気に入った演奏には○
No.1 ジョセフィーン・シェイ(アメリカ)
甘く幻想的な出だしのバッハ。最初だけはとても良かったが、そのうちに指がもつれたり、構造が不明瞭なところがではじめた。
○No.2 ドミトリー・ミャーチン(ロシア)
今日の中で最も個性的な演奏。
バッハの平均律では唯一ピリオド奏法?というかチェンバロを意識したであろう短い響きで構成。いい意味で時計のような面白さがあった。
他二曲も、感情を抑制した演奏が良いほうに作用していた。ロシアというよりソ連のイメージ。
No.3 玉木 佐知(日本)
とても可愛らしいハイドンのピアノ・ソナタ。バッハでは妙にべたついていてバッハぽさが感じられなかった。そのうちに集中力が途切れたのか音楽が止まりかけてしまい、続くドビュッシーも精彩を欠いた。
○No.4 近藤 由貴(日本)
KAWAI製ピアノの明るく良く通る音色がモーツァルトにマッチ。
続くバッハも明るいキャラクター。
一転、プロコフィエフのダークな響きとの対比がすごく効果的だった。
No.5 ルカ・トラブッコ(イタリア)
ベートーヴェンのピアノ・ソナタは明らかに不必要なほどテンポを上げてしまっており、右手と左手がばらけてしまった印象がある。
No.6 山田 翔(日本)
音だけだと安定していたのだが、身振りによる演出が過剰なわりに音や音楽に反映されておらず、ナルシストっぽさのみが鼻についた。
○No.7イリーナ・ザハレンコバ(エストニア)
本日の白眉。
見た目の清楚な雰囲気とバッハが見事にはまっていた。
次のハイドンでは楽しく、スクリャービンでは敬虔な雰囲気でと、曲ごとのオーラを見事に変化させていた。
ハイドンに入る前に間をおいて髪をかきあげるしぐさ、GOOD!
No.8 花田 えり佳(日本)
ここから使用ピアノがスタインウェイにかわったが、ピアノの性能を活かしきれていないというか、表現しようというエネルギーそのものが弱く、ピアノに音楽が負けていた。
No.9 泉 麻衣子(日本)
緊張のためか何か分からないが、音楽以前の登場や礼の仕方、曲間ごとに神経質なくらい鍵盤を布で拭く態度から、音楽に対する愛情が感じられなかった。演奏も然り。ここまで心を込めない演奏ができることに、逆に興味がわいた。
○No.10スサンナ・カジョヤン(ロシア)
この日一番のバッハを聴かせてくれた。すごく懐の深い演奏で、宗教的なイメージがはっきりと伝わる演奏。
続くハイドンでは、パチッと表情を変えて楽しい演奏。
最後のプロコフィエフが、やや集中力が途切れたというか、前二曲ほどの鮮烈ねイメージがなく、ぶん投げたような感じだったのが惜しい。
No.11 香川 愛(日本)
80パーセント程度の力で演奏している印象。技術はあるが。音楽に対するイメージや思い入れが感じられず、ベートーヴェンの《熱情》ではそれが完全に悪い方に作用しており、テンポのゆれや曲想の変化が「楽譜に書かれているから、ただやっている」だけのようにすら聴こえた。
No.12 アリーナ・キリャエバ(ウクライナ)
バッハの平均律2巻イ短調、まるで現代音楽のようなアプローチ。ベートーヴェンの《ワルトシュタイン》がよく出来ており、メリハリがあってワクワクする感じ。
演奏のせいか、私自身の聴き疲れのせいか分からないが、この辺からあまり演奏が印象に残らなくなってきた。
No.13 マクシム・クラブホフ(ウクライナ)
バッハの平均律1巻ハ長調という王道過ぎる曲を選んできたが、ちょっとロマン派、もしくはハープのように味付けしすぎたように感じる。
ベートーヴェン、リスト、悪くはないが、あまり印象に残っていない。
その他、印象に残ったしぐさ、態度
No.2
とにかく無表情。出来て当然といった感じ。
No.3
演奏の前に客席に聞こえてしまうくらい深呼吸。
No.4
演奏開始時に滑らかに手を出す。
No.6
右手を胸に手を当てての礼。曲想に関わらず一様な演奏終了時の手の過剰な動き。
No.8,9
さっさと演奏を終わらしてしまいたいかのような、音楽の余韻のぶつ切り方、入場、退場。
No.10
バッハの演奏中、あまりに思い入れが強いのか声に出して歌っていた。
曲間ごとに十分間を取り、左を向く。まるでそこに神がいて話しかけるかのように…
No.12
バッハとベートーヴェンで、強奏時に思いっきり前傾姿勢になる。(リストの《ラ・カンパネラ》ではしなかった。)
一日目の感想として、予想以上に、とは言いませんが「聴きに来たかいがある」と思えるほどには楽しかったです。