つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・39

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載39回目である。なお、英訳された『九十五箇条の提題』を、当方で日本語訳して掲載することとした。

14〔39〕 大変に鋭い神学者であっても、人々に豊かな贖宥(の効果)と、真の悔い改め(の必要性)を、同時に称賛することは非常に困難である。
    訳は当方


要するに、これはルターによって誤りだと認識されている「贖宥」の効果と、本来人々が行うべき「真の悔い改め」が、両立されないことを示した一節だといえる。

人々は、より楽な方で良いと願う限り、「贖宥」になびくであろうし、また、神学者も経済的な収入に繋がるのであれば、同意をするであろう。だが、ルターとしては、人々に「真の悔い改め」をして欲しいわけだから、それを説かねばならないが、その時、「贖宥」の機能との矛盾が生じるはずなのである。

よって、鋭い神学者であっても、というか、だからこそ、この矛盾の前に言葉を失うのだろう。

【参考文献】
Works of Martin Luther:Adolph Spaeth, L.D. Reed, Henry Eyster Jacobs, et Al., Trans. & Eds.(Philadelphia: A. J. Holman Company, 1915), Vol.1, pp. 29-38
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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