たた&にせ猫さんの備忘録

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『ブロンド少女は過激に美しく』 TOHOシネマズ シネシャンテ 

2010年10月17日 | 日記
   『ブロンド少女は過激に美しく』 TOHOシネマズ シネシャンテ 2010.10.16
 
     監督:マノエル・デ・オリヴェイラ 原作:エサ・デ・ケイロス
     出演:リカルド・トレパ カタリナ・ヴァレンシュタイン レオノール・シュヴァイラ他

  ポルトガルの文豪エサ・デ・ケイロスの短編小説(原題『ブロンド少女の特異さ』1873年)を、撮影中に100歳の誕生日を迎えた巨匠マノエル・デ・オリヴェイラが舞台を現代に移して映画化。

  映画を観終わって立ちあがった瞬間、隣の中年紳士が奥様らしきご婦人に「日経で★5つだったんだけど」と、言い訳。ちなみに、日経(夕刊)2010年10月8日のシネマ万華鏡で★5(映画評論家 宇田川幸洋)。めったに★5つはないので、皆さんさぞかしと思われたのではないかしら。

  日経の映画評論に惹き付けられ、また、このタイトルが男性心理をくすぐったのか、中年男性観客率が高い印象。

  映画自体は140年前の原作を現代に移しているせいか、不思議な趣。

  古めかし恋の話で、少女の蠱惑的な外見に魅かれ、結婚しようとすると、叔父や相手の親の許しが必要で、男は一財産を作るべく努力する。せっかく作った財産を友人のために失ったが、職業人として叔父に認められ、結婚の許しにたどり着くと、今度は相手の少女がとんでもない癖を持っていて、主人公の夢が一瞬にして失意に代わるというシニカルな短編。

  恋の盲目、外見のほかにクラスや資産が相手をみる物差しになっているといった背景にある階級意識などを皮肉っている短編小説なのかしら?。

  古めかしい恋で、紳士然とした服装も幾分古めかしいのだけれど、なぜか職場にパソコンがあるし、ユーロが使われている。例えば、明治時代の短編小説を現在の設定でやっている奇妙さ。それを、監督の力技で見せている。

  ポルトガルについておよそ知らないので、今もクラスがはっきりしていて、貴族趣味的な文化が維持されているのか、結婚には叔父や相手の親の許しが必要なのか、少女の癖は一瞬にして、その人を最下層に落としてしまうような価値観があるのか?どんな作家なのか、原作の時代背景は?等々、興味が後を引く映画。

  とはいえ、64分間、映像はきれいで、場面の切り替え、ストーリーの切り取り方など映画らしい映画だけれど、週末で疲れのせいかとても眠い。映画評論にあった少女の特異さの落ちだけでも知っておきたいと、最後まで起きていたけれど。短編で助かりました。
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