人は「何のことだかわからない」と惚ける。戦時中、軍の依頼で敵国のニセ札を作っていた老人は、それが原因でニセ札事件が起こる度に疑われることに、激しい憤りを感じていた。
そんななか、妻が子供を残して病院から姿を消す。老人からニセ札を奪うための人質として、暴力団に誘拐されたものと思われた。老人のアパートに踏み込む船村。老人が差し出したメモには「妻と引き換えにニセ札を持って来い」と書かれていた。もなおニセ札づくりを否定する老人を「赤ん坊が泣いているんだよ!」と必死に説得する船村。ついにニセ札作りを認める老人だが、すべて焼き捨てた後だった。
その夜、老人は単身で暴力団との取引に出かける。妻を逃がすことに成功するが、持って来たのがニセ札でなく新聞紙だと気づかれる。危ういところを特命課に救出され、事件は無事に解決。ラストシーン。妻の病室では、故郷から訪れた両親が、孫の姿に目を細めるのだった。

「差し入れは娘の煮たる芋の秋」老人が受刑者たちの同人誌に発表した句から、チンピラの妻に対する娘のような愛情に気づくおやっさん。「下町は鐘も聞こえず残り柿」老人が句会に投稿してきた句から、柿の木の見えるところに潜伏していると推測するおやっさん。老人の詠む俳句をもとに捜査を進めていく過程が味わい深い一本です。俳句というと、短歌の雅さ、川柳の洒脱さに対して、どこか枯れた味わいがあり、おやっさんにはぴったりな印象があります。おやっさんが詠む句にはろくなものはないですが、それもまた、おやっさんらしくて微笑ましく思えます。

1 コメント

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Unknown (AKBSKE大好き)
2011-12-17 15:17:21
この作品は見たことないけど、是非見てみたい
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