「生きる」4Kリマスター版4K Ultra HD Blu-Rayを購入しました。言うまでもありませんね、黒澤明監督の世界的名作です。「用心棒」「椿三十郎」の画質に大満足した私は、現時点で手に入る残りの1作品を追加購入した次第!ワクワクしながら早速画質をチェック、私の画質評価をご紹介したします。今回もデジタル修復の話です。
🌟画質評価
まず最初に結論を述べます。今回、東宝から発売された「生きる」4Kリマスター版4Kブルーレイの画質にはガッカリ、失望しました。(画質は)とてもとてもお勧めできません。
画質チェックは、①映像の傷の除去、②明暗調整、③コントラスト調整、④解像度向上などを頭に置いて観ていこうと思っていました。「用心棒」「椿三十郎」の画質が素晴らしいできだっただけに、「生きる」を観たときは思わず「何で、どうして・・・」と叫びました!明らかに手抜きのデジタル修復だったからです。残念を通り越し、憤りを覚えました。
🌟映像の「雨降り傷」が修復し切れていない
映画を再生した途端、「①映像の傷の除去」の段階で固まってしまいました。フィルムの原版に付いてしまった、いわゆる「雨降り傷」が残っているではありませんか。それも重箱の隅を突っつくように、数カ所が気になった、というレベルではなく、映画全体に渡って残っているのです。バンバン現れます。「そんな馬鹿な・・・」です。もうこの時点で画質チェックなどやる気を失いました。明暗、コントラスト、解像度どころではありません・・・傷が気になって。
古い映画の映像に付いた傷の除去は、デジタル修復に一番期待する部分ではないでしょうか。「生きる」はその入り口で失格です。4Kリマスターの謳い文句に期待し、「用心棒」「椿三十郎」の素晴らしい修復映像に感激した後では、とても受け入れられるような代物ではありません。「生きる」については「4Kリマスター」の看板を降ろしてほしい!
🌟古い映画だからは理由にならない
「生きる」は「用心棒」「椿三十郎」からほぼ10年遡る映画です。だから映像に傷が多く、デジタル処理で消し切れなかったという理由は言い訳になりません。「生きる」の前年1951年に大映で撮られた「羅生門」は、デジタル修復で素晴らしい映像に甦っています。傷の大雨のような映像も綺麗に修復されています。「羅生門」にできて「生きる」にできないはずがありません。東宝にやる気がなかったとしか言いようがありません。
世界的名作をこのような傷だらけの映像で残してはいけません。「羅生門」「用心棒」「椿三十郎」レベルのデジタル修復を今からでも行うべきです。東宝に強く要望します。このような中途半端なことをしてはいけない!
🌟消し切れていない映像の雨降り傷(画像で検証)
静止画像では分かりにくいが、動画では雨降り傷(雨のように縦に走る傷)がとても気になります。例に挙げた画像を見ていただきたい。これでデジタル修復したと言えるのだろうか。イヤ、言えるはずがない!これを消してみせて初めて4Kリマスターと誇れるのだと思う。これらだって、ほんの一例に過ぎません。


【例1】胃のレントゲン写真。胃と黒背景だけの単純な構図でも傷は取れていない。


【例2】職場で書類を見る主人公。盛大な傷が見える。


【例3】主人公の息子の妻。暗い場面では傷がよく目立つ

【例4】画面中央に縦の傷が走っている。暗い部分で傷が目立っている。


【例5】左卜全の顔、背景に大きな傷が走っている。背景の大傷、これはないよね。


【例6】二人の間に縦の傷が走っている。これでD修復とは口が裂けても言えない。