流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

ロケットエンジン液体酸素ターボポンプの最大流量の2分の1での流体解析シミュレーション結果

2018年05月31日 | 宇宙航空産業機械

ロケットエンジン用の液体酸素ターボポンプの最大流量の2分の1での流体解析シミュレーション結果です。

次が液体酸素ターボポンプの流体解析シミュレーションモデルの全体です。

液体酸素ターボポンプが送り出すことの出来る流量の調整は燃焼室上部の液体酸素チャンバーの中央に有る凹んだ穴が噴射ノズルへの入口となり、それの面積によりポンプ出口抵抗が決まることでポンプ流量を調整可能です。

次は、ポンプ流体解析シミュレーションの解析モニタリング画面となり、解析計算の最終収束状態となっています。

各種ターゲット値が安定して収束した確実性の高いシミュレーションです。

この最大流量に対して2分の1流量付近がポンプとして最も効率が高く、設計点と言ってよい運転点です。

次は液体酸素ターボポンプから出口配管、燃焼室上部液体酸素チャンバー、ノズル入口穴 と液体酸素の流れを矢印付き流線で見た解析結果図です。

渦巻きケーシングでの流れの乱れや配管での旋回流の発生も無く、液体酸素チャンバーでの渦発生も少なく、全体的に良い液体酸素流れ状態です。

次はポンプインデューサーとインペラの流れ表面での圧力分布を示した解析結果図です。

次は、ポンプ子午面断面でのシュラウド近傍の円錐曲面流れ面での液体酸素流れ状態を流線群表示で見たものです。

図では分かりづらいのですが、インデューサー入口では入口角度が寝すぎていて、液体酸素のインデューサー入口相対速度の流入角度が大きいためインデュサーブレード入口負圧面にぶつかり、その後流にも大きな影響を与えて負圧が大きい領域を生成してしまっています。

そして、インペラブレードの入口でも負圧面に当たる傾向の流れとなっていて、それが負圧面側の後流での渦領域をもたらす原因と思われますので、インペラ入口角度の修正中です。

インペラ入口流入角度以外にも、インペラブレードの出口角度に対するブレード展開角が小さくなり、それがブレード負圧面渦領域を大きくすることになっていると思われることから、現在ブレード出口角度の減少とブレード展開角の増加を行っています。

次は、ボス近傍流れ円錐曲面での流線群を示しています。

ここでもインデューサー入口角度は流れ相対速度角度に対して寝すぎているので、現在修正中です。

インペラのブレード入口では、ブレードの厚みが厚くなりすぎて流れを大きく分け渦領域の原因となることが気になり、この部分も現在尖らせるように設計変更中です。

ブレード展開角の影響による負圧面渦領域の生成がやはり見られます。

次は、ボス流れ面とシュラウド流れ面の中間(mean line)流れ円錐曲面での流線群表示です。

ここでのインペラブレード入口角度は相対流れ入口角度に対して衝突が無く、損失の少ない良い状態です。

しかしブレード展開角の影響による負圧面渦領域は見られます。

<今日の流れ>

今日の自分の作業内容としては、以前設計したジェットエンジンの3段タービン部の各段の状態について流れ解析シミュレーション結果データ中の多数の解析計算値を解析ソフトのプローブ測定機能で測定してまとめる作業があるのと、ロケットエンジン1軸ターボポンプの計画設計です。

明日は海外からのお客様が来社されるので、それの準備も行いますが、お客様は英語のみとなられるようなので、昨日の夜に急遽携帯にグーグル翻訳をインストールして、自分の話す内容は瞬時に英語に翻訳されてお伝え出来ると思われますが、相手の方もLine翻訳を使われるとメールにあったので、なんとか意思の疎通はいけそうに思います。

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