つらつら日暮らし

ハロウィンとキリスト教の関係について

そういえば、先日【チェコのカトリック教会の神父が子供たちが作ったハロウィーンのジャック・オ・ランタンを破壊】の記事で、キリスト教とハロウィンの関係について、微妙なところがあるとしたのだが、実際のところ、どういう関係なのか?専門家の記事を見付けたので、それを見ておきたい。

今回は(というか、今回も)八木谷涼子先生の『キリスト教の歳時記』(講談社学術文庫・2016年)から、「◆ハロウィーン(10月31日)Halloween」の項目を見ておきたい。それで、本書ではハロウィーン(ハロウィン、以下、こちらで表記)について、キリスト教の暦には入っていないとしている。ただし、ハロウィンの名称からすれば、キリスト教と関連があることが分かる。

そもそも、ハロウィンは英語で以下の通りに表記される。

・Hallow-e'en

しかし、こちらは、以下の短縮形だそうだ。

・All-Hallow-Even(または、All Hallow's Eve)

そうなると、確かに「Hallow」は「聖人」を意味する英単語である。ただ、その「Eve」だから、「聖人の日の前」となる。よって、ちょっと堅く訳すと、「諸聖人の日の前夜」となる。そうなると、「11月1日」が「諸聖人の日」となるわけだが、中途半端な印象がある。しかし、この辺、しっかり理由があった。

そこで、結論から申し上げると、この祭の由来は、ケルト民族のドルイド教だという。暦の考え方として、今では「12ヶ月で1年」とするが、数え方の問題で「10」を最大とする場合は、洋の東西にあるのだが、ドルイド教の暦でも、「11月1日」は新年(サムハイン祭というらしい)を意味し、その前日は大晦日であった。

なお、このドルイド教の考え方では、この祭に合わせて、神々の世界が人間に見えるらしく、その前日には先祖の霊がこの世界に来て、悪霊などの力も最大になるという。つまり、この悪霊がいたずらするという考えを元に、19世紀のアイルランドの若者が仮装をして、いたずらするというのが流行った。それが、現在の行事の最初だという。そして、アイルランドからの移民がアメリカに伝え、そこから今度はヨーロッパに逆輸入されたものが、今のハロウィンパーティーになっているそうだ。

以上の文化移動の間に変わったこともあって、それは「ランタン」の材料である。スコットランドでは「カブ」を使ってランタンを作ったが、アメリカでは黄色いパンプキンで代用され、いわゆるカボチャで出来た「ジャック・オ・ランタン」となった。

それから、キリスト教との関連だが、先に挙げたドルイド教の祭に「諸聖人の日の前夜祭」を重ねて、キリスト教の祭に「上書き」したようである。だが、やはり、本書では以下の注意点を指摘している。

キリスト教会のハロウィーンに対する態度は、どちらかというと否定的だ。異教的な風習や幽霊などの仮装が子どもに悪影響を与えるものとして、はっきりと禁じる教会もある。いっぽう、教会が運営に関わる幼稚園や学校などで楽しくこの行事を祝うケースもあるので、地域によって事情は様々である。
    八木谷先生前掲同著、272頁


以上の通りなのだが、ここから少し纏める必要が出て来たので、書いておきたいけれども、拙僧自身の最初の認識は、「ハロウィンはキリスト教と関係が無い」というものだったが、それを以下のように改めなくてはならない。

①ハロウィンという名称⇒キリスト教の「諸聖人の日」に因むため、名称的には同教。
②ハロウィンの子どもの行事⇒19世紀のアイルランドの子どもに因むため、キリスト教に関係無し。
③10月31日という日付⇒ドルイド教に由来するため、キリスト教に関係無し。


この結果、名称としてはキリスト教だが、内容は民間宗教、或いは古宗教由来となるため、キリスト教とは関係が無いと言える。今日は、この辺で仕上げておくか。

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