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氷川きよしについて ★ by とねりこ

"女々しい歌"を作れる喜び〜KIINA.の歌声でたどる昭和史<12>

※湯の町エレジー〜1948年(昭和23年):KIINA.2009年

https://m.youtube.com/watch?v=kY-oLs_PAgM

 

初恋の女性を忘れられず伊豆の温泉町を訪ねる流しのギター弾き。でも彼女は既に他人の妻で、思いは遂げられない。

戦前の歌だと言われれば「そうかな?」とも思うし、KIINA.のアルバム曲ですと言われても納得出来そうな、いわゆる「演歌」と言われるジャンルの不滅のテーマですね。

 

でも、この曲を古賀政男さんが昭和23年に発表したことには重要な意味があったと私は思います。

それは、「こんな女々しい曲を、誰に憚ることなく作れて歌える世の中になった」ということです。

戦前、特に戦局が悪化の一途をたどり「一億総決戦」が叫ばれた時代に、こんな曲はとても発表出来なかったでしょう。軍に差し止められただけでなく、国民が求めなかったと思います。

何度か書いたと思いますが、この時代、作曲家も戦意高揚のための軍歌、戦時歌謡の制作を求められました。

古賀さんは古関裕而さんほどにはそうしたメロディー作りがお得意ではなかったのか、ヒット曲にはなりませんでしたが何曲も作っています。

 

そんな時代を越えて、晴れて本領である情緒たっぷりの曲を自由に発表出来るようになった。

この曲には、そんな古賀さんの喜びが溢れているように感じられます。

 

近江俊郎さんのレコーディングでは古賀さんご自身がギター演奏をなさったそうです。

イントロ、間奏、アウトロから聴こえてくるギターの嫋々とした響き。俯き加減に爪弾く古賀さんのお姿が見えるようです。

 

どんな作品も、それが人を傷つけるものでない限り、誰かによって規制されてはならないし、そんな時代に二度と戻ってはならない。

「湯の町エレジー」の女々しさは、そんなことを教えてくれているような気がします。

 

そして、KIINA.の折目正しい歌唱を、ご生前の古賀さんに聴いていただきたかったなあと。

「味わい尽くす♬180」では、こんな感想を書きました。

https://blog.goo.ne.jp/tazutazu3232/e/246d99695bbd03a7fa7899952b5c75b4

コメント一覧

チャチャチャ
こんにちは「湯の町エレジー」
とねりこさんの仰るように女々しい曲と表現されるようにまだまだ男女平等はもう少し先の話ですね。戦後3年しか経っていない、復活に男性は働き女性は子供を育て家庭を守り、バタバタした時代にラジオから流れて来るギターの音色は心の拠り所だったかもしれませんね。もの言えぬ時代から自由に思いを口にだされる時代に変わりつつある時代、古賀メロディーが沢山の方々に愛されて来たのも時代の流れと同時に人の変化?考え方や行動が立ち止まらなく未来に向かって行ったからだと思います。
KIINA.の年代での戦前、戦後の楽曲の歌唱は本当に難しかったと思いますがしっかり元曲は壊さずKIINA.の曲として心に響いて来ます。
みつこ
「湯の町エレジー」久々に聴いて、KIINA.の美しい歌声が沁みました。一節一節とても丁寧に歌っていて、「カバー曲はオリジナルを超えられないけど、勉強させてもらっている」とおっしゃっていたKIINA.の心が感じられます。成就しなかった初恋の人を想う切なさが美しいです。演歌の良さは恋人や親や友を想う人の心の美しさを歌っている所だと思います。
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