花見に行った
車いすの お姑さんも くーちゃんも チューリップさんも
花よりだんごみたい
さくらは まだ まだ満開ではない などと言って
見てるのは もっぱら 人 人 そして露天ばかり
好物の たこやきと やきそばを買って 食べた
露天あっての さくらなのか
さくらあっての 露天なのか どっちでもいいけど
ヒヨドリが 頭の上で ピーピー 鳴いていた
花見に行った
車いすの お姑さんも くーちゃんも チューリップさんも
花よりだんごみたい
さくらは まだ まだ満開ではない などと言って
見てるのは もっぱら 人 人 そして露天ばかり
好物の たこやきと やきそばを買って 食べた
露天あっての さくらなのか
さくらあっての 露天なのか どっちでもいいけど
ヒヨドリが 頭の上で ピーピー 鳴いていた
お姑さんは ストーブの前から離れない
モモちゃんも 火がつく と 心配になるくらい
ストーブの前に ぴたり 離れない
いつまでも 寒い 寒い と思って いたら
土筆を 見つけた
田んぼの畦に びっしりと
あー 春なんだ 寒いけど 確かに 春は来てるんだ
モモちゃんと ふたりして なんだか ほっとした
でも 家に帰ったら やっぱり
まだまだ ストーブから離れられない
内緒話 が 大好きなおばさんは
意地悪するのも 大好きみたい
いつも 誰かを ターゲットにして
バッシ バッシ と切り倒す
チューリップさんも やられたて バタンキュウ
一時は 立ち直れなかった
あの怖いおばさんが 変身した
孫が 生まれて べろべろで
笑顔が絶えない 優しい人になった
本当は おばさんは 優しい人 だったのかしらん
赤ちゃんの力って すごい
赤ちゃんって なんて偉大なんだ
くーちゃんとお姑さんとモモちゃんは
いつも一緒に テレビ見てる
あんまりべったりされると 嫌になっちゃう
くーちゃんは優しい人
親子なんだから当たり前
とは わかってるけど なんか いい気がしない
嫁って なんなんだろう
きょうの晩御飯は お姑さんの好きな筑前煮にしよう
お昼まではそう思ってた けど やーメタ
素直じゃない わかってるけど
素直になれない チューリップさんを
モモちゃんの真っ直ぐな瞳が見つめてる
今に始まったことでもないが
お姑さんは 頑固
今夜はお風呂入ってくださいね
夕食時に約束したのに
食事した後 いつの間にか眠ってる
洋服着たまま ベッドにもぐってる
お風呂で死ぬ老人が多い と テレビで聞いてから
お風呂に入ることを 嫌うようになったらしい
デイサービスも あんなとこ 嫌 と避けてしまう
風呂に入らんでも 死なんだろう
などと くーちゃんは 笑ってる
明日は お姑さんと一緒に入ろうかしら とチューリップさんは 思ってる
そしてマイペース
10年前 アプリコットだった
トイプードルのモモちゃん
白くなったねえ どんどん白くなっていくねえ
お姑さんは しみじみ言う
だまされたみたいだな
膝に乗る モモちゃんのからだを撫でて
くーちゃんは 呆れて言う
可愛いモモちゃん
白でも 黒でもどっちでもいいよ
長生きしてくれたら それでいいよ
親戚には 犬好きがおおい
そんな人は 可愛がってくれるものだと
モモちゃんは よく知っている
お客様だいすきなモモちゃん
いとこが来たら
あー、あぶない と思ったときすでに
手遅れだった 床は濡れている
犬が大好きな いとこが来ると いつもなんだから
チューリップさんは ティッシュをもって走ってる
困ったモモちゃん
モモちゃんは 感がいいし 頭がいい
なんでも できるらしい
ただ 教えるがわが下手なだけ
お座り お手 お変わり 伏せ 待て
ぐらいしか 教えてない
くーちゃんは ふざけて いつまでも 待たせたりする
この前なんか 100数えてた
モモちゃんは おやつを目の前にして
くーちゃんの数え終わるのを ひたすらまっている
まっすぐな あのつぶらな瞳で
ああなんて いじらしい
我が家で いちばん頭がいいモモちゃん
美容院へ行った モモちゃん
ふわふわの毛 ぴんと立ったしっぽ つぶらな瞳
ほんとにおまえは 世界一の美女
可愛い 可愛い と 声がかかるのも 無理はない
おやばかにもほどがある とは分かっているが
つぶらな瞳で 見つめるモモちゃん
11歳になる
どうか 長生きしてね
ほんとにおまえは世界一