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いっつも

2021年01月22日 | 焼き芋みたいなショートエッセイ


          焼き芋みたいな
          エッセイ・シリーズ⑫


                 『いっつも』


        久しぶりにAと会った。
        相変わらず元気そうだったが、
        珍しく神妙な顔つきでこんな話をしてくれた。

        「もう一昨年の暮れの事になるけど、何かいっつも、

        緊張感が足りないというかさ、刺激が欲しいな!と思った事があるんだよね。
        そうしたら年が明けてコロナ騒ぎでとんでもない状況になったろ。

        ナンカ、俺、呼んじゃったかな」

        うーむ。それは只の、なあ。

        Aは続ける。
        「じつは以前から何度かそうした事があったんだよ。
        初めて旅行に行った先がその翌年に大災害に見舞われたとか、
        2回あったんだよね。何だか妙に気になってな」

        「うーむ、それは微妙なところだなあ。
        3,4回だったらあれだけど、2回だけなら何とも言えないよナ」
        「そうなんだよ。微妙なんだ。中途半端なんだ、いっつも。
        UFO見た時も、あれ本当にUFOだったのか?、

        それともカン違いだったのか?、イマイチ自信がない。
        いっそのこと、UFOにレーザービームで
わあー!って吸い込まれてさ、
        宇宙人に誘拐されたとかならスッキリするのに。なんかいっつも、漠然としたままでな」


        そう言ってAは笑いながら、ぼそっと呟いた。


        「俺の人生、いっつも漠然としてるんだよ」


        いやいや、人生に例えなくていいだろ、いっつも。




            星空Cafe、それじゃまた。
                皆さん、お元気で!








             


     

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