つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・48

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載48回目である。なお、英訳された『九十五箇条の提題』を、当方で日本語訳して掲載することとした。

23〔48〕 キリスト教徒は、教皇が恩赦を与える際には、自分たちが支払う金銭以上に、教皇への敬虔な祈りを必要とし、望まれていることを教えられるべきである。
    訳は当方


結局のところ、恩赦については金銭で購入するようなものではなく、どこまでも敬虔な祈りこそがそれをもたらすという立場である。色々と調べてみると、金銭で何とかなるという発想が、教会側だけで無く信者側にもあったそうで、それをルターが批判したようである。現実的と見ることも出来るかもしれないが、一方で、敬虔さという点では、明らかな後退ではある。ただし、後に日本などでもこの辺の「ノリ」が、良い宗教のように喧伝されたけど、実際には数多ある宗教観の1つに過ぎないと見るべきである(個人的には、そろそろルターの宗教観についても、批判的に見ていく必要を感じている)。

【参考文献】
Works of Martin Luther:Adolph Spaeth, L.D. Reed, Henry Eyster Jacobs, et Al., Trans. & Eds.(Philadelphia: A. J. Holman Company, 1915), Vol.1, pp. 29-38
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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