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つらつら日暮らし

日本曹洞宗と梅の華(4月1日版)

今日から4月である。世間的には新年度となり、新たな気持ちで新たな環境に行く人もいれば、不安に感じている人もいると思う。居場所の不安を感じている人は、以下の記事などを読んでいただけると良いのでは無かろうか。

4月1日から居場所を失ってしまう方へ(Yahoo!ニュース)

それにしても、今日は、多くの商品が値上げされたり、多分大変なのだが、年度最初から暗い話ばかりしていてもシャクに障るだけだから、とりあえず仏教の記事を採り上げていきたい。今日は、道元禅師が、曹洞宗と梅の華の関わりについて述べた文章があるため、見ていきたいと思う。

 吾宗に梅を本とすること、別なる事なし。六祖の在処は梅の道地なり、仏法もこの地より繁昌す。一花五葉にわかつなり、梅花も又五葉なり。夫五葉といふは、曹洞、臨済、雲門、潙仰、法眼なり。たとへば、梅は雪裏なれども、ひらひて逐時節、不凋花なり。五家の宗門も不干時節、不属陰陽者也。
 故に古聖云、雪裏梅花一枝開と云云。今時仏法学べる人は、如麻似粟。入邪路者多、到正路者少なり。上古の人は、明此事て護持・保持す。この事といふは、人人一段の大事なり、大事は五家にあり。さればなんぞ世俗の名利に住せんや。必同虚空ければ、小知小見に不可拘。この心は名のみありて、無形ゆへに、虚空不二といふなり。たとへば心は合といふ相も、別に不可有。心与相相忘すべし。相忘といふは、柔和忍辱にして、欲心瞋恚なきゆへなり。得は頓に得、非は漸漸に尽、非を尽すまで、上代は山居するなり。
 大潙の安和尚は、二十年不学禅、不修道、一頭の水牯牛を養得て在目前、露躶躶地なり。僧問安和尚、在此山中、為何麼事。安云、早朝喫粥、午時喫飯。大梅常禅師、二十年在大梅山、即心即仏話を提撕し、達磨は九年面壁して、真性の偈を安得て、二祖可大師を接得せり。如是護持して、天下の善知識と名を堆す。
    『正法眼蔵』「陞座」巻


そもそも、道元禅師が、曹洞宗(というか禅宗)が梅と関わっている理由について、六祖慧能禅師がいた曹渓山が梅で有名だからだと言っておられる。六祖はまさに、その後の南宗禅の興隆を決定付けた人、或いはその系統の人から自分たちの始祖のように扱われた人であるから、仏法もこの地から繁盛している。禅宗の宗派は後に、五家といわれるように、大きく5つを数えることが出来たが、それは達磨の伝法偈の一節に見える「一花(開)五葉」という言葉によって、予言されたという発想をする人もいた。

ここで、道元禅師は、梅華もまた五葉(花弁が五箇)であるとして、慧能の梅こそが、「五葉を持つ1つの花」であると考えた。そして、そのような五家がまさに、仏法を担うものだとして、その優れた徳を強調された。五家とは、時節に於いて増減無く、陰陽無く、ただ仏法なる事実を保任する存在だといえる。仏法を学ぶ人は多いが、道を誤るものが多く、五家以外の、禅宗以外の仏法は正しい道とはいえないという。

なお、誤った道というのは、世俗の名利にまみれることが最悪である。常に、このブログでも言うところですが、世俗的な価値観などの充実感を得るために仏法を学ぶ者は、必ず道を誤る。それは、世俗の価値観は多くの場合、様々な「量」に還元されて、例えば信者の数や、布施の多寡といった「数字」で優劣を競う場合が多いが、自らの真実のありようを学ぶという時、その「数字」にどれほどの意味があるのだろうか?

ですので、我々は山に籠もり、非が尽きるようにしなければならない。道元禅師が、そのような修行の好例として採り上げたのは、潙山霊祐である。この潙山は、水牯牛のように、ただ黙然として修行をしていた。それは、朝には粥を食べ、昼にはご飯を食べるという日常底に徹底していくことである。或いは、大梅法常禅師や面壁九年した達磨大師こそが、禅の修行として優れているとされた。禅宗の紐帯として梅華は機能しており、禅は梅華を媒介に、その全てが連帯する。

【4月1日的結論】

そういえば、宗門関係者はもちろん、他の一般の方も、『正法眼蔵』「陞座」巻は、後の人が道元禅師の名をかたって作った偽書だということは知っておられることだろう。一時は『正法眼蔵』の一巻として、収録されたこともあったようだが、後には内容が他の巻とあまりに乖離していることを理由に「不謄写」となった。

今日は、エイプリルフールなので、そんな偽書を使って、いかにも道元禅師の教えっぽくお話しをまとめてみた。これが、不妄語戒に反しているかは不明。でも、違反しているかもしれないので、心から懺謝したい。一応、以上の教えのほとんどが、道元禅師と関係ないと思われるのでご注意いただきたい。道元禅師の禅宗に対する考え方は『正法眼蔵』「仏道」巻を、梅華については「梅華」巻をご参照いただきたい。

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