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「MACアドレス」早分かり、使われ方を理解しないとWi-Fi接続トラブルも。

〇 Wi-Fiや有線LANによるネットワーク接続機能を搭載するPCやスマートフォン、Wi-Fiルーターなどの機器には、必ず「MACアドレス」という固有の番号が割り振られている。MACは「Media Access Control」の略で、物理アドレス、フィジカルアドレス(Physical Address)と呼ばれることもある。

このMACアドレスは、普段Wi-Fiを使っているときは意識する必要がない。ただしセキュリティ対策やトラブルシューティングをするときには、必要となることが多い。そこで今回は、MACアドレスの基礎知識を解説する。

MACアドレスは機器固有、前半6桁から機器メーカーが分かる。

MACアドレスは16進法(16の値ごとに繰り上がる数値。0~9以降の10~15をA~Fで表す)で表記された12桁の数値だ。2桁ごとに「:」「.」「-」で区切りを入れて表記することが多いが、表記方法は機器によって異なる。

PCやスマホ、Wi-Fiルーターなどの通信機能を搭載する機器には、MACアドレスが割り振られている
画1、PCやスマホ、Wi-Fiルーターなどの通信機能を搭載する機器には、MACアドレスが割り振られている。

MACアドレスは機器に貼られたラベルや、設定画面などで調べられる。Windows 10/11を搭載するPCでMACアドレスを調べるには、「設定」から「ネットワークとインターネット」を開き、接続中のネットワークの「プロパティ」を表示する。これによって表示される項目の1つに「物理アドレス(MAC)」がある。これがMACアドレスだ。

PCの場合、MACアドレスはコマンドプロンプトでも確認可能だ。「ipconfig /all」コマンドを実行すればよい。PCがWi-Fiと有線LANの両方に対応している場合、Wi-Fiアダプターと有線LANアダプターのそれぞれにMACアドレスが割り振られている。間違えないように気をつけよう。

MACアドレス(物理アドレス)は設定画面で見るか、コマンドプロンプトで「ipconfig /all」を実行することで確認できる
画2、MACアドレス(物理アドレス)は設定画面で見るか、コマンドプロンプトで「ipconfig /all」を実行することで確認できる。

AndroidでMACアドレスを確認するには、各Wi-Fi接続設定にある「デバイスのMACアドレス」を確認する。iOSでMACアドレスを確認するには、設定→一般→情報の順に選ぶと表示される「Wi-Fiアドレス」を確認すればよい。

MACアドレスの最初の6桁は「ベンダーコード」(OUI:Organizationally Unique Identifier)と呼ぶ。規格を管理するIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)という組織が、ネットワーク機器のメーカーに割り振る。残りの6桁はメーカーが機器に割り当てる番号となる。この6桁は、原則ほかの機器と重複することがない。

つまりMACアドレスの最初の6桁から、その機器のメーカーが分かる仕組みになっている。MACアドレスからメーカーを調べられるWebページもある。

MACアドレスが分かれば機器のメーカーを特定できる。MACアドレスからメーカーを調べるWEBページもある。画面は「DNSChecker.org」の「MAC Address Lookup」ページ(https://dnschecker.org/mac-lookup.php)
画3、MACアドレスが分かれば機器のメーカーを特定できる。MACアドレスからメーカーを調べるWEBページもある。画面は「DNSChecker.org」の「MAC Address Lookup」ページ(https://dnschecker.org/mac-lookup.php)。
 
MACアドレスはネットワークの住所のような役割を持ち、機器同士の通信に使う。似たような役割を持つものとしてIPアドレスがあるが、ネットワーク機器はIPアドレスだけでは通信できない。送信元が送信先のIPアドレスを指定すると、そのIPアドレスを持つ機器のMACアドレスか、そのIPアドレスにたどり着くまでの途中経路にある中継機器(Wi-Fiルーターやネットワークハブなど)のMACアドレスを参照し、そこに向けて通信する。

ネットワーク機器はIPアドレスとMACアドレスの関係性を「ARPテーブル」(ARPキャッシュと呼ぶこともある)というデータとして一時的に保存しており、それを参照して通信する。PCの場合、コマンドプロンプトで「arp -a」と入力すると、現在保持しているARPテーブルの一覧を確認できる。このコマンドは、端末が接続したローカルネットワーク内の機器のMACアドレスを調べるときに便利だ。

コマンドプロンプトで「arp -a」を実行すると、PCが一時的に保持しているARPテーブルを確認できる
画4、コマンドプロンプトで「arp -a」を実行すると、PCが一時的に保持しているARPテーブルを確認できる。

MACアドレスフィルタリングは効かないケースがある点に注意。

MACアドレスは機器が持つ固有の番号なので、ネットワーク接続の可否の制御にも活用できる。Wi-Fiルーターは「MACアドレスフィルタリング」という機能を備えており、登録したMACアドレスを持つ機器のみ通信を許可する、もしくは登録したMACアドレスを持つ機器をネットワークから除外できる。Wi-Fiルーターの多くは、接続履歴からそのMACアドレスを指定するだけでフィルタリング対象として登録できるので、設定はさほど難しくない。接続機器を可視化し、MACアドレスフィルタリングを簡単に設定できるWi-Fiルーターも存在する。

MACアドレスフィルタリングで自分が所有している機器のMACアドレスをWi-Fiルーターに登録しておけば、自分が所有している機器以外からの接続を防げる。ただし、MACアドレスは偽装することが可能で、偽装されるとフィルタリングの効果はほぼなくなることを頭に入れておこう。特にWi-Fiは、電波の届く範囲に居ると端末のMACアドレスを簡単に取得できてしまう。悪意ある第三者に暗号化キーも知られてしまうと、MACアドレスを偽装されフィルタリングを突破しネットワークに侵入される恐れがあるので注意したい。

また、このあと説明する「ランダムなMACアドレス」を使うと、MACアドレスフィルタリングは機能しなくなりトラブルになる恐れがある。MACアドレスフィルタリングは、機器固有のMACアドレスとランダムなMACアドレスの違いを理解してから利用するようにしたい。

Wi-Fiルーターの「MACアドレスフィルタリング」を使うことにより、MACアドレスで指定した特定の機器のみ通信可能、または通信拒否を指定できる。画面はWi-Fiルーター「Aterm WG2600HP3」(NECプラットフォームズ)の設定画面
画5、Wi-Fiルーターの「MACアドレスフィルタリング」を使うことにより、MACアドレスで指定した特定の機器のみ通信可能、または通信拒否を指定できる。画面はWi-Fiルーター「Aterm WG2600HP3」(NECプラットフォームズ)の設定画面。

いまは機器固有のMACアドレスを使わないことがある。

MACアドレスは機器固有が持つ番号のため、機器を特定しやすい。状況によってはセキュリティを保つ上で都合が悪いこともある。そこで各OSは、接続先ごとにランダムなMACアドレスを生成して割り振る機能を持っている。AndroidやiOSは、初期設定でこの機能がオンに設定されている。

この機能はセキュリティ面で有用だが、一方でネットワークトラブルの原因となるケースがある。このトラブルは、MACアドレスフィルタリングを実施している企業や教育機関で発生する可能性があるので注意しよう。ランダムに変わるMACアドレスがフィルタリングの対象となり、正規の端末であってもアクセスできなくなることがあるためだ。

AndroidでランダムなMACアドレスを付ける機能をオフにするには、各Wi-Fiの接続設定にある「プライバシー」欄の「ランダムなMACを使用する」を「デバイスのMACを使用する」に切り替えればよい。なお設定や項目の名称はAndroid 12を搭載する「motorola edge 20」(米Motorola Mobility製)の例で、端末によって設定や項目の名称が異なることがある。

iOSもランダムなMACアドレスを付ける機能がオンに設定されている。そのMACアドレスを確認するには、各Wi-Fiの詳細設定を開き「Wi-Fiアドレス」を確認すればよい。ランダムなMACアドレスを付けなくするには、各Wi-Fi設定にある「プライベートWi-Fiアドレス」をオフにすればよい。

Windows 10以降にもランダムなMACアドレスを付ける機能がある。各ネットワーク設定のプロパティを開き「ランダムなハードウェア アドレス」を「オン」または「毎日変更する」にすると、この機能が有効になる。

MACアドレスフィルタリングを実施しているネットワークにつなぐ場合、ランダムなMACアドレスを使う機能をオフにする必要がある。画面はAndroid 12を搭載する「motorola edge 20」の設定画面
画6、MACアドレスフィルタリングを実施しているネットワークにつなぐ場合、ランダムなMACアドレスを使う機能をオフにする必要がある。画面はAndroid 12を搭載する「motorola edge 20」の設定画面。

ネットワークの接続設定をしたときに、使用するMACアドレスが固有のものかランダムなものかを確認して覚えておこう。また、MACアドレスフィルタリングを実施しているネットワークにつなぐ端末は、接続設定をするときにランダムなMACアドレスを使う機能をオフにする必要があることを理解しておこう。


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