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◯ ついにiPhoneが「マイナンバーカード」に対応、スマホでの利用は進むのか。

 米Apple(アップル)は2025年春の後半から、iPhoneをマイナンバーカードに対応させる。さらに法改正により、今後はマイナンバーカードの全機能をスマートフォンで利用できるようになる見込みだ。一連の施策によって、スマホでのマイナンバーカード利用は進むのだろうか。

スマホでの利用拡大を阻む2つの課題。

 行政のデジタル化に欠かせないとされる「マイナンバー」を、国民が利用できるようにする「マイナンバーカード」。紆余(うよ)曲折があったものの、新型コロナウイルス禍でのデジタル化需要の急速な高まりと、政府によるポイント施策もあって国民の7割以上に普及しているという。

 だがその利用に向けては課題も多い。マイナンバーカードの提供開始当初、「プライバシーが侵される」などの誤解があったこともあり、普段から持ち歩くことに不安を覚える人は少なくないようだ。それだけに期待されるのが、スマホへのマイナンバーカード搭載である。プラスチックのマイナンバーカードを持ち歩くことなく、マイナンバーカードの機能を利用できる。

 既にAndroidスマホ向けには「スマホ用電子証明書搭載サービス」が提供されている。オンラインでの銀行口座開設などに用いる「署名用電子証明書」や、「マイナポータル」へのログインやコンビニエンスストアでの交付サービスなどで利用できる「利用者証明用電子証明書」を搭載できる。

 しかしスマホでのマイナンバーカード利用が進んでいるとは言い難い。大きな課題が2つあるからだ。

Androidスマホでは「スマホ用電子証明書搭載サービス」を利用できる。スマホに電子証明書を搭載して行政サービスを受けられる
画1、Androidスマホでは「スマホ用電子証明書搭載サービス」を利用できる。スマホに電子証明書を搭載して行政サービスを受けられる。

 課題の1つはiPhoneが対応していないことである。日本ではスマホ利用者の過半数以上がiPhoneを所持しているといわれている。iPhoneが対応しなければ普及は進まない。

 スマホにマイナンバーカードを搭載するには、「セキュアエレメント」を開放する必要がある。セキュアエレメントとは、スマホ内部に電子証明書などの重要な情報を安全に保存するための領域である。

 iPhoneのOSであるiOSでは、セキュアエレメントを他社に開放していない。開放してもらうにはアップルの協力が必要だ。そのための協議に時間がかかっていて、これまで実現できなかったようだ。

 もう1つの課題が、搭載できる機能の制限である。スマホ用電子証明書搭載サービスには、マイナンバーカードの全ての機能を搭載できない。スマホ用電子証明書搭載サービスは、あくまで電子証明書を搭載するサービスである。

 このため電子証明書は利用できるが、氏名や住所、生年月日、顔写真などのマイナンバーカード券面に記載されている情報は利用できない。つまり本人確認書類としては使えない。

デジタル庁「マイナンバーカードのスマホ搭載について」から。スマホ用電子証明書搭載サービスは本人確認には使えなかった
画2、デジタル庁「マイナンバーカードのスマホ搭載について」から。スマホ用電子証明書搭載サービスは本人確認には使えなかった。

アップルの発表と法改正で課題が解決。

 だが2024年5月末になって、これらの課題が一気に解決するめどがついた。2024年5月30日、アップルはデジタル庁と協力し、「Appleウォレット」による身分証明書機能を展開すると発表したのだ。

 岸田文雄首相は同日、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)とテレビ会談を行い、2025年春にはマイナンバーカード機能をiPhoneに実装することを確認した。Appleウォレットの身分証明書機能を米国外で展開するのは日本が初めてだという。

アップルのプレスリリースから。同社はAppleウォレットによる身分証明書機能を日本で展開することを発表した
画3、アップルのプレスリリースから。同社はAppleウォレットによる身分証明書機能を日本で展開することを発表した。

 アップルの発表によると、iPhoneで身分証明書を提示する方法は次の通り。まず利用者はAppleウォレットからマイナンバーカードを選ぶ。そして「Face ID」や「Touch ID」といった生体認証で認証してから、非接触IDカードリーダーにiPhoneをかざす。

 利用場所としては「物理的なマイナンバーカードが利用できる場所」としている。具体的には、病院や医療機関、コンビニエンスストアなどが該当する。

 展開時期について、アップルは「来春の後半より」と触れるにとどまっている。だが2024年5月31日に実施された河野太郎デジタル相の会見によると、iPhoneのマイナンバーカード対応時期は「確定申告には間に合わない」が、2025年の春ごろになるよう取り組みを進めていくと説明した。

 さらにこの会見の同日、「改正マイナンバー法」が参議院本会議で可決・成立し、電子証明書だけでなく券面記載事項もスマホに搭載できるようになる。

 これによりマイナンバーカードと同様に、スマホを本人確認の手段として利用できるようになる。iPhoneは当初からこの機能に対応するとみられる。Androidスマホの対応時期は未定のようだが、今後何らかのタイミングで対応が進められるだろう。

次なる課題は運用面。

 積年の2つの課題がようやく解消する。このため2025年以降は、スマホでマイナンバーカードを利用する人が急増する可能性が高い。今後は普及よりも運用が課題になるだろう。

 現時点でも、「マイナンバーカードは利用できるが、スマホ用電子証明書搭載サービスは利用できない」という施設や店舗を時折見かける。

 筆者は先日、印鑑登録証明書などを取得しようと、電子証明書を搭載したスマホを持ってコンビニエンスストアへと出かけた。そしてマルチコピー機で発行の手続きをしようとしたら、「対応していない」という旨のメッセージが表示されて発行できなかった。そのためマイナンバーカードを使って発行した。後で調べたところ、筆者が訪れた店舗はスマホの電子証明書に対応していなかった。店舗によって対応に差があるようだ。

 だが、今後は対応が進むことが予想される。マイナンバーカードの利用拡大に向けて、国が積極的に働きかけるだろう。前述のようにiPhoneが対応することで利用者も拡大する。

 さらに、2024年12月2日からはマイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」が標準となる。これらを機に、スマホに搭載したマイナンバーカードを利用できる場所が拡大することが期待される。

厚生労働省のリーフレットから。健康保険証はマイナ保険証への移行が進められており、2024年12月2日以降は紙の健康保険証が発行されなくなる予定である
画4、厚生労働省のリーフレットから。健康保険証はマイナ保険証への移行が進められており、2024年12月2日以降は紙の健康保険証が発行されなくなる予定である

 とはいえ順風満帆とはいかないだろう。現状でも、マイナ保険証の利用に際してトラブルがたびたび発生している。筆者も最近、システム関連のトラブルが原因でマイナ保険証を利用できず、保険組合に問い合わせたことがある。

 また、病院に設置されているマイナンバーカードのリーダーの多くは、スマホに対応していないようだ。今後、スマホ対応が病院に求められ、一定の混乱が生じる可能性がある。

 マイナ保険証に根強く反対している人は少なからず存在する。マイナ保険証に関する運用面のトラブルが続けば、そういった人たちがネガティブキャンペーンを積極的に展開する恐れがある。その結果、マイナンバーカードに対する不信感が再び高まり、利用が進まなくなることが懸念される。

 スマホでのマイナンバーカード利用に向けたハード面の環境は整ってきた。それだけに行政側には、利用できる場所を広げながらも大きなトラブルを起こさないための慎重な取り組みが強く求められるだろう。


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