カオスの世紀

カオスとは「混沌」、そしてこの21世紀に生きる自分の混沌とした日常を気ままに書き綴っていきます。

嫁ブリ

2008-12-24 | 日常の出来事
早いモノで今年ももう僅か。年末でぼちぼちいろんな事が忙しくなる時期です。忘年会、年賀状、大掃除、そして年始の準備などなど。

さて、先日の事ですが実家に帰った時に母から「今度の22日は大安だから、○○さん(妻の名前)のご実家にブリを持って行かないといかんやろ?」と突然言われました。
「何?ブリ?なんでそんなものいきなり持っていかないかんとね?」と訝っていたんですが、母は「こちらではそう言う慣習だから。ともかく都合付けて何とか持って行きなさい!」と有無を言わせぬ状態。

一体、なんでこの年末の忙しい時に、ブリ(鰤)なんぞまるまる一匹買って持って行かないといけないのか?そんな習慣全く知らないので、ちょっとネットで調べてみることに。

「嫁ブリ」

そういう習慣がこの九州、特に妻の実家の久留米などの北部にはあるそうです。どういう習慣かと言うと、その年に嫁さんをもらった男性の実家は、その年の暮れに嫁さんの実家に「ブリ」を持って行くという事だそうです。その意味は

「お宅からいただいたお嫁さんは実にいい”嫁ブリ”ですよ~」

という意味だそうです。”いい嫁ブリ”で無ければ持って行かなくていいのかな?と思いつつ、カミさんの顔を見て「そんな訳にもいかんわなあ」と思って、ブリを持って行く事にした訳です。

さて、ブリですが、この時期は当然ながら「寒ブリ」です。年末に向かってどんどん高くなるらしく、うちの母は早く注文した方がいいという事で、妻の実家の近くにある評判の鮮魚店を地元に住む母の友人(私たちを引き合わせていただいた方)に紹介してもらって、そこでブリを一匹注文しました。この時期は2~3万円はするとの事・・・当然ながらいい値段しますね。

それから妻にその事を説明したんですが、今時の地元習慣など知らない妻は「何それ?」ってな感じで、そんなお金と手間のかかる事は省略してもいいよ、などと無責任な事を言うので、ともかくお母様に連絡するように!と言って22日の予定などを確認するように指示しました。ところがこの日はご両親ともに不在との事。お母様も「ご面倒おかけするのでどうか省略して下さい」と言われたそうですが、うちの母がそれは許しません。「そんな事したら、あんたダメな嫁さんと言っているようなもの。絶対に渡すように!」と言われて、すっかり両家の間に挟まれた私は困り果てました。でも既にブリも注文しているし、ともかくご不在でも妻と同行して実家に置いてくるという事で妻のご両親にも伝えてもらいました。

22日は大安吉日という事で、出来れば午前中のうちがいいと言われましたが、こちらも仕事があるので、仕事が終わって妻のパート先に迎えに行ってそのまま妻の実家に向かうようにしました。
まずは実家の近くにある鮮魚店に行き、ブリを購入。ラッキーな事に、この日はなかなか手に入らない天然のブリが安く入ったとの事。店の大将曰く「明日以降はとても天然がこの値段では無理だね。あんた運がいいね」と縁起のいい事を言われました。価格も結構大きなブリでしたが、予定の半額くらいの1万円プラス消費税で済みました。思ったよりも安かったのは良かったんですが、ここでまた母から連絡があり、「ブリが安かったから、その分”餅代”を包んで持って行くように」との事。”餅代”??またもや分からないものを用意するように言われました。”餅代”というと何か政治家なんかが出したりして批判されたりしていたような憶えもありますが、つまりはブリが安かったので、それでは相場よりもお金を出していない事になるので、その分を正月の”餅代”として包んで相場に合わせようという事みたいです。それで急遽、筆ペンと御祝儀袋を購入して拙い字で「餅代」と書いて1万円を包みました。これで”ブリ”と”餅代”で相場くらいの2万円になります。まあしかし習慣というのは時に面倒なものです。

妻の実家に早速持参すると、お父様が出張から早く戻ったとかでいらっしゃったので、手渡しで「嫁ブリ」を渡す事が出来ました。お父様曰く「うちの娘は”嫁ブリ”なんかもらってもいいんかい?」と言われたので、そこで否定する訳にもいかないので、「もちろんです!」とお答えしておきました(いや本当に嫁さんブリはいいですよ?!)。お父様もそう言われてうれしくない筈もなく、御礼にとお父様が作られている白菜や大根などをたっぷりといただきました。いや今度この大根でブリを刺身で食べましょうと言われておりまして、これがお父様の作る大根が美味しくてこれを擦ったものを刺身醤油に入れて食べると絶品です。

という事で今年も後は年末のご挨拶に行くくらいでしょうか。急に決まった「嫁ブリ」ですが、無事に渡すことも出来まして、夫婦で過ごす初めての年末年始を迎える事になります。

しかしまあ「いい嫁ブリ」とは考えましたね。誰が始めたんでしょうこんな習慣。もし今年結婚して「ブリ」が奥さんの実家に届かなかったら、結構大変な事にでもなるんでしょうか?
いやあ、たかが習慣、されど習慣ですね。

でもそんな妻はこの大事な初めてのクリスマスイブに私を置いて天神に出かけるとの事。ブリ半分返してもらおうかな・・・・


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6 コメント

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Unknown (cia^o^)
2008-12-25 10:20:16
そういえばブリを2尾もって行った記憶があります。
●なるほど (Small F)
2008-12-25 10:25:04
初めて知ったよ
ウチのカミさんは、生粋の東京生まれの東京育ちだから、まったく知らなくて当然だが・・・w

まぁ幸せそうで何より。てゆうか、もらったほうももしサバけないとちょっと困るんじゃないか?(爆

とにかくご馳走様♪
それが一番大事? (若旦那)
2008-12-25 13:16:57
風習とは、ときに面倒でややこしい物ですが、人間関係が円満に行くのであればいいのではないでしょうか?逆に、このような風習(習慣?)を簡素化があっても、削除することが、昏迷の今を作った要因の一因ではないかと感じます。
先人の知恵?その謂れや意味が、心にしみるように感じます。
特に、子ども達には語り受け継いでほしいものです。でないと、日本人はどうなるかな?
cia^o^様! (takeo)
2008-12-25 22:09:13
2尾!
奥様はかなりいい”嫁ブリ”だという事でしょうか。
うちはせめて1尾分の”嫁ブリ”であれば満足とします・・・
Small F様! (takeo)
2008-12-25 22:12:35
九州の方特有の習慣みたいね。
ブリは早速さばいてましたよ。お父様は得意みたい。
早速「ブリかま」をお父様ご自慢の大根を擦ったものを付けて食べました。いやあ美味しかった!
何か近所にも配ってるみたい。それが慣習みたいですね。
「うちの娘はいい嫁だよ~」って自慢出来るという事かな?
若旦那殿! (takeo)
2008-12-25 22:18:05
確かにこういう習慣というのは大事ですよね。
面倒かもしれないけど、それで両家がまた仲良くやっていける訳だし、今の「嫁ブリ」も少しづつ時代に合わせて変わってきているみたいですが、それでも続いているというのはいいことだと思います。
私も母が言うまで全く知らなかったですが、自分の子供の時にはそれを伝える事が出来ますしね。
初めて知ったときは少々びっくりしましたが、その後の両方の両親どおしが挨拶の電話をしたり、近所の方にブリを振る舞ったりとそういう姿を見て本当にいいもんだなあと思います。
後は私の”婿ブリ”がどのように評価されているかですね・・・