ブオンコンシリオ城の『ロマニーノ展』に行って来ました。
日本にいた時はあまり聞かなかった画家の名前だが、ジローラモ・ロマニーノ(1485または1487-1560)はブレーシャ出身の画家で、城内の壁画を描いたことで知られる。40年ぶりに行なわれた展示会で、しかもトレントと深い関係があるといえば行かない理由はないと、ガイド付きのグループに参加する。
画法が時代によって変わっていて、明らかにジョルジョーネやティツィアーノの影響を受けていると見られる時期や、全く異なるものもある。特徴が少ない画家なのかとも思う。
生地の光沢や装飾を描くことに凝っている時代があり、肖像画においても細かく丁寧に描かれている。しかし当時は贅沢していたんですね、肖像画かかせるくらいの人って。などと、このくらいの時代の絵をみるといつも感心(?)してしまう。それにブラウスなどのデザインが前衛的なこと、『今』の比には及びません。
チェーザレ・ボルジアという人物の肖像画がありました。私自身は塩野七生が本を書いたということで名前を知っていたけれど、イタリアの歴史上でもそれほど素性がはっきりしていない人物のひとりらしい。しかし波乱万丈な人生は、その肖像画の背景の絵からもうかがえるとのガイドの説明、なるほど。
個人的には、ブオンコンシリオ城に描かれた一連のフレスコ画が、どの他の絵画より良い。画法にあまりムラがないという印象で、テーマも明確でわかりやすく、時に愛嬌がある。同時代の他の偉大な画家たちに比べると、ずっと描きこみ足りないと評価されるだろうが、内装として観賞するには十分満足する。