つらつら日暮らし

『浄土布薩式』「大科第七 問遮」①(『浄土布薩式』参究8)

ここ数回『浄土布薩式』の本文を学んでいる。当作法は、冒頭で布薩の日程を出した後で、実際の作法に入っていくのだが、今回は「大科第七」の項目を学んでいきたい。ところで、「問遮(遮を問う)」というタイトルだが、本来であれば、菩薩戒を受ける資格について問う内容となっている。しかし、本書ではどうか?

大科第七 問遮
 問遮とは、
 凡そ造業に於いて、而も定業有り、不定業有り、
 其の定業とは、設ひ善心を発し、懺悔を修するに転ぜられざるは、必ず来報を招く。故に、定業と名づく。
 不定業とは、或いは前を悔し後を止む。或いは無上の大懺悔・大善根を修れば、悉く転ぜらるるが故に、不定業と名づく。
 是を以て若し七遮有る者のみ、授戒せしめざるなり。此は是、権教の所説なり。実教は然らず、決定業も懺悔すれば必ず転じて、更に余殃無きなり。但し、今此の教は実教なる故に、五逆の罪を滅するに堪えたり。必ず此の念に住して、懺悔すべきなり。
    『続浄土宗全書』巻15・75頁、訓読は原典に従いつつ当方


まず、予め断っておくが、今回の「大科第七 問遮」項については、数回程度に分けて連載したい。理由だが、この項目では、「七遮(七逆罪)」について論じるのだけれども、その一々について、結構掘り下げて論じているからである。しかも、本来授戒の「遮難」や、「七逆」は、デリケートな問題であって、軽々に扱うことは出来ない。よって、丁寧に検討していきたいと考えたのである。

その前に、まず上記引用文で述べていることを確認しておきたい。まず、業に定業と不定業とがあるというのは、かなり一般的な議論ではあるが、それを敢えて論じているのは、懺悔との関係があるためである。懺悔した結果が、発揮されるか否かは、定業か不定業かの関係性にある。

そこで、定業は懺悔したところで、その機能は発揮されないのである。一方で、不定業は不定であるが故に、大懺悔・大善根の結果、転ぜられるのである。

なお、この内、「定業」とは「七遮」である。その「七遮」のみ、授戒はさせないとあるが、それは「権教」の説であって、「実教」は定業でも懺悔すれば転じ、善くなるという。よって、上記一節では、五逆の罪(七逆に含まれる)を滅するのに懺悔で良いという。懺悔の意義を示したと理解出来よう。

【参考資料】
・宗書保存会『続浄土宗全書』巻15、大正14年
浄土布薩式(新編浄土宗大辞典web版)

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