シロップ祭りSugar shack (Caban a sucre)

４月１１日、カバン・ナ・シュクル（英語はsugar shack)つまり砂糖小屋に行ってきた。
主にケベック州で、カエデの幹からメイプルシロップを取り、いろいろな料理を作ってみんなで歌ったり踊ったりする収穫祭の一種。３月のはじめから４月下旬までの期間限定のイベント。
モントリオールからオタワへ向かう高速道路で１時間弱のところにある、ケベック州の西の端のRigaudという田舎町にある小さな民家を改造したレストランへ向かった。
こちらの高速道路はすべて無料。ただし制限時速は１００キロ！　とはいえ、１１０キロくらいはみんな出しているが、１２０キロ近くなるとどこからともなくパトカーが来て罰金が科せられるとのこと。日本と大体同じようなものだろう。
パーティーで知り合ったレバノン人の友人に連れられ、総勢１２人の奥さんグループでにぎやかだった。メンバーは、ありとあらゆる国からの女性で、新顔の私を親切に仲間に入れてくれた。スペイン語圏の人が多かったせいか大変愉快な遠足だった。
山の中、というので、寒いと考え、スキー用のインナーにカーディガン、ダウンジャケットにさらにコートを重ねて出かけたら、なんと、そこは雪が無かった！！！
我が家はモントリオールに隣接する丘の上で、周りは雪が積もっているというのに、カエデ祭りの山の中は、陽光に照らされた春の林で、まるでカウボーイ映画に出てくるアメリカ西部の町のよう。 車を降りるとすぐ、２頭立ての馬車がきて、カエデ林の中を砂糖小屋まで連れて行ってくれた。
丸太でできたバンガローは、昔ながらの古い大きな家で、天井の梁も丸太でがっしりした建築。 昔使っていたふるい鉄製の大きなストーブが入り口においてあった。これに薪や燃料をくべて、夜通し、一日中、暖をとっていたのだという。マイナス３０度の寒さでも、今はセントラルヒーティングで家の中はブラウス一枚だが、昔はストーブ一台で寒かったのではないかと思う。
料理は素朴な家庭料理。うわさで聞いていたのは、デザートはもちろんのこと、肉料理にも野菜にも、たっぷりメイプルシロップをかけて供せられるとのことだったが、シロップは一升瓶のような巨大なビンにはいってテーブルにおいてあり、好みでかければよかったので助かった。豆とベーコンの煮込み、ハム、ソーセージ、オムレツ、ミートボールの煮込みなど、どれもナチュラルな味で満腹になった。
ステージではバイオリンやパーカッションの楽団がいて、にぎやかに民謡を演奏していた。昔の厳しい質素な生活を思いながら、自分たちのアイデンティティを守っているように思えた。貴重品だったメイプルシロップも、今日ではお土産品だが、その収穫を祝って自然の恵みに感謝する風習はしみじみと温かい。