最近 怪しい
どっちがどっちだかわからないが アヤシイのだ
こんなものは私のものではない
と お姑さんは下着を手にして言う
でも チューリップさんものでもない
お姑さんは頑として その言葉を譲らない
あんた忘れ物 炊事てぶくろ こんなとこに置いてある
ほれ と お姑さんの部屋の鏡台から持ってきて わたしに渡す
チューリップさんは そんなところに置いた覚えはない
でも お姑さんは頑としてその言葉を譲らない
言い争ってもしかたないから その場は 笑ってごまかしているが
あやしい不安は隠せない
モモちゃんはひとりでご飯をたべない
お姑さんのそばがいいみたい
くーちゃんが家にいるときは
くーちゃんのそばがいいらしい
チューリップさんは忙しいので
はいどうぞ と言ってすぐいなくなるので
たいてい ご飯は残ったままだ
困ったやつだ と 手のひらに乗せると食べてくれる
モモちゃんはアレルギーがあるから仕方ない とはいえ
このご飯 チューリップさんたちの食べるご飯より高いんだよー
などと ついつい愚痴をこぼしている
春だ とばかり浮かれていたのは
ついこの前のことだった
なんでこんなに暑い毎日なんだ
もう夏なの？
柿の木の若葉に うっとり
華やかなツツジの群れに わくわく
見とれてばかりいられない
なんて 気忙しい
緑のカーテンの準備 急いでしなきゃ
今年も 風船かずらにしよう
フィラリアの検査をした
陰性だった 良かった
お医者さんから半年ぶんの薬をもらった
大好きなチーズに丸めて飲む
モモちゃんは
毎月20日が楽しみ 楽しみ
チューリップさん
去年みたいに忘れた なんてことないようにね
風邪がようやく治まった
と思ったら こんどは歯痛 抜歯した
先月 右の奥歯をやったばかりで 今月は左側
歯医者は同情してくれたが
要するに何も食べるな ということか
歯医者なんて滅多に行かない と
くーちゃんはきれいな歯で笑ってみせる
モモちゃんもあんまり甘いもの食べると
チューリップさんみたいになっちゃうぞ
風邪気味だから 止めるかもしれない
と言っていた稚児行列に やっぱり
行くことにしたから 手伝ってほしいと言われて
みずばなを出してせき込んでる孫を抱いた
１０キロの米なんて抱えられない
と普段は音をあげるところだけど
１２キロある１歳半になる孫は 無条件に可愛い
終わって家に帰ったら 腰の具合が変だ
無理するから と くーちゃんは笑ってる
次の日 のどが痛い 久しぶりに風邪ひいたみたい
と言ったら 俺もや と くーちゃんはまた笑った
