グローバルファンタジストの好奇心

また見つかった!
何が?
永遠が、海と溶け合う太陽が!
(アルチュール・ランボー「地獄の季節」より)

F1日本グランプリ開催地に見る「スポーツ・国家・スポンサー」

2006-07-10 14:36:34 | ニュース
サッカーW杯が終わった。スポーツの祭典は選手たちの血と汗のドラマの他に、スポンサーや国家のおぼろげな影を人々の脳裏に残し、国旗を掲げたサポーターの熱狂と共に消えていった。スポーツは純粋にスポーツたり得ることはできないのだろうか。
自動車レースの最高峰F1、この日本グランプリにもまた、ファンの純粋な想いとは別の次元の問題が持ち上がっている。1987年からF1日本グランプリの開催地だった三重県の鈴鹿サーキットが、その地位を静岡県の富士スピードウェイに来年度明け渡すことが決まった。鈴鹿サーキットはホンダがスポンサーだ。鈴鹿への集客のために、近鉄鈴鹿線の平田町駅が存在し、秋のグランプリ開催中の3日間に延べ30万人以上が毎年訪れた。地元への経済効果は約50億円、打撃はけして小さくはない。対する富士スピードウェイはトヨタが買収し、200億円を投入してコースを大改造し、国際自動車連盟(FIA)から最上級規格のグレード1の認定を受け来年度以降の開催権を勝ち取った。ホンダの鈴鹿サーキットは、日本で2つのグランプリ開催という道を求めて交渉する意向を固めているという。これには政府や自治体の後押しが必要だ。
スケート、アイスホッケー、スキーなど、スポーツ連盟の経営難のニュースは多い。オリンピックやW杯などのたびに、日本のスポーツ界の苦しい裏事情を耳にする。日本政府のスポーツ事業への支援はなかなか見えてこないが、「愛国心」の高揚や観光客誘致も望めるプロジェクトとして是非前向きに取り組んで欲しいものだ。

波打つファサードが魅力的 国立新美術館竣工

2006-06-15 16:49:57 | ニュース
日本の建築の新しい潮流が形になった。機能主義の丹下健三の亡き後、建築界の重鎮のひとり黒川紀章がリリースする華麗な建築。黒川は以前から「ロココ」「バロック」という言葉を用いて美を表現していた。
六本木の東大生産技術研究所の跡地に建てられた国立新美術館で6月14日に竣工式が行われた。波打つ透明なファサ-ドが印象的な建築は、黒川紀章・日本設計共同体が手掛けたもの。形状の異なる4,700枚のガラスによる曲線的な概観はガウディを連想する。膨らんだ部分の中には逆立の円錐が大小二つあり、上部はレストランやカフェになるという。中から見るとどんなふうなのだろう。
オープンが楽しみなこの美術館は総延床面積約45,000m²。図書館、オーディトリアムはもちろんのこと、レストラン、カフェ、ミュージアム・ショップも重視されている。「周囲の樹木が成長すると、このアトリウムは森に囲まれたパブリック・スペースとなる」ということで、将来の姿も楽しみになった。Net 2000㎡の柱のない大展示スペースを7つ持つ展示スペースの延床面積は14,000㎡で、日本最大の規模となり、公募展や企画展のためのギャラリーとして使われる。企画展・公募展中心の「箱だけの美術館」という批判に対し、文化庁はアニメ業界や日本動画協会などを巻き込み、この美術館をアニメーションの保存・研究・上映・関連展覧会の拠点とする構想を打ち出しているという。

だっこちゃんの夢

2006-06-14 14:23:52 | ニュース
ウェブのアフィリエイトとコーディネーションで事業を始める人は多い。要するに、悪く言えば、人のふんどしで相撲をとる。そこに、スポーツが加わると、サポーターを巻き込んでマーケティングの強みになるようだ。利益の一部をスポーツ選手や団体に寄付するとなれば、大儀も立つ。
「オリジナル・プロダクツ」や有名メーカーとの「コラボレーション・プロダクツ」の開発・販売を行い、その収益の一部をスポーツ振興・アスリート支援に役立てようというブルータグプロジェクト有限責任事業組合という通称「ブルータグ」というグループがある。同団体が、株式会社タカラトミーの賛同を得て、「だっこちゃん」のライセンスを取得し、BLUETAGショップ初のコラボレーション・プロダクツとして「BLUETAG公認 サポーターだっこちゃん」が誕生した。5000体限定で6月17日発売、ワールドカップ応援用の需要を見込んでいる。サイトを通じた販売収益の5%は日本スポーツ振興センターが運営するスポーツ振興基金などに寄付される。
商品名: BLUETAG公認 サポーターだっこちゃん 価格: 1,260円(税込)
たった5%でも寄付は寄付。めの付け所が良いが、残念なのは商品開発に手間取ったのか発売が、日本代表がオーストラリアに惨敗した後というのがちょっと・・・・

ブルータグのホームページには、フラッシュ版のサイトをメールマガジンがあり、日本では稀なフラッシュ版のマガジンになっている。デザインもすっきりとしゃれていて、なかなか素敵だと思う。アイデア勝負のIT業界のひとつの潮流かもしれない。

人間の条件

2006-05-24 16:09:05 | ニュース
東京都現代美術館で「カルティエ現代美術財団コレクション展」(4/22~7/2)が開かれている。このオープニングセレモニーで日仏関係に多少なりとも影響を及ぼす懸念を否定できない事件が起きたことを、どれだけの日本国民が知っているだろうか。フランスでは、有力紙Le Figaro紙やLibération紙が『日本で開催されている“カルティエ現代美術財団コレクション展”のオープニングパーティで、4月20日、石原慎太郎東京都知事が「現代美術はくずのようなものだ」「日本の美術は西洋のものより優れている」と発言した』と4月21日(金曜)に書き立てたから、フランス人の多くは知っているはずだ。二国間関係にかかわるこのような問題については、国民は知る権利がある。また、知っておくべきだ。特に、主催者のひとつ、日本経済新聞が知らなかったわけが無い。口をつぐんでいるのは卑怯だと思う。陰でこっそり悪口を言ったのではない、カルティエ財団の責任者やパリの同美術館館長でキュレーターのエルベ・シャンデス氏らの面前で、東京都現代美術館側の主催者挨拶として言い放ったのである。しかも、同都知事は、去年10月の「フランス語は計算もできない非理論的言語で国際的言語になリ得ない」との暴言でいまだに関係者から訴訟を受けて係争中の身である。
北朝鮮との関係は言うに及ばず、日米、日中、日韓、日露・・・ありとあらゆる国の関係は、今微妙な時期にある。人と人との関係と同様に国際関係も、永年の信頼関係が、または温かい友情が、たったひとつの事件、たった一言の言葉であっという間にひびが入ってしまう事は、誰もが経験していることである。「オリンピックを誘致しようとしているときに・・・」などと打算的なジョークはさておき、人間は言っていい事と悪い事がある。政治的立場にいる人間の資質の最低条件ではないだろうか。